Psychederhythmのギターについて

[記事公開日]2015/8/9 [最終更新日]2024/8/22
[編集者]神崎聡

Psychederhythm:ロゴ

「Psychederhythm(サイケデリズム)」は、東京恵比寿に店舗を構える同名の楽器店が展開しているブランドです。もともとヴィンテージギターなどプレミアムギターを中心に扱販しながらリペアも請け負う楽器店でしたが、プロミュージシャンなどシビアなセッティングを必要とする人々が新品のギターを調整に持ち込んでくる現状から、新品でそのまま現場に持っていくことができるギターをコンセプトに開発。生産数は多くありませんが、現場の道具として頼れるサウンドは次第に話題となり、スタジオ・ミュージシャンからバンドマンに至る数々のプロミュージシャンやサウンドエンジニアなど、音楽業界の関係者を中心とした人づてに愛用者が広がりました。

サイケデリズム・ギターの特徴

音楽の道具として使える「音」

レコーディングや大きな会場でのコンサートなど、プロの現場ではサウンドの高い「質」が求められます。サイケデリズムのギターは、愛用するプロミュージシャンやレコーディングエンジニアからの意見を製品にフィードバックさせており、現場で頼れる音を作り出すことに成功しています。

ノイズが少ない

ノイズが少なくトーンが良いパーツをセレクトした上で、ハンダ付けを丁寧に行なうことにより、特定のノイズ処理やプリアンプに頼ることなくローノイズを実現させています。キャビティ内に特殊な塗装を施すなどの一般的なノイズ処理は「ハイ落ち(高音域が削られて音抜けが悪くなる)する」という信念があり、よっぽどの依頼が無い限り敢えて施しません。

豊かなサスティン

サイケデリズムのどのモデルにおいても、設計/セットアップ/各部の微調整/トータル的なバランスでリッチなサスティンが得られる様に作られています。アタックの瞬間から豊かに音が伸びるので、全く歪んでいないクリーントーンでも気持ち良く演奏することが出来ます。

抜けが良く、おいしい周波数帯が豊かに響く

実際に演奏するプレイヤーが心地よく感じる音を狙うのはもちろんですが、サイケデリズムでは録音やライブの現場で「PAやエンジニアが扱いやすい、音楽に使う上での便利な音」も念頭において設計しています。この便利な音はバンド内で埋もれたり逆に埋めてしまったりしにくく、他のパートやアンサンブルでのバランスが取りやすいためプレイヤー的にも重宝します。

ブランド名が象徴する、目を引くルックス

サイケデリズムのギターは、見た目の個性的な格好良さも大変重視しています。フェンダーやギブソンなど伝統的な楽器のスタイルを継承しているモデルが多いですが、本家ではこれまで無かったような色調、また凝った模様のピックガード、こだわりのコントロールつまみなど、お気に入りの楽器に相応しい、またステージ映えする格好良さを持っています。色調によってはヘッドのブランドロゴのカラーも変更します。

Standard-Tのボディトップとサイド ボディトップとサイドで異なるカラーリングが施されているSTANDARD-T

またテレキャスタータイプなどのボディカラーは、トップのバインディングを境にボディトップとサイド&バックで色を変えており、ルックス上の大きな個性になっています。

サイケデリズムのラインナップ

サイケデリズムのラインナップはフェンダースタイルを中心に多岐に及んでおり、また小ロット生産のためマテリアルやパーツ、カラーリングなどを変更したさまざまなバリエーションのものがリリースされています。ルックスにもサウンドにも個性のあるラインナップですが、サイケデリズムを統括する石田紀之氏に、それぞれのモデルに対する思いをコメントして頂きました。以下の記事にてPsychederhythm石田紀之氏へのインタビュー内容が確認できます《楽器は耳で作る》東京恵比寿「Psychederhythm」のこだわり

各シリーズの大まかな特徴と共に紹介します。

Standard-T

Standard-T

テレキャスタータイプをベースに、

  • フロントにP-90タイプのピックアップをマウント
  • 出音を重視し敢えて採用している伝統的な三連スラントサドルブリッジ
  • トップバインディングを境に色調を変えているツートンカラー
  • 弦高が抑えられた弾きやすいセッティング

といったアレンジが施された、現在のサイケデリズムを象徴するギターです。ボディ材にはアッシュやアルダーの他に、コリーナやマホガニーが採用されることもあります。

石田氏のコメント:

自分達ではそれほど意識してなかったのですが、今やサイケデリズムオリジナルの「顔」的存在となるギターである事が否めないモデルです。テレキャスタータイプというのは結果としてもの凄く良く出来たシェイプで、設定や木材/パーツを変える事により、この1種でフェンダーライクな音からギブソンライクな音、はたまたその中間に位置する様な音まで、幅広く振り分け製作する事が出来るんですよね。 なので我々は発売毎に、敢えて木材やパーツを変える事もしばしばなので、ウチのStandard-Tを1、2本弾いたからと言ってそれが、サイケデリズムの全てと思って欲しくはないです。毎回毎回自分達の中でコンセプトを持って製作しているモデルですので、試奏が可能な状況であれば全てのStandard-Tを弾き比べ、自分に合った1本を選んで欲しいと思います。

Standard-Tを…
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Standard-S

Standard-S

伝統的なストラトキャスターのスタイルをベースに、一見そのままながらサウンドの立ち上がりと粒立ちの良さ、豊かなサスティンといったサイケデリズムらしい音を持たせたモデルです。特にハーフトーンの絶妙なコンプ感に定評があり、クランチの心地良いオーバードライヴで軽く歪ませると相性は格別です。

石田氏のコメント:

昔から受け継がれるトラディショナルなトーンをブラッシュアップし、更に速くキレのある3シングルのギターが作りたくて形にしたのが、このStandard-Sです。
搭載するピックアップも3発同じメーカーのモノに拘ることもなく、敢えて3発別々のメーカーのモノをチョイスし纏(まと)める事も有ります。セットアップ時には3発のピックアップのバランスと、シンクロナイズドトレモロの取付けには気を使いますが、製作サイドとしてはハーフトーンが好きなので、他2ヶ所に対するミドルピックアップの設定と、トレモロの微調整には重点を置いてます。

Psychomaster(サイコマスター)

Psychomaster(サイコマスター)

ジャズマスターのコントロール系をシンプルにまとめて扱いやすくしたモデルです。音の分離に優れ低域から高域までクリアに鳴りますが、特に中高域のおいしいところが豊かに響きます。
トレモロにジャズマスター本来のフローティングトレモロのものとストラトに搭載されるシンクロナイズドトレモロを搭載したものがあり、またネックバインディングの有無やドットやブロックポジション、ルックスにあわせたコントロールつまみ、ボディ材や塗装方法など、いくつものバリエーションがあります。

psychomaster-control

石田氏のコメント:

コチラも近年、Standard-Tと並びサイケデリズムの顔的存在になって来たモデルですね。
見た目こそジャズマスター風ですが従来のジャズマスターに捕われる事無く、現代のポピュラーミュージックにマッチする様、発売毎に木材やパーツを変え、ドンシャリなものから中域を中心にバランス良く鳴るもの、中低域に重点を置いたものなど出音の振り幅広く、毎回コンセプトを持って製作しているモデルですので、ウチのPsychomasterを1、2本弾いたからと言って、それがサイケデリズムの全てと思って欲しくないギターです。ですので試奏が可能な状況であれば全てのPsychomasterを弾き比べ、自分に合った1本を選んで欲しいと思います。

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Soapbar Special(ソープバー・スペシャル)

Soapbar Special引用:http://psychede.exblog.jp/17938012/

マホガニーボディ&ネック、P-90(ソープバー)タイプのピックアップを搭載したレスポール・スペシャルを模したモデルで、抜けの良いサウンドと本家ではあり得ない個性的なカラーリングを特徴としています。

石田氏のコメント:

従来のP-90とは異なるアルニコⅤポールピースのソープバーを2発搭載し、とてもクリアーなトーンに仕上げてますので、クリーンからクランチでのカッティングや、ダーティーに歪ませてのソロなど、この1本で幅広く使い分け可能なモデルとなってます。

Hollow T-Line

Hollow T-Line

テレキャスター・シンラインをベースにしたモデルです。ボディ材にスタンダードなアルダートップ&バックだけでなく、ゼブラウッドトップ&マホガニーバック、また本来アコギやフルアコに使用されるスプルースをトップに使用するなどのバリエーションがあり、またマテリアルにあわせてピックアップを変更するなどさまざまなアレンジが施されています。

石田氏のコメント:

その都度コンセプトを持ち、製作毎にボディ材やボディ内の空洞の空け方を変え、アコースティックなサウンドからややソリッド感のあるサウンドまで、幅広く振り分け製作しているモデルです。ピックアップは見た目はハム+シングルでも中身は2ハム仕様など、現代のポピュラーミュージックにマッチする様出音とルックスにも拘ったギターです。

Gibfendrix(ギブフェンドリックス)

Gibfendrix

  • 「ギブ」ソンフライングVのボディ
  • 「フェン」ダーストラトキャスターのネック&電気系
  • ジミ・ヘン「ドリックス」が愛用したリバース(右利きなのに左用)仕様

という冗談のようなコンセプトで、音楽の現場で生きるギターにまで仕上げている意欲作です。ヘッドだけでなく、リアピックアップの傾きもしっかり左右反転しています。またハイポジションが更に弾きやすくなる非対称ボディ形状、ボディバックのコンター加工は、ギブソン系のボディにフェンダー系のテイストを注入した結果で、フィット感と弾きやすさが向上しています。

Gibfendrix-2

石田氏のコメント:

きっかけはスタッフ間の雑談から始まり、モデル名から察して頂けます通り、ジミヘンドリックスが愛用したリヴァースのストラトとフライングVを掛け合わせたモデルになります。
ヒールカットやコンター加工等使い勝手も重視し、ハードな外見とはウラハラに意外や王道の3シングルサウンドに纏めたギターです。

PSYCHELONE(サイケロン)

pshychelone

ムスタングをアレンジしたフェンダーの名機「サイクロン」をサイケデリズム風にアレンジしたギターです。小振りなボディにギブソン同様のミディアムスケールネック、デュオソニックに由来するピックガードとトグルスイッチ、大きめのコントロールつまみといった基本的な仕様は継承、これにサイケデリズムお得意の個性的なカラーリングを施し、シングルコイル2基をマウントしたラージヘッド仕様になっているのが外観上の大きな特徴です。

pshchelone-2

石田氏のコメント:

小振りなボディ、ナット部で40mm幅のミディアムスケールのネックが、コンパクトで扱い易いモデルに仕上げてます。
ピックアップについては見た目は2シングルでも中身は2ハムやSHなど、製作毎にボディ材やPUを変え、現代のポピュラーミュージックにマッチする様、出音とルックスにも拘ったギターです。


(「エレキギター博士」のブランド紹介記事は、いつもは愛用者の情報や動画の紹介などをいくつか掲載しています。しかし今回は、「サイケデリズムのギターを触ったことがないという人に、楽器や音色に対するイメージを押し付けてしまいたくない」というサイケデリズム石田氏の意向がありました。そこでこれを尊重して、今回は特別にアーティスト情報や動画を紹介しないことにしましたので、悪しからずご了承下さい。サイケデリズムを愛用しているアーティストについてはサイケデリズムの公式サイト、ブログやツイッターで紹介されています。)

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