Fender Gold Foil Collection 60年代ガレージ・ロックにインスパイアされたシリーズ

[記事公開日]2023/2/28 [最終更新日]2024/8/22
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

Fender Gold Foil Collection

フェンダー「Gold Foil Collection(ゴールドフォイル・コレクション)」は、50~60年代に作られたゴールドフォイル・ピックアップに注目して開発された製品群です。遠い昔のスタイルを取り入れながらも現代的な弾きやすさが盛り込まれ、また従来のフェンダーとは違ったサウンドが楽しめる、新しいフェンダーとして仕上がっています。今回は、このGold Foil Collectionに注目していきましょう。


Exploring the Gold Foil Collection | Fender
どこか懐かしい、しかしかつてない新しいスタイル。

Gold Foil Collectionの特徴

新開発のFender「Gold Foil」ミニハムバッカー

ミニハムバッカー 金色のアミアミが張られているのがその名の由来。

いわゆる「ゴールドフォイル・ピックアップ」は1950年代、フェンダーに対抗するような形でDeArmond社(USA)とTeisco社(日本)が生産していました。金属製のケースと金色の網を特徴として、内部構造にはシングルコイルもハムバッカーもある、さまざまなゴールドフォイル・ピックアップが作られました。

入門機など比較的低価格なギターに搭載されるピックアップだったため音楽シーンで注目されることはありませんでしたが、近年ではこれまでフェンダー発祥のシングルコイルともギブソン発祥のハムバッカーとも違う、個性的なサウンドが得られるピックアップとして再評価が進んでいます。

フェンダーの「 Gold Foil 」ミニハムバッカーは、このゴールドフォイル・ピックアップのオマージュとして開発されました。名前の通りのルックスと程よい出力、ミニハムバッカー構造からなる独特の中域が得られる、クリアで明るいサウンドを持っています。

独特の木材構成とレトロデザイン

マホガニー製ボディにメイプル製ネック この木材構成でボルトオンという仕様は、実はIbanezやJacksonなどモダンなスタイルのギターに多い。

Gold Foil Collectionの本体は、マホガニー製ボディにメイプル製ネックをボルトオンジョイント、指板はエボニー製という、フェンダーとしては珍しい組み合わせです。ピックアップとの相性からボディ材にマホガニーを、クリアな音質を狙ってエボニーを選んだと推察されますが、既存のギターに新しいピックアップを載せるだけではないという、フェンダーの気合いが伝わってくるようです。

ノスタルジックな外観

ボディカラーも搭載パーツも、最新モデルとは思えないレトロ感が演出されている。

全体に帯びるレトロ感も、大きな特徴です。一見してフェンダーのギターだと判別できる外観を守りながらも、ボディの色調やちょっとしたパーツの演出によって、50~60年代のテイストを感じさせるノスタルジックなデザインになっています。

マッチングヘッド マッチングヘッドは、フェンダーの60年代を象徴するエレガントな意匠。ペグボタンがプラスチック製になっているあたりも重要なポイント。

ビグスビー・トレモロ レトロ感の演出には欠かせない、ビグスビー・トレモロ。エイジドホワイトの「Witch Hat」ノブもその演出に一役買っている。

その一方で、現代的な弾きやすさがある。

現代的なネック 見た感じレトロな楽器だが、ネック仕様は現代的なのでスイスイ弾ける。

ルックスこそレトロですが、ネック仕様の面では現代的な演奏性が考慮されています。60年代の握り心地を意識したという「’60s “C”」シェイプネックの塗装はサテン仕上げになっており、引っ掛かりの少ない滑らかなポジション移動が可能です。またフェンダーの中ではかなり平滑な12″(305mm)Rの指板に高めのフレットを打ち込んでおり、現代的なリードプレイの押弦に特に有利な仕様になっています。ただし、音域は21フレットです。

Gold Foil Collectionのラインナップ

では、Gold Foil Collectionのラインナップを見ていきましょう。ギターではテレキャスターとジャズマスターがリリースされていますが、ここにストラトキャスターが無いあたりにも、フェンダーのこだわりが感じられます。

Gold Foil Telecaster

Gold Foil Telecaster 上:White Blonde、下:Candy Apple Burst

ゴールドフォイル・テレキャスターはマホガニー製ボディにメイプル製ネックをボルトオンジョイント、エボニー指板にミディアムジャンボ・フレットを打ち込んだ本体に、「 Gold Foil 」ミニハムバッカーを2基マウントしています。操作系は3WAYセレクタースイッチとボリューム&トーンというシンプルさです。

Gold Foil Telecaster:バック ジョイント部のヒールカットもバックコンターもない、これぞトラッドなテレキャスターだと言える模範的な後ろ姿。

“CUT-OFF” TELE BRIDGE WITH 3 BRASS BARREL SADDLES

「3-Saddle Custom “Cut-Off” Vintage-Style Tele Bridge」という大変長い名前のブリッジは、リアピックアップをマウントするプレート部分をバッサリと切り落と(カットオフ)した、ヴィンテージ・スタイルのブリッジです。ここに取り付けられるブラス製の3連サドルは、精密なオクターブ調整にこそ不向きではありますが、古き良きテレキャスターのキレの良い弦振動を作るのに欠かせない仕様です。

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Gold Foil Jazzmaster

Gold Foil Jazzmaster
上:Shoreline Gold、下:Candy Apple Burst

ゴールドフォイル・ジャズマスターはマホガニー製ボディにメイプル製ネックをボルトオンジョイント、エボニー指板にナロートール・フレットを打ち込んだ本体に、「 Gold Foil 」ミニハムバッカーを3基マウントしています。フェンダー・ジャガーの操作盤を各ピックアップのON/OFFスイッチに使用しており、あらゆる組み合わせが可能なほか、キル・スイッチとしての使用も可能です。

バックコンター採用により、抱え心地は良好。

ビグスビー&ムスタング用ブリッジ

ムスタング用ブリッジ

採用されているビグスビー社製ヴィブラートユニットは、滑らかなタッチで繊細なヴィブラートができます。一方でアームアップもでき、アグレッシブな演奏も可能です。ムスタング用ブリッジは従来のジャズマスター用ブリッジと比較して遊びやガタ付きの少ない、安定度の高さがメリットです。

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以上、フェンダー「Gold Foil Collection」をチェックしていきました。これまでにないモデルなのにどこか懐かしい、不思議な魅力のあるギターに仕上がっています。一般的なギターとは違った音を持っている個性的なモデルでもあります。ぜひ実際にチェックしてみてください。

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