ワウペダルの使い方とおすすめモデル

[記事公開日]2022/7/12 [最終更新日]2023/10/1
[編集者]神崎聡

ワウ・ペダル

ワウ・ペダル(以下ワウ)は、ペダルを踏みこむことで「ギターの周波数帯を変化させる」エフェクターです。踏みこんだ状態は高音域がブーストされ、上げた状態では中低音域がブーストされるようになっています。ワウはペダル型エフェクトの代表選手ですが、出音の周波数帯域を変えるという特性から、フィルターの一種に分類されることもあり、実際にオートワウなどはマルチエフェクターではフィルターのカテゴリに入っていることもあります。

ギター博士「ロックなリフやギターソロに、ファンキーなカッティングにも、ワウは使えるゾィ!動画では【半止め】ワウにも挑戦したんぢゃ♪」

六弦かなで「人の声みたいで、なんていうか、すごく、本能に訴えかけてくる音だあ!」

ワウ・ペダルの使い方

ワウは「リードプレイ」や「カッティング」で使われることが多いです。足元でサウンドを変化させることができるので、「音色に表情」をつけることができます。ギターソロの頭で踏みこんだり、4分のリズムで踏みこんでカッティングをすると、エモーショナルなプレイを展開することができるでしょう。

またギターソロの時に歪ませて使用することで、フィードバックを自在に操ることができるのも魅力の一つ。踏み込んだ状態だと高音域がブーストされるので容易にフィードバックを発生させることができ、戻すと高域カットとなりフィードバックの量が下がっていきます。この動作によって自分の気持ちいいところでフィードバックを延ばして恍惚の表情になるも良し!エレキギターという楽器の表現の幅を大いに広げてくれるのがワウ・ペダルです。

ワウを使った著名ギタリスト

エリック・クラプトン

Wah-Wah – Eric Clapton & Band

エリック・クラプトン氏はローリングストーンズ誌が発表する「歴史上最も偉大なギタリスト」第4位にランクインしたギタリストです。クラプトン氏のリードプレイにワウペダルは欠かせず、ワウを使わせたら右に出る者はいない程の名手でもあります。
1967年、世界に初めて登場したワウペダル「Clyde McCoy Wah-Wah Pedal」を、アルバムのレコーディングの最中にニューヨークの楽器店で入手し、そのまま「英雄ユリシーズ」で使用しました。ギタープレイヤーを席巻するワウペダルの歴史は、ここからはじまったと言われています。その後も彼の曲にはワウペダルが欠かせないものとなり、現在はVOXとJIM DUNLOPのものを曲によって使い分けているとされています。

ジミ・ヘンドリックス

Ezy Ryder

ギターの神様、ジミ・ヘンドリックス。ファズ・エフェクターと並んでジミのギタープレイの重要な要素となっているのがワウ・ペダル、「たんにカッティングの時に使う」というようなありきたりな使い方だけでなく、非常に個性的な使い方をしたことで知られています。ジミ・ヘンドリックス氏はクリームでのエリック・クラプトン氏のプレイに触発され、1967年頃からワウを使用し始めたと言われており、クラプトン氏と同じく、やはり当時ワウペダルを初めて開発したVOXのものを愛用していました。アルバム「Electric Ladyland」に収められたVoodoo Child、Still Raining,Still Dreamingなどではジミの達人級ワウペダルを聴くことができます。現在、JIM DUNLOPからは彼のシグネイチャー・ワウペダルが発売されています。

マイケル・シェンカー

MICHAEL SCHENKER:INTO THE ARENA

「神」と呼ばれるギタリスト、マイケル・シェンカーはワウ・ペダルを半分だけ開いたまま固定してギターソロを弾く、という独特のスタイルでワウペダルを使っています。この中域が少しだけ強調された独特のトーンに多くのギタリストが魅了され、フォロワー・ギタリストによって真似されています。使用したのは JEN社の CryBaby wah、ギアの可変域を狭く改造して使用していたとのことです。

スティーヴ・ヴァイ

世界最高峰のテクニシャンで、唯一無二の存在感を持つギタリストであるスティーヴ・ヴァイ氏も、ワウの愛用者として名高い存在です。Morleyのシグネイチャー・モデルを愛用しており、主にリードギター時に使用します。彼は音色変化を過激にするために、歪んだ音の後段にワウを配置していると言われており、叫ぶようなサウンドを自在に扱ったり、強烈なアーミング奏法との併用で、まさに人がしゃべっているような演奏をするのも得意としています。

ワウで有名な定番3大メーカー

VOX

トランペット奏者Clyde McCoyのミュート奏法に着想を得て世界で初めてワウを作り出したのが、VOXブランドを擁するJMI(Jenninga Music Industries)と、共同で製品開発に携わったThomas Organ。最初期の製品にはそのClyde McCoyの名が冠されました。そんなワウペダル誕生の系譜をそのまま受け継ぐのが現在のVOXで、変化量が緩やかでウォームな音を信条とする、昔ながらのワウペダルを得意としています。V84シリーズはまさにワウペダルの代表的製品と言って良いでしょう。

V847-A

VOX V847-A

VOXワウの定番。1960年代に数々の名演に残された音色を今に伝える一台です。音痩せに配慮し新開発された高品位なバッファを内蔵。可変幅には現代的なエグさはなく、使いやすい帯域に収まっており、ヴィンテージのオリジナルに近いウォームなサウンドを意識しており、その頑強な作りも確かな信頼性を感じさせます。

VOX V847-A – Supernice!エフェクター

V845

VOX V845

V847を全体的に踏襲しつつも、EQ特性をややロー側に寄せたようなサウンドになっており、全体的に暗めなトーンに落ち着いています。現代的なハイゲインのアンプにも合わせやすくなっており、V847に比べるとモダンなテイストを色濃く持ったモデルと言えるでしょう。このサイズのペダルエフェクトにしては驚異の軽さを誇り、しかも非常に安価なので、初心者の最初の一台にもおすすめです。

VOX V845 – Supernice!エフェクター

V846 HW

VOX V846 HW

厳選したパーツを徹底したハンドワイヤードで組み上げたVOXワウのフラッグシップモデル。ヴィンテージ仕様のインダクターを使うことで、当時の音を蘇らせるという命題をクリアし、ハンドワイヤードによる、ノイズや濁りのないサウンドはこの3機種の中でもやはり飛び抜けています。トゥルー・バイパス仕様による音痩せの無さも特筆すべきで、音痩せがしやすいというワウペダルの弱点を見事にクリア。ハンドワイヤードとは言え、とてつもなく高価というわけではないので、一足飛びにこれを導入するのも良いでしょう。
ページ上部のギター博士の動画でも使用されています。

VOX V846 HW – Supernice!エフェクター

JIM DUNLOP

VOX、Thomas Organが1967年後期に製造した「CRY BABY」は様々な系譜をたどり、現在では完全にVOXから離れて、このJIM DUNLOPの製品として世界中に出回っています。VOXワウに比べて現代風で、可変幅や踏みしろが大きく、その強烈な効果から非常に多くのファンを持ち、ワウの二大巨頭のうちの一翼を担っています。JIM DUNLOPは他にもハードロック系を中心に、名だたるギタリストのシグネイチャー・ワウペダルを10種以上もラインナップしており、その選択肢の幅広さも魅力です。

GCB-95 CRY BABY

CRYBABY GCB-95

Cry Babyの中でも代表的な位置づけにあるモデル。VOXワウに比べると特に高域側の変化量が多く、最大まで上げて弾くと少し耳が痛くなるほど。その可変幅ゆえに激しく歪んだ音にも相性が良く、まさに叫ぶようなサウンドを作り出すことができます。

JIM DUNLOP CRYBABY GCB-95 – Supernice!エフェクター

CRY BABY 95Q

JIM DUNLOP 95Q CRYBABY

踏み込んだ際に自動でスイッチが入り、バネによって足を離すと勝手に戻ってくるという、ありそうでなかった機構を搭載したワウペダル。マイケル・シェンカーのように途中で止めたままの音を出すことはできませんが、スイッチが硬くてオンオフし辛いといった、よく耳にするワウペダルの悩みを一気に解決できるモデルです。下記のMorleyなどはセンサーでON/OFFを切り替えるような機構のものを製造していますが、大御所JIM DUNLOPによる同系統製品といっても良いでしょう。

JIM DUNLOP 95Q CRYBABY – Supernice!エフェクター

GCB-95F CRY BABY CLASSIC

Jim Dunlop CRYBABY GCB-95F

オリジナルのCry Babyに搭載されたイタリアFasel製のインダクターを使用し、ヴィンテージ仕様とした製品。先祖が同じであるVOXのワウにも近い傾向となり、通常のCry Babyに比べて、可変幅がやや狭くなり、大人しめの高域にディープな中低域を特徴としています。クリームやレッド・ツェッペリンなど、60~70年代によく使われたサウンドを持っていますが、実はローに寄った帯域はヘヴィな音にも相性がよく、現代風のモダンなハイゲインに合わせても使いやすい特性を持っています。

Jim Dunlop CRYBABY GCB-95F – Supernice!エフェクター

MORLEY

スティーヴ・ヴァイのシグネイチャー・ワウペダルで有名なMORLEY。他にも何種類かのシグネイチャーモデルがラインナップに入っており、ワウペダルのブランドとしてはVOX、JIM DUNLOPに継ぐ第3の地位を確立しているメーカーです。

MORLEY 20/20シリーズ

20/20 Power Wah Volume

スティーヴ・ヴァイの意見をもとに設計された、スイッチレスのワウ「Bad Horsie」で有名なMORLEYが2020年にリリースした新たなワウ/ボリューム・ペダルのシリーズ。Bad Horsieは大型の筐体の製品が多いワウの中でも特に大きな製品でしたが、この20/20シリーズは長辺177.8mmとかなりサイズダウンされています。またペダル面には蛍光塗料でメーカーロゴと縁取りが描かれており、暗いステージでの視認性も良好です。また背面の電池ボックスも従来製品に比べてアクセスしやすい設計となるなど、機能性は大幅に向上しています。ラインナップもワウ、ボリューム・ペダル単体のみでなく、ワウと歪みの複合機など、全10機種が用意されています。

MORLEY 20/20シリーズ – Supernice!エフェクター

VOX、JIM DUNLOP、MORLEYのワウ比べてみた!

ワウ3機種比較

ギター博士がVOX「V846 HW」、Jim Dunlop「CRYBABY GCB-95F」、Morley「Maverick」というそれぞれに個性と魅力のある3機種のワウを、弾き比べて比較しました。
ワウ徹底比較:VOX / Jim Dunlop / Morley

その他おすすめのワウペダル

Xotic XW-1

Xotic XW-1

EP BoosterなどでおなじみXoticの高品位ワウペダル。基本的には初期VOX製にみられるヴィンテージワウの系統を踏襲したサウンドであり、ウォームで使いやすいサウンドが魅力です。側面にあるコントロールではBass,TrebleなどのEQの他、掛かり具合に関するものを含め4種のつまみが並んでおり、設定次第ではCry Baby系のようなきつい掛け方も調整可能。やや小ぶりで軽量なサイズも持ち運びする際には嬉しい要素で、死角の少ない優等生的モデルと言えるでしょう。

Xotic XW-1 – Supernice!エフェクター


Ibanez WH10 V3

Ibanez WH10 V3

インダクターではなくオペアンプを用いることで、周波数ごとの純粋な音量だけを変化させるという、既存のワウペダルとは少し違う構造で人気を博したWH10。初代はジョン・フルシアンテ氏の使用によりプレミアが付き、手に入りにくくなっていますが、こちらは復刻された3代目です。その初代の特徴である独特の掛かり方をそのままに、バッファード・バイパスとトゥルー・バイパスを選択できたり、機能性はより向上。変化する帯域を低域に特化させたベースモードではベースにも使用できます。

Ibanez WH10 V3 – Supernice!エフェクター

MXR MC404 CAE Wah

MXR MC404

CAEのボブ・ブラッドショーとCry Babyのチームがタッグを組み作り上げた最高峰ワウペダル。二種類のFasel製インダクターを装備し、スイッチで切り替えることで二種類のワウを使い分けることができ、また内部トリムポットで帯域の変化量も調整できます。この機能を最大限活用することで、ヴィンテージ系のオールドワウから現代風の過激なワウまで、カバーできる範囲の広さは屈指。音量を任意にブーストできるブーストモードを装備し、音痩せを考慮したトゥルー・バイパス仕様となっています。

MXR MC404 CAE Wah – Supernice!エフェクター

Fulltone Clyde Wah Standard

Fulltone Clyde Wah Standard

VOXが最初期に製作したClyde McCoy Wah-Wah Pedalの名を冠したFulltoneのワウペダル。その名の通り、初期VOX製のワウに聴ける、ウォームでありながらも噛みつくようなヴィンテージワウの音色を狙って作られています。選別された高品位な部品を使い、手作りで調整されたインダクターを装備し、その結果としてローノイズでかつ、既存のワウペダルには見られないような音痩せの無さを獲得しました。調整コントロールの数を増やした上位モデルDeluxeもラインナップされています。

Fulltone Clyde Wah Standard – Supernice!エフェクター

Fender Tread-Light Wah Pedal

Fender Tread-Light Wah Pedal

Fenderからリリースされた、クラシカルなルックスのワウペダルです。モチーフとしたペダルがあるわけではなく、Fender独自設計のオリジナル・ワウです。ペダル下部に装備されたON/OFF切り替え可能のLEDが間接照明のような役割を果たし、暗いステージ上でもペダルの位置がわかりやすいように工夫されています。ミッド・フリーケンシー・スイッチ、レンジ調整のコントロールも搭載されており、細かなサウンドメイクが可能です。またバッファーのON/OFF切り替えも可能で、シグナルチェーンに合わせたセッティングを行うことができます。

Fender Tread-Light Wah Pedal – Supernice!エフェクター

ミニサイズ・ワウ

昨今急激に増えてきているのが、通常のエフェクターと同サイズ程度のミニサイズワウ。勿論操作性はフルサイズのものには到底及びませんが、従来のワウにあった最大の欠点である、”重くてでかい”という部分が見られないのは大きなメリット。特に使う頻度がそこまで多くないというギタリストにとっては、有力な選択肢です。

JIM DUNLOP Cry Baby Mini

JIM DUNLOP CBM95

本家Cry Babyのミニ版。通常のCry Babyのおよそ半分のサイズに、GCB-95の音色を詰め込んでいます。ボイシングのスイッチで3種類の音色を切り替え可能。

JIM DUNLOP CBM95 CryBaby mini – Supernice!エフェクター

CBJ95 Cry Baby JUNIOR

Cry Baby JUNIOR

「Cry Baby」よりは小さく「Cry Baby Mini」よりは大きい、ちょうどいいサイズのモデル。フルサイズのワウはボードに組み込んで使うには筐体が大きく重量もかさみますが、本機は長辺約8インチの親切設計。ジャックも両サイドではなく上部に装備され、さらに省スペース化されています。また従来のワウではボードに設置する際に邪魔だったゴム足が廃され、フラットなラバーシートが採用されています。単体で使う場合も滑りにくく、裏面にマジックテープ等を貼って固定するのにも便利な仕様です。またサイドのスライドスイッチによって、トラディショナルなワウサウンドからモダンなクライベイビーサウンドまで、モードを3種類から選択することができます。

CBJ95 Cry Baby JUNIOR – Supernice!エフェクター

HOTONE Soul Press

奥行き14cmの小型サイズにボリューム、ワウ、エクスプレッションの3つの効果を持たせた唯一のペダル。ワウの効果は一般的なCry Babyに近いものになっています。

ワウとオートワウの違い

ワウペダルは足下で変化量を調節しますが、自動でワウを掛けてくれる「オートワウ」というエフェクターがあります。足を動かさなくても、スイッチを入れておくだけで自動で掛かるため、手軽に使うことができます。

オートワウには一定周期でワウを掛けるものや、ピッキングの強弱に追従して掛かり方が変わるものなどがあります。前者は「エンベロープフィルター」、後者は通常のオートワウと区別して「タッチワウ」と呼ばれることもあります。

定番オートワウ「BOSS Dynamic Wah AW-3」

BOSS Dynamic Wah AW-3

BOSSのAW-3は多機能ながらも扱いやすいペダルで、初めてのオートワウにオススメの一台です。オートワウでありながらも外部ペダルを接続することで、ワウペダルとして使うことも可能です。
AW-3にはヒューマナイザーというコントロールが搭載されており、調整することでワウサウンドの表情を変えることができます。例えば、「ワウワウ」というサウンドだけなく、「アウアウ」、「イオイオ」といった具合に、サウンドそのものを変えることができます。多機能なオートワウが欲しい方は、AW-3を一度試してみると良いでしょう。

BOSS Dynamic Wah AW-3 – Supernice!エフェクター

ワウの接続順

ワウは接続順によってエフェクトのかかり方が変わります。一般的にはギターの直後に接続すると「弱いかかり方」になるとされ、歪み系ペダルの後段に接続すると「強いかかり方」になります。演奏スタイルやジャンルによって接続位置を変えるのが良いでしょう。
エフェクターのつなぎ方 – Supernice!エフェクター

ワウペダルの改造

ワウペダルをモディファイ(改造)して使っているギタリストも少なくありません。モディファイをすることで、「音痩せ解消」や「ノイズ軽減」、「音抜け向上」などの効果が期待できます。「ハンダごて」、「ハンダ吸い取り線」、「ハンダ(Kester44など)」を用意すれば誰でもできるので、興味がある方は挑戦してみましょう。
具体的なモディファイの方法ですが、最も簡単なのが「配線の交換」です。内部配線を良質な物に交換するだけで、ノイズ軽減や音抜け向上などが期待できます。他には「コンデンサ類の交換」、「定数の変更(部品の定数を変えること)、「3PDTスイッチを使ったトゥルーバイパス改造」など、様々なモディファイがあります。

ワウ・エフェクター一覧 – Supernice!エフェクター

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