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「ACACIA Guitars(アカシア・ギターズ)」は若いブランドながら、銘木やカラーリングの美しさ、ストレスを感じさせない演奏性、クオリティの高い木工が評価され「ギターのメルセデス・ベンツ」とまで表現されています。近年になって日本でも流通が始まり、特にラウド/ヘヴィ志向のプレイヤーから熱い視線を受けています。今回は、このACACIA Guitarsに注目していきましょう。
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スルーネックモデル「HADES」の設計には、高度な技巧を支える数々の秘密が。
「ACACIA Guitars」は、2011年にScott Lienhard氏がカリフォルニアで立ち上げたカスタムギターのブランドです。Scott氏は木工学校で家具のデザインや弦楽器の作り方を修め、実家のガレージでギターの手作りを始めます。ビジネスの成長と共に自動切削機など電動工具を充実させ、伝統的な木工技術と最新技術を組み合わせた現在のスタイルを築き上げました。
少人数による受注生産を基本としていることもあって新しい仕様を取り入れるのにも積極的で、常に設計のアップデートを重ねています。
紀元前8世紀に古代ローマを建国した初代王の名を冠する、ACACIA Guitarsを代表するモデル。立体的な切削を施したカーブドトップに24フレットの音域を持つセットネック機で、弦長は25インチ。
ROMULUS(ロムルス)は、ラインナップ内で最も幅広い音楽性に対応できるオールマイティなモデルです。ボリュームとトーンを遠めに配置しながらもセレクタースイッチは近めで、音色をこまめに切り替えるスタイルのプレイヤーに特に良好です。派生モデルもリリースされており、今のところ緩やかな曲面を描くボディトップのデタッチャブル機ROMULUS ARC、これにカーボンキルトによるドレスアップを施したROMULUS ARC CARBON QUILTがあります。
立体的なカーヴィングが施された美しいトップには、Blue Dipと名付けられた美しいグラデーションが施されている。カスタムギターのメーカーなので、木材構成にはいろいろな組み合わせがある。この個体の場合、スワンプアッシュボディ&キルテッドメイプルトップ、ネックと指板はフレイムメイプル。
ACACIA Guitarsのギターには、杢の整ったフィギュアドメイプルやバックアイバールといったトップ材、木目がまっすぐなスワンプアッシュやコリーナといったバック材、アフリカンマホガニーやフレイムメイプルといったネック材など、希少材の中でも選りすぐった良材がふんだんに使用されます。
キルテッドメイプルのマッチングヘッド。この複雑で淡い色調も美しい。
立ち上げてから10年ほどの新しいメーカーでこれほどの良材を仕入れられる経路を確保できたのは、企業努力の成果と言えます。その甲斐あって木材の好きなユーザーなら、ACACIAのギターを愛でるだけで酔うことができるでしょう。
バインディングしていないのに、フレットのタング(舌)は見えないようになっている。シンプルな美しさとともに強度も稼ぐ設計。
最新の加工技術を駆使した高精度の木工も、大きなポイントです。フレット溝は指板の両サイドを残して掘削することで、バインディングに頼らず指板エッジを美しく見せています。また両サイドが残されている分だけ指板自体の強度が確保されるため、ベストな状態を長期間保つことができます。
かつてのROMULUSはスルーネック機でしたが、現行仕様ではフロントピックアップ底面いっぱいに達するディープジョイントによるセットネック仕様が基本です。スルーネック並の演奏性とサスティンを達成する、独自の設計です。
スワンプアッシュの恐ろしく整ったストライプと、クッキリと杢の出たネックのフレイムメイプル。
ネックシェイプは薄めだが薄すぎず、大きく開いたカッタウェイと深く掘りこんだジョイント部により、ハイポジションがスイスイ演奏できる。
ACACIA Guitarsはモデルごとに設定したクセのないネック、アクセスにストレスのないハイポジション、良好な重量バランスといった、本体の設計が特に評価されています。これらの特徴はテクニカルなリードやヘヴィリフの演奏に特に良好で、長時間弾いても疲れにくいと言われます。
また、スルーネックでなければ多層構造に頼らないネック設計も特徴です。補強として1対のカーボンロッドを埋設して必要十分なネック強度を確保しつつ、トラッドでシンプルな外観を保っています。
リング状の指板インレイ。中心部分は指板面が残っている。
また操作系についは、演奏の邪魔になりにくいよう弦からある程度離した配置が採用されています。ラウド/ヘヴィ系のプレイヤーがボリュームを10か0かでしか使わなかったり、トーンを全く使わなかったり、終始リアピックアップだけで弾いたりといった傾向にあることを考慮した設計です。
この個体の場合、ピックアップはセイモア・ダンカン「SH-6(Distortion)」のセット。2点支持式トレモロユニットはヒップショット社製。
ACACIA Guitarsは、本体の設計と木工に特化したブランドだと言えるでしょう。そのぶんピックアップやブリッジなど重要部品についてはセイモア・ダンカン、ベア・ナックル、ヒップショット、エヴァーチューンら世界的に信頼されるブランドの製品が採用されます。しかしその中でペグだけは自社ブランドのロック式を採用しており、深いこだわりが伺えます。
ブランドロゴが刻まれる、オリジナルのロック式ペグ。
ACACIA Guitarsはカスタムギターのメーカーであり、設計や木材構成、カラーバリエーションに至るまでさまざまなバリエーションがあります。先ほどチェックしたROMULUS以外の、日本国内に流通する3機種をチェックしていきましょう。各機種には、歴史や神話に由来する粋なモデル名が付けられています。
ヘヴィミュージックに特化した「HADES」。この個体はアルダーボディ、フレイムメイプルトップ、メイプル&ウォルナット5層ネック、ブラックエボニー指板という木材構成、セイモア・ダンカン「Blackouts」アクティブピックアップ、HipShot社製ブリッジという組み合わせの7弦マルチスケール仕様。
HADES(ハデス)はギリシア神話における冥界の王の名を冠する、ラウド/ヘヴィ系を特に意識したモデルです。メイプル&ウォルナット5層ネックがボディを貫通するスルーネック構造が特徴で、ダウンチューニングでの使用も想定して弦長は26.75インチに設定されています。エクストリームなサウンドを志向するコンセプトから、7弦やマルチスケール(ファンフレット)仕様もあります。
ボリュームポットはちょっと遠め、トーンとセレクタースイッチはかなり遠い、という配置。ボディカラーはBlack Burst。
ジョイント部の形状はROMULUSに近いが、カッタウェイがより大きめに取られている。
ブリッジはボディに1mmほど沈めて設置されている。目を凝らして画像を見れば、ブリッジの形と一致するようにトップが削られているのが判るかもしれない。
前出のROMULUSと比較するとネックはもう一歩スリムで、カッタウェイは一回り大きく取られ、操作系は演奏の邪魔にならないよう弦からかなり離れたところに設置されます。またブリッジが1ミリほど、ボディに沈むように設置されるのも大きなポイントです。これによってボディからの弦高が抑えられ、ボディトップに指を置くスタイルのピッキングが有利になります。
真っ黒に近いシースルー塗装のバック面。よーく見ると、メイプル&ウォルナットの5層ネックがボディを貫通しているのが判る。
トラッド路線を想起させる「CRONUS」。この個体の木材構成は、コリーナ製ボディ&フレイムメイプルトップ、アフリカンマホガニー製ネック&エボニー指板。
CRONUS(クロノス)はギリシア神話における農耕の神の名を冠する、シングルカッタウェイ、弦長24.75インチ、音域22フレットのセットネック機です。CRONUS最大の特徴は、マホガニーネックの剛性を高める本体設計にあります。
カラーはCherry Burst。セレクタースイッチは配置こそトラッド風だが、19フレット地点に設置することでピッキングやストロークのモーションを圧迫しにくい。
CRONUSは、肉厚なネックシェイプと43.6mmという広めのナット幅を持つ太く頑丈なネックが、15フレット地点でボディに接続する設計です。16フレット接続のトラッドなレスポール・タイプに対してネックを物理的に短くすることで、さらにネック剛性を高めています。これによりネックが曲がったりねじれたり、弦振動を受けて動揺したりといったことが抑えられ、明瞭かつ伸びのある力強いサウンドが得られやすくなります。
他のモデルと比べると異彩を放つ、ヒールカットのヒの字もない、しっかりとしたジョイントヒール。しかし、ハイポジションのアクセスは大変に良好。
フロントピックアップ底面の目いっぱいに達するディープジョイント、体積をしっかり残すジョイントヒールといった設計で、頑丈なネックで受け止めた弦振動をそのままボディに伝達します。それでありながらカッタウェイを大きく取っているため、ハイポジションへのアクセスは容易です。
このタイプの王道と言える、エスカッションマウントしたカバードのハムバッカーとTOMブリッジ。この個体のピックアップは、これまた王道のセイモア・ダンカン「SH-2(JAZZ)」と「SH-4(JB)」の組み合わせ。
木目の整った、一枚板のコリーナ製ボディ。コンター加工により身体への負担が少ない。カッタウェイ裏のベリーカットは、ハイポジションの演奏性を更に向上させる。
ヘヴィ志向のヘッドレス「MEDUSA」。この個体の木材構成は、スワンプアッシュ製ボディ&フレイムメイプルトップ、ローステッドメイプル製ネック&ブラックエボニー指板。
MEDUSA(メドゥーサ)はギリシア神話に登場する妖怪の名を冠する、セットネック、弦長25.5インチ、音域24フレットのヘッドレスギターです。ヘッドレス界隈では珍しい、美しく彫り込んだカーブドトップが目を引きます。大きなカッタウェイとスリムなネックがあり、テクニカルな演奏に特に有利です。
ネック先端で弦をネジ留めし、ブリッジ側でチューニングする。クリップチューナーを使うことができない代わりに、余計な出っ張りのないシンプルなデザインを達成している。
カラーはGreen Burst。弦から思い切り離したボリュームポットと、コードストロークを行なうつもりなど毛頭無いと言わんばかりのセレクタースイッチにより、どんな音楽を志向しているかが容易に想像できる。
HADES同様にラウド/ヘヴィ系に特化するコンセプトで設計されており、7弦やマルチスケール仕様も選択できます。トーン回路非採用という電気系はもとより、手元にかなり近いセレクタースイッチも注目に値します。音色を切り替えながらのヘヴィリフやリードプレイが中心、という演奏スタイルに特化しているわけです。
MEDUSAのネックは、ローステッドメイプルが基本。
ネック接続はヒール部を大きくカットした、ROMULUSに通じるセットネックです。HADESを思わせる大きなカッタウェイもあり、ハイポジションのアクセスはことのほか良好です。
バック面の低音弦側に配置する、特徴的なアウトプットジャック。モデル名の刻印されたバックパネルは、かなりモダンな印象。
ブリッジはHipShot社製。ピックアップは激烈な歪みが得られると言われるセイモア・ダンカン「AHB-1(Blackouts)」。
以上、ACACIA Guitarsについてチェックしていきました。極上の木材を使った技術水準の高い木工と考え抜かれた設計が持ち味で、ボディラインやカラーリングなど見た目の美しさも兼ね備えています。今のところ日本ではカスタムショップ製のみ流通しており、他とは違う唯一無二感もあります。とっておきの一台を求めている人はぜひ、実際にチェックしてみてください。
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