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ヴァンザント(Van Zandt)は、80年代末に発足したピックアップメーカーです。「ヴィンテージ以上にヴィンテージ」とまで激賞される高い品質のハンドメイドピックアップは、故スティーヴィー・レイ・ヴォーン氏やエリック・ジョンソン氏が愛用して人気と知名度が瞬く間に上がります。その後このピックアップの性能をいかんなく発揮するギターを目指し、「Vanzandt」のブランド名で日本の工房によるギターの生産が開始されました。
日本国内では区別がルーズになっていますが、ピックアップのメーカーとしては「Van Zandt」と分けて表記し、ギターのブランドとしては「Vanzandt」とつなげて表記します。
VANZANDTのピックアップ
W.L.ヴァンザント氏がヴィンテージギターのトーンを目指してピックアップの試作第一号を完成させたのは1970年です。それ以来友人や知人に自作のピックアップを提供していましたが、次第に評判になり1987年から一般向けに販売を開始します。しかしこの段階でもヴァンザント氏一人での手作りで生産をしており、月産は200基から300基でした。
ギターのヴァンザントは1993年にリリースされます。PGM(Professional Guitar Manufacture)で一本一本手作りされるギターは、世界的に高く評価されています。
ちなみにPGMは1978年、国産ハイエンドギターブランド「MOON」の製作部として発足。TOTOのスティーヴ・ルカサー氏の赤いストラトを製作し、注目を集めました。
ヴァンザントのギターは、「ヴィンテージギターに肉迫するサウンドクオリティ」と「現代の楽器としての利便性」を両立させた「ネオ・ヴィンテージ」ハイエンドギターを目指して設計されています。そのため廉価版や量産品を生産するつもりはなく、どれもが熟練の職人によってキッチリと丁寧に作られています。ルックス的にはフェンダーのコピーブランドですが、コピーの範疇に収まらないサウンドと品質が特徴です。
また品質とコンディションに対してメーカーが責任を持つという姿勢から、新品購入者に限り木工部分に対して永久保証がついています。
ヴァンザントのギターは、特にネックが高く評価されています。心地よいサスティーンと豊かな倍音を提供するネックは「メインコンダクトネック」と名付けられていますが、その設計の秘密は公表されていません。一説にはあらかじめ順ゾリ気味にネックを作っておき、組み込みの段階でトラスロッドを締め込んで真っすぐにするのではないかと考えられています。一般的にトラスロッドが締められると、緩んでいる状態よりもネック本体の剛性がアップして、音の芯が強くなります。
またナットにはスムーズに弦が滑るオイル漬けの牛骨、ローズ指板ではレスポンスが良く硬質なマダガスカル・ローズウッドをセレクトするなどリッチな仕様で、さらにフレットのエッジが球面に仕上げられ、また指板のエッジが丸く整えられているなど、プレイアビリティのための職人の仕事が随所に施されています。あまりに好評なためネックのみでの販売もされていますが、ヘッドにブランドロゴはつきません。
ポリウレタン塗装に比べてラッカー塗装は塗膜を薄くできるため、楽器の振動を邪魔しにくくサウンドが良くなりますが、ヴァンザントでは下地から高級なニトロセルロースラッカーで極薄の塗装をしています。ラッカーは出荷されてからも溶剤がじわじわと揮発していき、年単位で硬化していきます。時間とともに木目が浮き出てきたり変色したりと「味」が出てきますが、それにつれてサウンドも倍音が豊かに響く、抜けの良い音へと成長していきます。
その他、
など、見える所や見えない所でヴィンテージトーンと品質を追求した設計と職人の業が活かされています。
日本の職人が作ったレスポンスよく「鳴る」楽器にヴァンザントのピックアップをマウントすることで、ヴァンザントのギターは完成します。ピックアップはそれぞれに狙ったサウンドを持っており、’50や’60など狙った年代、ロックやブルースなど狙ったジャンルにフィットするように作られていますが、ヴィンテージギター特有の「コリッ」と言う成分がブレンドされた明瞭で抜けるサウンドを得ることができます。
サウンドの要となるピックアップは特にストラト用のバリエーションが多く、50年代仕様、60年代仕様などの他にエリック・ジョンソン仕様、ジミ・ヘンドリックス仕様などのピックアップセットもリリースされています。セットは「キャリブレートシステム」と称し、各コイルのターン数を調製してバランスを取っています。
ピックアップにはハムバッカーやP-90タイプといったレスポール向けのものもありますが、ギター本体はフェンダーのスタイルを踏襲したルックスのものに絞られています。「ネオ・ヴィンテージ」を標榜するラインナップはヴィンテージに追随する単なるコピーで終わること無く、独自のアレンジやこだわりが施されています。また新品出荷時には10-46のゲージの弦が張られています。
ストラトタイプとテレキャスタイプのバリエーションが充実しています。ボディ材、指板材、使用ピックアップの組み合わせでラインアップができていますが、STV-R1のみ若干ネックが細くなっています。
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アルダーボディ、21フレット仕様の伝統的なジャズマスターのスタイルですが、ジャズマスター特有の「プリセットスイッチ」の代わりに「ホーネット・スイッチ」が付けられています。これはいかなるポジションからでも「シリーズ接続(=二つのシングルコイルを直列につなぐ。疑似ハムバッカー)」にアクセスします。疑似ハムバッカー時に有効なボリュームとトーンも実装しています。
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ストラトキャスターやテレキャスターなどに比べて「チープ」な仕様ともいえるフェンダーのエントリークラス「デュオソニック」及び「スウィンガー」を模したモデルで、ボディ形状以外の仕様は共通しています。オルタナティブやシューゲイザーなどのジャンルで求められるスタイルですが、楽器としての基本性能をアップさせるためにネックスケールを24インチに延長し(それでもショートスケール)、ボディバランスをしっかり取っています。またセンターポジションでシリーズ接続(=疑似ハムバッカー)ができるようになっています。
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