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Line 6の「HX Stomp(エイチエックスストンプ)」は、同社のフラッグシップ「Helix(ヒーリックス)」のサウンドをそのままに、驚異的な小型化を実現したアンプ/エフェクト・プロセッサーです。ここを出発点に、フットスイッチを増やして操作性を飛躍的に向上させたのが、「HX Stomp XL」です。フットスイッチ増設により、何が起こったのでしょうか。今回は、このLine 6「HX Stomp XL」に注目していきましょう。
Line 6 HX Stomp XL これ1台でサウンドメイクは完成!ゼロから音作りし、DAWレコーディング&パフォーマンス。新たな芸術表現に挑戦?!
Line 6 HX Stomp
はじめに、先輩機種「HX Stomp」がどういうデバイスなのかを見ていきましょう。「HX Stomp XL」は本体のサイズ以外、ほぼすべての機能と特徴をここから受け継いでいます。
Line 6 Helix Floor
Line 6のフラッグシップ「Helix」は、DSPを2基搭載した強力なマシンパワーを武器に、究極の音質と究極の利便性を達成した、一台完結型のアンプ/エフェクト・プロセッサーです。プロ向けの製品でありながら操作はカンタンで、「ブロック」に見立てたエフェクトやアンプを並べていく音作り、カラー表示に合わせた色で光るフットスイッチなど、感覚的な操作も魅力です。
「HX Stomp」はDSPこそ1基ですが、Helixのモデリングエンジンを継承、機能はぎゅっと凝縮、フットスイッチ3基まで小型化して、コンパクトエフェクターのサイズを達成しています。持ち出しにたいへん便利なほか、エフェクターボードへも容易に組み込めるため、コンパクト派の人もHelixのサウンドを使えるようになったわけです。
Line 6 HELIX – Supernice!エフェクター
「ブロック」は、Helix/HXファミリー製品を扱うために、非常に重要なキーワードです。ワウやボリュームペダル、アンプやキャビネット、各種エフェクトなどひっくるめて「ブロック」と定義し、ブロックの選択と並べ方でプリセットを作ります。
上:HX Edit
下:HX Stomp XLのディスプレイ
それぞれエフェクトブロックの表示画面
「HX Stomp」はHelixの「HXモデリング・エンジン」をそのまま搭載、Helixで使える300種以上の音色をぜーんぶ使うことができます。また最大8ブロックを自由に選んで同時に使用できるうえ、二手に分けた信号それぞれに別々の処理をかける「パラレル・ルーティング」まで可能です。
使用できるサウンドは歪みや空間系など定番系からワーミーなど飛び道具までの各種エフェクター、ギターアンプやキャビネットまであり、ベース用の音色もあります。ヴィンテージ機材のモデリングばかりでなくLine 6オリジナルのエフェクトやアンプまでありますから、かつてない未来のサウンドを作ることもできます。
Line 6は、初代「POD」以来20年以上、名機のサウンドをデジタルで再現する「モデリング」に取り組んできました。Helixの「HXモデリング・エンジン」はその最新版で、良いものを作るためには時間も予算も惜しまない姿勢でゼロから解析をやり直し、アンプ1台の再現に1か月を要したほど、詳細にデータを集積しています。その結果、これまではどうしても残っていたデジタル特有の過剰なクリアさも解消した、キメの細かい究極の再現性を達成しています。
Helixでは、ブロックをずらりと並べた状態を「プリセット」と呼びます。演奏においてはプリセットを切り替えたり、プリセット内にある特定のブロックをON/OFFしたりして、サウンドを切り替えます。このほか特徴的な機能「Snapshot(スナップショット)」モードが便利です。これは各ブロックのON/OFF、各ツマミの状態までをまとめて一発で呼び出すもので、プリセットを切り替える時のような音切れを起こさず、自然なサウンド切り替えができます。
なお、最新の3.10ファームウェアでは、作成したスナップショットに名称やフットスイッチのカラーを自由に割り当てることができるようになりました。
エフェクトボードに組み込むために重要な機能として、「HX Stomp」は完全にバイパスすることもできます。バイパスには2種類あり、「アナログバイパス(=トゥルーバイパス)」は起動した瞬間に全部のエフェクトを容赦なくバッサリと遮断します。いっぽう「DSPバイパス」は、起動までのディレイやリヴァーブが残ります。
HX Stompの接続端子
「HX Stomp」は、本体の背面と側面をフル活用して、拡張端子を充実させています。外部エフェクターを増設できるセンド/リターン端子は、ギターアンプのセンド/リターンと連携させた「4ケーブル・メソッド」に応用できます。このほかエクスプレッション・ペダル、ヘッドホン、MIDIケーブルが接続できるほか、PCなどとUSB接続することもできます。
HX Edit画面
PCとの連携では、Mac/Windows用無償アプリ「HX Edit」で音作りができるほか、プリセットをバックアップすることができます。PCを介して別のHelix(HX)シリーズとプリセットを共有することもできますから、メインでHelixを使っている人が、気軽な持ち出し用に「HX Stomp」を使う、ということもできます。
このほかオーディオインターフェイスとしてDTMに使用できるほか、「QWERTY Hotkeys コマンド」を駆使して「Youtube動画を10秒戻し」や「録音開始」など、フットスイッチでPCを操作できます。
Line 6 HX Stomp – Supernice!エフェクター
Line 6 HX Stomp XL
いよいよ、本題の「HX Stomp XL」を見ていきましょう。基本操作、搭載するDSP、収録する音色、接続端子、PCとの連携など、フットスイッチ以外の仕様はそのまま引き継がれています。「HX Stomp」からの変更点は、「3基のフットスイッチを8基に増やした」こと、この一点に尽きます。そのぶんだけ、目の前に並べられる音色を増やすことができます。
しかし、メリットはそれだけではありません。フットスイッチ増設によって操作性が跳ね上がり、新しい使い方ができるようになっています。スイッチ増設によって何が起こったのか、そこに注目していきましょう。
立ったまま各ペダルのパラメータ操作が可能になる
フットスイッチが増えたことで可能になったのが、Helixに備わっている「ペダルエディット」モードです。ギターから手を放さず、ピックを持ったまま、フットスイッチの操作だけでブロック選択、パラメータ選択、数値の増減までできるわけです。
ギターを持ったまま足元のツマミに手を伸ばす、ちょっとした面倒が解消されます。また、ツマミを回すためにピックを置いて、ツマミを回して、さて弾くか、おやおやピックはどこへ行った、といった「エフェクター操作あるある」がなくなります。
フットスイッチを踏み込まなくても、指先で触れるだけで操作できる。机上用途にも適している
手で操作したい人も、スムーズに音作りができます。HX Stomp XLのフットスイッチはHelixと同じく、指先でのタッチを認識する「キャパシティブタッチ・フットスイッチ(静電容量式タッチスイッチ)」となっています。各フットスイッチに「チョン」っと触れるだけで操作したいブロックを呼び出し、3つのノブで調整していくいことで、サクサクと音作りを進めていくことができるのです。
本体上面に設置されていた「ボリューム」ノブは、「HX Stomp XL」では背面に変更されています。押し込んでから回すタイプでもありますから、踏み替え時などに誤って音量を変えてしまうような心配がなくなりました。
また、「Snapshot」モードでのプリセット切り替えにおいて、「HX Stomp」ではフットスイッチ二つ同時押しだったところ、「HX Stomp XL」では「△」および「▽」スイッチを使用します。これにより誤って操作してしまう可能性が大幅に抑えられています。
「Stomp」モードでは、エフェクターのON/OFFをフットスイッチに割り当てることで、実際にコンパクトエフェクターを並べているかのような切り替え操作ができます。
ここからもう一歩発展し、1基のフットスイッチにいくつものエフェクトを割り当てることができますから、スイッチャーのような使い方も可能です。さらに、例えばディレイの「長め/短め」のように、パラメータの値を切り替えることもできます。
Hotkeyコマンドを割り当てる画面
フットスイッチの数だけ「QWERTY Hotkey コマンド」を使えるのが、しっかり使い込む人にとっての大きなアドバンテージです。PC/DAWのショートカットキーをフットスイッチにアサインできるので、録音開始、再生開始、停止、頭出し、アンドゥ/リドゥといったいろいろな操作を、ギターを構えたまま足でできることになります。ギターの録音が異常にはかどります。
このほか、PCと連動する連動する照明や映像の機材まで、システムを総合的に操作するマスター・コントローラーとしても使用することができます。
「HX Stomp」にフットスイッチを大幅に追加した「HX Stomp XL」は、最高レベルのサウンドを自由に使えて、手でも足でもカンタンに設定でき、拡張性もあります。単体のアンプ/エフェクト・プロセッサーとして優秀であるほか、システムの司令塔としてほかの機材を操作することもできます。ここからさらにもうちょっと、「HX Stomp XL」のメリットを深堀してみましょう。
HelixシリーズおよびHXシリーズは、同じファームウェア/サウンド・エンジンを持ち、操作法もほぼ共通、またいずれも無償アプリ「HX Edit」で音作りができ、シリーズ内でデータの共有ができます。Helixを一軍起用している人は、同じ音で「HX Stomp XL」を気軽な持ち出し用に利用できます(※ブロック数制限やDSP容量の違いなどから完全な状態では共有できない場合があります)。また、HX Stompを使っている人は、全く同じ音で「HX Stomp XL」に乗り換えることができます。
PCとの接続は、USBケーブル一本で完了です。これだけで「HX Stomp XL」はオーディオインターフェイスとして機能するほか、「ホットキー」の利用でPCの操作を足元で完結できます。なんのエフェクトもかかっていないドライサウンドを録音し、その信号を「HX Stomp XL」に通過させてる技「リアンプ」も使えます。リアンプは録音が完了してからでもアンプやエフェクトを変更可能なほか、ギターサウンドの演算処理を「HX Stomp XL」に任せることで、PCにかかる負荷を軽減することができます。
ユーザー登録を済ませると、HelixのサウンドをPCで出せるプラグイン「Helix Native」を通常の半額以下となる特別価格で入手できます。二つのDSPを駆使するHelixと同じものなので、インストールするPCにはそれなりのスペックが要求されます。しかし物体を増やさず自室でHelixを使用できるメリットは、かなりのものです。
POD Go Wireless
HX StompおよびHX Stomp XLに近い価格帯に、「POD Go」シリーズがあります。どちらもHelixゆずりのサウンドを持つ高性能アンプ/エフェクト・プロセッサーです。一台完結型カンタン高性能の「POD Go」、拡張型ミニサイズHelixの「HX Stomp」といったコンセプトに違いがありますが、ほかにどんなところが違うのでしょうか。
カラー液晶画面は、そのサイズと表示方法に違いが見られます。「POD Go」シリーズではその大画面を活かして各ブロックをイラスト的に表示、並んでいるブロックの各機能が一瞬でイメージできるわかりやすさがあります。「HX Stomp」シリーズのブロック表示はHelix同様に、色分けされた正方形を並べます。各色が示すものを把握しておく必要こそありますが、この表示だから画面はあまり大きくなくても大丈夫です。
「POD Go」シリーズは、ボリュームペダルやアンプなどあらかじめ6ブロックが用意されており、エフェクトは最大4つまで自由に追加で選択できます。ルーティングはシリアル(直列)のみとなります。選択肢を絞り込むことで、迷わず使えるようになっています。いっぽう「HX Stomp」シリーズは、最大8ブロックを自由に選択できます。アンプモデルを使用した標準的なセッティングはもちろん、エフェクトを8つ並べたり、パラレル(並列)ルーティングをすることも可能です。
「POD Go」シリーズはMIDI端子なし、「HX Stomp」シリーズはMIDI端子ありです。「POD Go」シリーズは、USBを介してならばMIDI信号を送受信できます。
Mac/PC用アプリは二分しており、「POD Go」シリーズには「POD Go Edit」が、「HX」シリーズには「HX Edit」があります。「POD Go Edit」はまさにPOD Goシリーズのためのものですが、「HX Edit」はHelix/HXファミリーの全てに使用できます。
《ワイヤレスの解放感を、最高レベルのサウンドで》Line 6 「POD Go Wireless」アンプ/エフェクト・プロセッサー
以上、Line 6「HX Stomp XL」に注目しました。大きくなりすぎない本体に、フラッグシップモデルと同様のサウンドが詰めこまれている、多機能多音色のデバイスです。エフェクターボードに組み込んだメイン機としても、あるいはHelixのサブ機としても、PCと連動したシステムの操作にも使える柔軟性を持っています。アンプ/エフェクト・プロセッサーという概念を超えて、新しい芸術表現が可能となるかもしれません。ぜひ実際に、この操作性とサウンドをチェックしてみてください。
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