「P-90」ピックアップのおすすめモデルを厳選!

[記事公開日]2024/4/30 [最終更新日]2024/6/23
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

P-90ピックアップおすすめ

大型のシングルコイル「P-90」は、PAF型ハムバッカーとフェンダー型シングルコイルに次ぐ、第三の定番ピックアップです。近年ではフロントにP-90を搭載したギターが多く見られ、P-90を2基搭載したギターも市民権を獲得しています。そんなわけでここでは、P-90ピックアップ単体のおすすめモデルを見ていきましょう。ひとことでP-90と言ってもいろいろありますから、より理想的なサウンドに近づけることができるはずです。

いま振り返る、P-90ピックアップの特徴やサウンドについて

ハムバッカーサイズのP-90

今あるギターでP-90を試そうと思ったら、サイズの違いからギター本体を加工しなければならなくなるかもしれません。これに対し、「ハムバッカーサイズのP-90」は、ハムバッカー搭載機に無加工で取り付けることができます。この分野では、セイモア・ダンカンとケント・アームストロングの2社がおすすめです。

Seymour Duncan 「Phat Cat (SPH90-1b / SPH90-1n)」

Seymour Duncan Phat Cat

現代的にアップデートしたヴィンテージ・スタイル

セイモア・ダンカン(Seymour Duncan)「ファット・キャット(Phat Cat)」は、アルニコII磁石を使用したヴィンテージ系P-90をハムバッカーサイズに収めたピックアップです。「Big でFatな素晴らしい(phat)音がする」のがモデル名の由来で、ポジションに合わせて出力を変えています。さらにネック用はリバース(RW/RP)仕様になっており、ミックス時にハムキャンセル効果が得られます。カバーはニッケルとゴールドの2タイプです。

磁石 Alnico 2
DC抵抗 n:7.98kΩ/b:8.49kΩ
特徴 ネック用はリバース
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Kent Armstrong「WPU900 / WPU900V」

低価格でカバーのバリエーション豊富

ケント・アームストロング(Kent Armstrong)」は、半世紀近い歴史を持つピックアップブランドです。特にジャズギター用モデルが有名ですが、PAF型ハムバッカーやP-90などさまざまなモデルに積極的で、性能と裏腹の高いコストパフォーマンスも高く支持されています。

同社の「WPU900」は標準サイズのハムバッカーから交換できるP-90で、アルニコ5磁石を使用するモダンな高出力モデルです。P-90はフロント/リアともに区別が無かったという故事にならってこちらもその区別はありませんが、リバース仕様もリリースしており、組み合わせることでハムキャンセル効果が得られます。「WPU900V」はアルニコ5磁石を使用、出力をやや抑えたヴィンテージタイプです。なお両モデルとも銀色はモダンなクロームで、ニッケルはありません。

磁石 Alnico 5
DC抵抗 WPU900:8.5kΩ、WPU900V:7.8kΩ
特徴 銀色はクローム
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おすすめのP-90ピックアップ

モデル名 磁石 DC抵抗(Ω) SoapBar DogEar 特徴
Gibson
P-90 Alnico 5 8.0k 標準機
P-90 Underwound Alnico 3 7.2k ヴィンテージ系低出力
Seymour Duncan
Antiquity P90 Alnico 2 n:7.80k/b:8.60k エイジド処理
Vintage P90 Alnico 5 n:8k/b:9.7k × 1946年製を再現
Hot P90 Ceramic n:12k/b:15k × 中域が強い
Custom P90 Ceramic n:12k/b:14.6k × 最強の出力
P90 Stack Alnico 5 n:21.4k/b:31.6k × ハムノイズ除去
DiMarzio
Dimarzio Soapbar Ceramic 8.6k 基本モデル
Vintage P90 Alnico 5 8.12k ヴィンテージ仕様
Virtual P90 Ceramic 9.14k × ハムノイズ除去
P90 Super Distortiontm Ceramic 13.50k × 4 Conductor
Kent Armstrong
Stealth 90 Ceramic n:17.2k/n:19.6k × ノイズレス。出力は普通。
Dual Tone Tapped P-90 Alnico 5 8.5k / TAP 時5.65k × タップ機能実装
EMG
P60 Ceramic N/A × ミニハム
P60A Alnico 5 N/A × ミニハム

ではここから、標準サイズP-90のお勧めモデルを見ていきましょう。この分野ではさまざまなブランドがしのぎを削っていますが、P-90の本家ギブソン、ピックアップの2大巨頭セイモア・ダンカンとディマジオ、老舗ケント・アームストロングがお勧めです。

GIBSON 「P-90 / P-90 Underwound」

Gibson P-90

泣く子も黙る、これぞP-90

P-90の本家ギブソンでは、1946年に発明された当時の姿を後世に伝える「「P-90」、出力を抑えた「P-90 Underwound」の2タイプがあります。「P-90」はパワフルかつクリスピーなトーンが幅広いジャンルで活用できる標準機で、アルニコ5磁石を使用、DC抵抗8.0kΩです。「P-90 Underwound」はクリアでブライトなトーンを持つこだわりのモデルで、アルニコ3磁石を使用、モデル名に象徴されるようにコイルの巻き数は抑えられており、DC抵抗は7.2kΩです。両モデルともフロント/リアの区別はなく、ドッグイヤーにブラック、ソープバーにブラックとクリームという3タイプを展開しています。またエイジド加工は非採用で、新品の状態で出荷されます。

磁石 P-90:Alnico 5
P-90 Underwound:Alnico 3
DC抵抗 P-90:8.0k
P-90 Underwound:7.2k
ソープバー
ドッグイヤー
特徴 P-90:標準機
P-90 Underwound:ヴィンテージ系低出力
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Seymour Duncan

セイモア・ダンカンは、これら5モデルからチェックしてみてください。同社はネック用(n)とブリッジ用(b)で出力を分けており、セットで利用することで適切な音量バランスが得られます。また多くのモデルでネック用がリバース(RW/RP)仕様になっており、ミックス時にはハムキャンセル効果が得られます。

Antiquity P90

Seymour Duncan Antiquity P90

年季の入ったルックスで、ヴィンテージギターにも違和感なし

「Antiquity P90」は、1952年製レスポール・ゴールドトップに搭載されていたソープバー型P-90を、内部構造まで緻密に再現したモデルです。甘さときらびやかさを兼ね備えた音色が持ち味で、ネック用はリバース仕様にアレンジされています。カバー、ポールピースともにエイジド加工されているので、ヴィンテーージギターに搭載しても違和感ありません。同じコンセプトでドッグイヤー型もリリースされており、こちらは1959年生ES-330を再現しています。

磁石 Alnico 2
DC抵抗 n:7.80k/b:8.60k
ソープバー
ドッグイヤー
特徴 エイジド処理
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Vintage P90(SP90-1b/1n)

Seymour Duncan SP90-1

ヴィンテージ・スタイルのスタンダード

「Vintage P90」は1946年製P-90を再現したスタンダードモデルで、ギブソン工場で使われていたのと同じマシンでコイルを巻いています。豊かな高域が持ち味で、ネック用は甘くスムース、ブリッジ用は中域が輝き、コードが美しく響き、単音は突き抜けるように前に出ます。ネック用/ブリッジ用の区別はありますが、リバース仕様は非採用です。

磁石 Alnico 5
DC抵抗 n:8k/b:9.7k
ソープバー
ドッグイヤー ×
特徴 1946年製を再現
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Hot P90(SP90-2b/2n)

Seymour Duncan SP90-2

太い中域が持ち味

「Hot P90」はコイルの巻き数を増やし、セラミック磁石を採用した高出力モデルです。単音でも太さが感じられるホットな中低域を持つほか、感度が向上してロングサスティンが得られます。カラーにはブラックとクリームの2色があり、ネック用はリバース仕様です。

磁石 Ceramic
DC抵抗 n:12k/b:15k
ソープバー
ドッグイヤー ×
特徴 中域が強い
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Custom P90(SP90-3b/3n)

Seymour Duncan SP90-3

ハムバッカーをしのぐ高出力が得られる

「Custom P90」は、巻き数をアップしたコイルと大きめのセラミック磁石を採用した、セイモア・ダンカンで最も高出力なP-90です。ちなみに「14.6kΩ」というDC抵抗は、高出力型ハムバッカー「Duncan Custom(SH-5)」の14.1kΩを上回っています。

高域のエッジ感と低域のパンチが際立つ音色で、中域の押し出しも充分あります。セットで使用するパワフルなセットアップのほか、ネック側にVintage P90を使用して守備範囲を広げるセットアップもお勧めです。

磁石 Ceramic
DC抵抗 n:12k/b:14.6k
ソープバー
ドッグイヤー ×
特徴 最強の出力
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P90 Stack(STK-P1b/1n)

Seymour Duncan STK-P1

ノイズレスで、特殊配線も

「P90 Stack」は、二つのシングルコイルを縦積み(スタック)することでハムキャンセル効果を獲得したP-90です。二つのコイルを並列で使うのが標準で、クラシックな音色をノイズレスに得られます。4芯構造なのでコイルタップで音量を下げたり、あるいは直列につないで味変したりと、特殊配線も利用できます。なお縦積みという構造から本体の高さが通常よりあるので、取り付けにはギター本体の加工を要する場合があります。

磁石 Alnico 5
DC抵抗 n:21.4k/b:31.6k
ソープバー
ドッグイヤー ×
特徴 ハムノイズ除去
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DiMarzio

ディマジオ(DiMarzio)のP-90は元祖のギブソンと同様、ネック用とブリッジ用の区別がありません。ポジションごとの出力差は、ピックアップ本体やポールピースの高さ調節などで行います。同社からは王道のサウンドを目指したモデルばかりでなく、そこから逸脱した野心的なモデルもリリースされています。

DiMarzio Soapbar (DP167S / DP167D)

DiMarzio DP167

ディマジオらしさあふれるP-90

ディマジオ社製P-90の基本モデル「DiMarzio Soapbar」は、ソープバー型のDP167Sとドッグイヤー型のDP167Dの両面で展開しています。ローミッドとハイミッドを充実させた、古き良きP-90サウンドが得られます。伝統的な製法ではアルニコ磁石を使用するところですが、ディマジオではセラミック磁石を使用しています。セラミック磁石は状態が安定しており、長い年月に磁力が耐えられます。

磁石 Ceramic
DC抵抗 8.6k
ソープバー
ドッグイヤー
特徴 基本モデル
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Vintage P90 Soapbar (DP280S / DP280BKD)

DiMarzio DP280

優秀なヴィンテージサウンド

50年代後期のP-90サウンドを再現した「Vintage P90」は、ソープバー(DP280S)とドッグイヤー(DP280BKD)両面での展開です。磁力の強い現代の磁石を使いながら低磁力の環境を作り出し、またワックスポッティングを非採用とすることで、アルニコVの個性を活かしながら明瞭なヴィンテージサウンドを得られます。滑らかで温かい高域、存在感のある中域、明るく響く低域を持っており、コードはバランス良く響き、単音では透明感が得られます。

磁石 Alnico 5
DC抵抗 8.12k
ソープバー
ドッグイヤー
特徴 ヴィンテージ仕様
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VIRTUAL P90 (DP169)

DiMarzio DP169

インパクト絶大なルックスでハムノイズを克服

「Virtual P90」は、オリジナルP-90のサウンドをハムバッカー構造で再現したモデルです。現代的な設計と外観ですがヴァーチャル・ヴィンテージ技術により、太さと歯切れの良さのあるソリッドで曇りのないヴィンテージサウンドが得られます。ハムバッカー構造はハムノイズ除去のために採用されており、出力は標準的なP-90の範疇です。

磁石 Ceramic
DC抵抗 9.14k
ソープバー
ドッグイヤー ×
特徴 ハムノイズ除去
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P90 Super Distortion (DP209)

DiMarzio DP209

P-90搭載ギターから地獄のようなディストーションが得られる

「P90 Super Distortion」は、フルサイズ・ハムバッカーの名機をソープバーのサイズに収めた、ディマジオのソープバー内で最大の出力を持つモデルです。ソープバーが収まっていたギターを加工することなく、ハイパワーなハムバッカーをマウントできます。

ソープバーはプラスチックのカバーに収められているぶんだけ、オープンタイプのハムバッカーと同じようには弦に接近できません。この課題に対し出力のアップと磁界の拡張を行なう事で、オリジナル同様のサウンドを達成しています。

磁石 Ceramic
DC抵抗 13.50k
ソープバー
ドッグイヤー ×
特徴 4 Conductor
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Kent Armstrong

老舗ブランドKent Armstrongは、トラッドな外観を維持しながらも中身で独自路線を突っ走る、斬新な設計に積極的です。メイドインUSAの名のあるブランドでありながら低価格を維持する姿勢が、多くの支持を得ています。

Stealth 90 Noiseless P-90

Stealth 90 Noiseless

独自の設計によりハムノイズを克服

「Stealth 90 Noiseless P-90」は、ハムバッカー構造によってハムノイズから解放される静けさを手に入れたP-90です。DC抵抗は恐ろしい値を示していますがこれは仕様上のもので、実際の出力は通常のP-90と同じか、ちょっと控え目くらいです。このピックアップに対しては、ボリュームポットに500kΩ、トーンポットに250kΩ、そして0.022トーンコンデンサの使用がメーカー推奨です。

磁石 Ceramic
DC抵抗 n:17.2k/n:19.6k
ソープバー
ドッグイヤー ×
特徴 ノイズレス。出力は普通。
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Dual Tone Tapped P-90

Dual Tone P-90

2種類の出力を切り替え可能

「Dual Tone Tapped P-90」は、1940 年代のオリジナル P-90を復刻しつつ、現代的なアレンジを加えたモデルです。アルニコ5磁石で6本のポールピースを構成しており、弦ごとの高さ調節は封じられています。シングルコイルの構造ではありますが、インピーダンスを選択できる真空管アンプの出力トランスと同じ発想でタップ線が備わっており、8.5Kのフルコイルまたは5.65Kのタップコイルの選択が可能です。

磁石 Alnico 5
DC抵抗 8.5k / TAP 時5.65k
ソープバー
ドッグイヤー ×
特徴 タップ機能実装

EMG P60 / P60A

EMG P60

分厚い中域が最大の持ち味

EMGは電池を使用するアクティブピックアップの第一人者で、シングルコイルでもハムバッカーでもローノイズでクリアなサウンドが持ち味です。同社の「P60」は、人気ハムバッカーEMG「60」をソープバーの本体に収めたモデルで、太い中域と充分な低域、そして歌うような高音域のバランスを備えています。セラミック磁石を使用する「P60」に対して「P60A」はアルニコ5磁石を使用しており、高域がやや落ち着いたキャラクターを持っています。

なお、アクティブピックアップはその構造上、ギター側のボリュームを絞っても音質は変化しません。高域を損なうことなく純粋に音量だけを変化させられるのが、パッシブとの大きな違いです。

磁石 P60:Ceramic
P60A:Alnico 5
DC抵抗 N/A
ソープバー
ドッグイヤー ×
特徴 ミニハム

以上、P-90ピックアップのおすすめモデルを見ていきました。王道のヴィンテージサウンドを狙ったものばかりでなく、P-90搭載ギターに改造なしで新たなサウンドを与えることのできる、可能性を秘めたモデルも多くリリースされています。P-90搭載ギターのアップグレードや味変ができますので、いろいろとチェックしてみてください。

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