CAJ(CUSTOM AUDIO JAPAN)のギターケーブルについて

[記事公開日]2014/10/20 [最終更新日]2016/12/13
[編集者]神崎聡

CUSTOM AUDIO JAPAN のギターケーブル

1980年代初頭、アメリカの「ボブ・ブラッドショー」が「CAE(Custom Audio Electronics)」という技術集団を立ち上げました。多くのミュージシャンが音響機材の性能に不満を持っていた当時、CAEは信頼性が高く音質にも優れている「ラックシステム」を発表します。それがプロの間で話題となり、自身のシステムに導入するミュージシャンが続々と現れます。

1996年、CAEで培った技術やノウハウを「日本のプレイヤーにも体験してほしい」という思いから、「CAJ(Custom Audio Japan)」が立ち上げられました。宣伝は殆どせず、ミュージシャンの「クチコミ」だけで今の地位を確立したCAJは、ある意味では「異端」と言える存在でしょう。

そんなCAJですが、今ではラックシステムからエフェクターペダル、オーディオケーブルなど、様々な機材を取り扱っています。プロからハイ・アマチュア向けの製品を取りそろえており、その高い品質が世界から認められています。

CAJ製品の特徴

CAJのシールドケーブルは「柔軟性」と「素直な出音」を強く意識した製品が多いです。ラインナップは2種類と少ないですが、どちらも「使いやすいモデル」となっており、ライブからレコーディングまで、様々な場面で活躍します。

そもそも、同ブランドのシールドケーブルは、「ラックシステム用のケーブル」が求められたことがきっかけで誕生しました。当時、CAEで作られていたラックシステムに使用するケーブルの数は膨大であり、取り回しが悪く、かなり重量がありました。音質の高さは認められますが、硬くて重いケーブルのせいで「使いにくい機材」となっていたのです。

数年後、「柔軟で軽いケーブルが欲しい」という現場の要望から、CAJがシールドケーブルの開発に着手します。こうして生まれたのが「Guitar Cable」というモデルです。「ケーブルで音を変えるのはおこがましい」という開発者の考えもあり、同ブランドのシールドケーブルは、「楽器本来の音」を鳴らすことに重点を置いています。シンプルに取り回しの良さと耐久性、音質を標準以上に兼ね備えた「Guitar Cable」はCAJのギター用ケーブルとして定番の地位を築きました。2011年、音質により磨きを掛けた「Recording Pro Series」という、レコーディング向けの製品をリリースします。

そして2013年、CAJはケーブル周りのラインナップを大きく刷新します。CAJの刻印が入ったオリジナルプラグと、ヨーロッパ屈指のケーブルメーカーであるKLOTZ社の線材を使った「KLOTZ Master’s Choice」シリーズを新たに投入しました。当初パッチケーブルが主だったこのシリーズも今では10mまでのものまでラインナップされ、2016年現在、Guitar CableとRecording Proは販売終了となり、Master’s Choiceと、それまでのGuitar Cableを引き継いだ通常モデルの2種で展開されています。

ギターケーブルのラインナップ

Guitar Cable

CAJ ギターケーブル IL-5M

現在ではGuitar Cableというモデル名は削除され、「IL-3M」など、プラグの形状と長さだけの表記での販売となっているようですが、便宜上「Guitar Cable」という項目にまとめます。

「Guitar Cable」はCAJ製品の「看板モデル」であり、外観から出音まで、全てにおいてシンプルなのが特徴です。上述にある開発者の考えをそのまま製品化したモデルで、出音は限りなく「フラット」ですが、「超高音域(プレゼンス)」が僅かに持ち上がっていることにより、しっかりと音が抜けてきます。

ギターやベースの持ち味をしっかり引き出してくれる上、「エフェクターの乗りが良い」ので、音作りがしやすいのも嬉しいところです。「アタック感」と「レスポンスの速さ」にも目を見張るものがあり、ギタリストのピッキングニュアンスもしっかりと表現することができます。

プラグには信頼性の高い「スイッチクラフト製」の物を使用。ケーブル自体も頑丈で、柔軟性に富んでいるので、多少乱雑に扱っても壊れることがありません。高い信頼性と耐久性、そして音質。Guitar Cableは全てを兼ね備えている「万能モデル」といえるでしょう。CAJのシールドケーブルを選ぶ場合、まずはこのモデルから試してみましょう。

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KLOTZ Master’s Choice

おもに「MC~」と製品名に冠されるこのシリーズは、冒頭に述べたとおり、ドイツ製のKLOTZケーブルと、スイッチクラフト製をベースとしたCAJオリジナルのプラグを合わせて製作された、同社の看板モデルとなるシールドです。

「弾きやすいケーブル」を目指して製作されたその音質は、CAJの公式ウェブサイト上のコメントでも分かる通り、数多いミュージシャンをしてワイドレンジと言わしめるもの。同社の中では上位に位置するモデルながら、買い求めやすいリーズナブルな値段を実現しているのもうれしいところであり、ギター用とベース用が別々にラインナップされているところも、他社とやや異なっています。

レコーディング製品をメインとするCAJだけあって、プラグだけの販売も行っています。ハンダ付けに慣れているプレイヤーであれば、線材とプラグを別々に購入し、自作するのも良いでしょう。

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Recording Pro Series(生産終了)

CAJ Recording Pro Series RP2M LE 2m(S/S)

「プロのレコーディング現場に対応するケーブルを作る」というコンセプトの元、開発されたのが「Recording Pro Series」です。CAJ15周年モデルでもあるRecording Pro Seriesは、「フラットな出音」をウリにしているGuitar Cableと異なり、「タイトな低音」が充実していることが特徴です。

アタック感こそ少ないですが、低音弦のダイナミクスレンジが広く、「パワフルな音」を鳴らすことができます。適度なコンプ感もあるので、良い具合に音がまとまっているのも特徴です。Guitar Cableを発展させ、より「楽器のおいしいポイントを引き出せるシールドケーブル」に仕上がっています。ギターはもちろんのこと、ベースに使うのも良いでしょう。

ちなみに、Recording Pro Seriesは名称に「Recording」とありますが、決して「レコーディング専用モデル」ではありません。ステージでも十分に性能を発揮することができるので、ライブ活動が中心のミュージシャンにも試してもらいたい一本です。

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