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作業台にドンっと置かれたアメデラ。いよいよ作業開始です。
打ち合わせの時にも測った弦高ですが、ココであらためてチェック。セットアップの参考にします。
役目を終えたネックが、ついに外されました。お疲れさまでした。
ネックを交換するのにピックガードを外す理由は、後で判ります。ついでに配線チェック。
アメデラでは、ピックアップを安定させるためにゴムチューブが使われています。余計な共振を防ぐメリットのある設計ですが、永年の使用で酸化してしまっていました。
そんなわけで、新品とお取り換え。
ケイグ「D5」接点復活保護スプレーは、酸化や汚れを強力に除去し、導電性を向上させる効果があります。
RH:安価で粗悪な接点復活剤も有りますので、信頼のできる物を選んでお使いください。バンドで1本あると実に便利です。綿棒に付けてエフェクトのジャックのお掃除にも使えますよ!
ネックができました。ヘッド形状はレッドハウスのオリジナルデザイン。
メイプル指板に白丁貝インレイは、斬新ながらクールな美しさ。
暗闇で光るサイドポジションには、視認性向上のため黒い縁取りが。
オーダー主さんの求める「クリスピーな音」のため、ペグはロトマチックタイプからクルーソンタイプへと変更。独自構造「HVC」も、しっかり採用。
仮に合わせた状態。現状ではホイールナットがついていないため、ロッド調整をしようとすると、ネックをネジ留めして、弦を張ってチューニングして、具合を見て、弦とネックを外してロッドを回して、という工程を何度かやらなきゃならんのです。
ホイールナットが付きました。ホイールナットが収まるだけボディを掘削し、誘電塗料を塗っています。
ピックガードも加工します。ネックの取り付けが完了しました。
完成!使い込んだボディが白いネックを一層引き立てます。裏側にスカンクストライプのない、貼りメイプル指板仕様。
左用のヘッドでは、ブランドロゴをヘッド先端から読む形に。むしろこっちの方が正しい配置なのではと思えます。
ナットの溝は、弦の半径くらいの絶妙な深さ。あまり深いと摩擦が生じてチューニングが不安定になり、かといってあまり浅いとハードなピッキングやチョーキングで弦が外れてしまいます。
見る角度によって表情を変える、白丁貝の指板インレイ。ここからの眺めでは、単に白いだけのようにも見えます。
正面から見ると、ピカーと輝く。まばゆい。
指板もフレットも、エッジが丁寧に整えられている。フレット溝のドンピシャな深さが、また絶景かな。
技術ある工房なら当たり前ではあるけれど、ネック寸法もぴったり。ヒール部とネック、二つの面の間に段差が無いこのような状態を「面一(ツライチ)」と呼びます。
長年の酷使によってガタがきていたメインギター。「もう名誉引退かな」と思っていましたが、ネック交換によって「バリバリの現役プレイヤー」となって帰ってきました!
新しいネック、まず見た目、キレイなメイプルネック&指板にビビりました。真っ白な指板に白丁貝がマッチしています。指板は綺麗に縦に目が通っています。ヘッドから、また横からネックを眺めると、年輪の詰まった材であることがわかります。
実際弾いてみて、私のリクエスト通りだと実感しました。ネックが弦の鳴りをしっかりと受け止めてくれる印象、力強いピッキングにもしっかりと応えてくれます。前のボロボロに酷使したネックの時は、ちょっと眠たい音でしたが、交換後は一気にシャキッと目が醒めたように元気な音で鳴ってくれています。音の粒揃い、ピッチの安定感が以前よりも確実に増しています。
少し太め、だけど握りやすい絶妙なネックグリップ。サテンフィニッシュのサラサラ具合が尋常でなく、これまで握ったどのサテンネックよりもサラサラです。かといって手に馴染むような、しっとり感も併せ持っています。
またメインギターとして使っていけるな、と確信しています。
ネック交換して本当に良かったです。
ありがとうございました!
以上、長野県塩尻市、レッドハウスにネック交換を依頼した一部始終をお送りしました。
オーダー主さんは今回、レッドハウスに初めてリペアを依頼しました。が、その前に展示会で実際にレッドハウスのギターに触れ、石橋さんとも話しています。どんなギターを作っているのか、どんな人が仕切っているのか。オーダー主さんはそうしたところに感じるものがあり、石橋さんへの依頼を決めました。
オーダー主さんには現状への不満と、欲しい音のイメージがありました。その解決策としてネック交換を思いつき、レッドハウスに石橋さんを訪ねました。しかし石橋さんは、欲しい音のために本当にネック交換が必要なのか、ゼロベースで考えました。顧客が欲しいのはネックではない、音だ、と理解してくれていたのです。
結果は、見事なものでした。永年の使用でくたびれたギターは、リクエスト通りのサウンドを持った、想定を超えるクオリティの楽器として生まれ変わりました。やや太めに思えたネックグリップも、むしろそれが正解だったと感じさせる出来栄えでした。
ギター本体に関する不満や心配は、プロのリペアマンが解消してくれます。みなさんもぜひ、試しにちょっとした調整からでも、リペアショップを訪れてみてください。最後に、今回の取材で分かったことをまとめてみました。
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