ディストーション・エフェクターについて

ギター博士「ヘヴィなリフを弾く時はもちろん、ワシはカッティングの時にもONにしてみたゾ♪」
オーバードライブよりもさらに激しく歪んだ音が特徴のディストーション。コードストロークやアルペジオといった和音中心の繊細なプレイには不向きな場合が多いですが、パワーコードやリフ・プレイ、ギターソロに適した歪みペダルです。真空管アンプがなくても深い歪みを手に入れたい時、ゲインブースターとして歪みを足したい時など、ポップスやロックはもちろんハードロック・ヘヴィメタル・パンク・オルタナティブロックなどロックから派生した様々なジャンルで使用されることが多いエフェクターです。
定番のディストーション・エフェクター
まずはディストーション・ペダル創世記の1970〜1980年代に登場した人気機種から紹介していきます。
MXR Distortion+
ディストーション・エフェクターとして最初に世の中に登場したのが、1975年に発売されたMXR「Distortion+」です。このペダルはオジー・オズボーン・バンドのギタリストであるランディ・ローズ氏が使用したことで広く知られています。
サスティーン豊かに歪むのが特徴で、サウンドはディストーションというよりも上品なオーバードライブといった感じ。2ツマミのみとシンプルで使いやすく、ハードロック系サウンドとの相性は抜群で、DISTORTIONツマミの操作によって甘いオーバードライブから荒いディストーションサウンドまで設定することができます。
単体のディストーション・ペダルとして使うのはもちろん、アンプの歪みをさらにプッシュする"ゲインブースター"として使うことでも、その威力を発揮します。
MXR Distortion+ - Supernice!エフェクター
Proco RAT2
1978年に作られ1984年に改良が施され、今でも歪みペダルの定番として高い人気を誇るのが「RAT(ラット)」、ジェフ・べック氏が使用したことで有名になったペダルです。ディストーションとありますがクランチ程度の歪みにセッティングしても良好で、かき鳴らす系のギターサウンドとの相性が良好です。深く歪ませることもでき、FILTERツマミの操作によってファズのように荒々しい歪みも得れるなど、幅広い使い方ができます。
3ツマミのみと操作もシンプル。基本的にはカラッとしたサウンドが特徴で、シングルコイルのエレキギターにもマッチします。
Proco RAT2 - Supernice!エフェクター
Marshall The Guv’PLUS
「どんなアンプでもマーシャルサウンドを出す事が出来る」といううたい文句で1980年代後半に登場し、高い人気を誇ったアンプブランド Marshallのコンパクト・エフェクター「GUV’NOR」の後継機種。Masrshallのスタックアンプのような大音圧の歪みを鳴らすことは出来ませんが、マーシャルアンプと同じように3バンドEQを搭載、真ん中2つが2軸ノブとなっていて、6つのパラメータを操作できるなど幅広い音作りが可能です。サウンドは上述の「RAT」のカラッとした音と対照的な、粘りのあるふくよかな歪みが特徴です。
リーズナブルな価格も初心者にとってはフレンドリー。ロック、ポップス、ハードロックに最適なドライブサウンドを作ることができます。
Marshall GUV’NOR PLUS - Supernice!エフェクター
BOSS DS-1 / DS-2
BOSS DS-1
世界的エフェクターブランド BOSS のディストーション・ペダル第1号機として1978年に登場した「DS-1」は、BOSSエフェクターの原点であり「歪みエフェクターってこういうものだよね」という王道のサウンドが特徴のディストーション・ペダル。1987年に登場した「DS-2」はDS-1譲りのオーソドックスなディストーションと超過激なディストーションの2モードを搭載したターボ仕様のモデル。
2機種共に長い歴史を持ちながら現在も人気を集める定番のペダルとなっています。
BOSS DS-1 Distortion - Supernice!エフェクター
BOSS DS-2 TURBO Distortion - Supernice!エフェクター
次世代ディストーションの定番?!「BOSS DS-1X」
ここまでは2000年以前に登場した定番モデルを紹介しましたが、2014年に登場した「DS-1X」は、BOSSの定番ディストーション「DS-1」「DS-2」シリーズをリニューアルさせたフレッシュなディストーション・ペダルです。
BOSS独自の「MDP」技術とDSPチップによって、ディストーションにありがちな低域の弱さは解消され、パンチのある中域と太い低域、クリアな解像度、低ノイズを実現しています。
ハムバッカー搭載ギターとの相性はもちろんシングルコイルとの相性も良好、そしてリハーサルスタジオに置いてあることの多い「Roland JC-120」などトランジスタアンプともベストマッチ。旧世代のディストーションとは一線を隠す、新時代のディストーションと呼べる一台です。
BOSS DS-1X
オーバードライブとディストーションを比べてみた【ギター博士】
ディストーションにはBOSS DS-1Xを使用しています。
ハイゲイン系ディストーション・エフェクター
ディストーション創世記の80年代のものよりもさらに深く激しく歪む、ハイゲイン・タイプのディストーションをいくつか紹介します。
SUHR Riot Distortion
ハイエンド・ギターブランドとして知られるSuhr GuitarsがリリースするRiotは、モダン・ハイファイ・サウンドが特徴のディストーション・ペダル。アルミ削りだしボディに紫のカラーが美しいエフェクターです。
ノイズは少なく音は太く厚く、真空管アンプの歪みに極めて近いきめ細やかな歪みが得られます。
モダンハイゲイン的な歪みですが、低音域のリフでは暴れる感じの少ないタイトで上質な印象。逆に高音域ではリードプレイに適したリッチで伸びやかなトーンが得られます。3段階で歪みの質を切り替えて使用することができ、リードギターからバッキングまで強力にサポートしてくれます。
SUHR Riot Distortion - Supernice!エフェクター
Ibanez RG(Prestige)シリーズをギター博士が弾いてみた!
動画ではクリーントーンのアンプでONにして歪ませているが、このジューシーさ。バッキングにもリードにも適した上品なディストーションといった印象

ギター博士「クリーントーンのアンプが、スイッチ一つでハリのあるハイゲインサウンドに!気持ちの良いアタックとディストーションならではのコンプ感、リードギターにもってこいぢゃわい!!ゲインを絞るとバイト感のあるクランチにも。エフェクターの歪みでハイゲインサウンドを出したいなら是非一度弾いておくれぃ!」
Providence HBL-4 HEAT BLASTER
2015年11月に登場したプロヴィデンスのハイゲイン・ディストーション・ペダル。ハードロック的な歪みから現代的なモダンヘヴィネスな歪みにまで対応できるモデルです。Bass Boostスイッチによって低音域をブーストさせることができ、ストラトキャスターなどのシングルコイルのギターでもヘヴィなサウンドを鳴らせたり、7弦ギターのローパワーも余すことなく出力できます。
S.C.T.サーキット、D.C.G.サーキットなど回路が改良されており、プロヴィデンスの技術によって高いサウンドクオリティを可能にしています。
Providence HBL-4 HEAT BLASTER - Supernice!エフェクター
BOSS MT-2 Metal Zone
1991年に登場して以来、BOSS製品トップクラスの知名度と人気を誇る人気ハイゲイン・ディストーション・ペダルが、黒いボディにオレンジの文字が特徴的な「MT-2 Metal Zone」です(通称メタルゾーン、親しみを込めて"メタゾネ"などと呼ばれることもあります)。クリーントーンのアンプに単体で繋いでもかなり歪むため、ハードロックからメタルまでこのペダル1台でカバーすることができます。
3バンドEQを搭載し、中域のブースト/カットする周波数帯域を調節することができるなど、細かい音作りが可能。ただ、ツマミの利きが良いため初心者にとっては使いこなすのが難しいかもしれません。自分好みのサウンドになるまで、様々なセッティングを試してみることをオススメします。
BOSS MT-2 Metal Zone - Supernice!エフェクター
BOSS MT-2W
2018年10月に登場した「MT-2W」は、「MT-2」のサウンドをさらにブラッシュアップさせ、現代のハイゲイン・ディストーションとして十分に対応できるようアップデートが施されたモデル。スタンダード/カスタムという2つのモードの切替ができ、従来のMT-2のサウンドが得られる「スタンダード・モード」はよりクリアでノイズの少ないトーンを実現、サウンドをさらにブラッシュアップさせた「カスタム・モード」はよりモダンなサウンドへと進化しています。
メタルゾーン独特の音痩せが解消され、深く歪ませても低域までリッチな図太いディストーションを獲得。7弦ギターやドロップ・チューニングなど超低域の出力にもしっかりと対応します。モダン・ハイゲイン・サウンドが得られるペダルが欲しいという人は是非チェックしてみて下さい。
BOSS MT-2W - Supernice!エフェクター
Leqtique 11/11
国産ハンドメイド・エフェクターブランド Leqtique によって2018年10月に登場したモダンハイゲイン・ディストーション・ペダル。同ブランドからはハイゲイン・ディストーションとしてこれまで「9/9」「10/10」をリリースし、いずれも人気を集めています。厳選したパーツを採用しながらも、比較的リーズナブルな価格帯に収まっているのも同ブランドの特徴です。
本機も9/9や10/10と同様に厳選されたパーツを使用して作られており、深く歪みながらもローノイズでクリアなサウンドが特徴。シンプルな3ツマミの操作によって、ウルトラハイゲインに達する深い歪みが得られます。
Leqtique 11/11 - Supernice!エフェクター
Mad Professor STONE GREY DISTORTION
フィンランドのハンドメイド・エフェクターブランド Mad Professor の「STONE GREY DISTORTION」は、ドロップチューニングや7弦ギターでのエクストリームなゲインを生み出すことができるコンパクトなモダンハイゲイン・ディストーション・ペダル。深く歪みながらもコードの分離感/和音の響きを失わない、高い解像度とクリアな音質を実現したモデルです。
シンプルな3ツマミの操作系統で、ゲインを下げるとクランチ程度の歪みとなり、歪みを上げていくとハードロック〜ヘヴィ・メタルに対応する激しいディストーションが得られます。
Mad Professor STONE GREY DISTORTION
Fender Full Moon Distortion
Full Moon Distortionは、ギターブランドとして広く知られるフェンダー初となるハイゲイン・ディストーション・ペダル。7つのツマミと2つのトグルスイッチ、2つのフットスイッチを装備。ディストーションに加えてブースター機能も搭載するなど多彩なサウンドメイキングが可能となったモデルです。
イコライザーは3バンドEQ + HI TREBLEの実質4バンド、歪みのモードを切り替えるBITE/TEXTUREスイッチを装備。歪みの調節によって、ブルース程度の軽い歪みからヘヴィメタルに対応するハイゲインディストーションまでカバーします。
Fender Full Moon Distortion - Supernice!エフェクター
HUMAN GEAR HOT CAKE
ディストーションの中でも他のエフェクターとは毛色の違うのが「HOT CAKE(ホットケーキ)」。プチプチと潰れたような感じはファズ的でもあり、低音が豊かな轟音ディストーションでもある、ジャンクで独特なサウンドが人気のペダルです。ソニック・ユースのサーストン・ムーアが使用したことでも有名です。
HUMAN GEAR HOT CAKE - Supernice!エフェクター
この他、メタル系のハイゲイン・ディストーションを探している人は以下のリンクもチェックしてみてください!
ドンシャリを愛する全てのギタリストへ!「1万円以下」のメタル系ディストーション11選!
ハイエンド・メタルディストーション特集 - Supernice!エフェクター
格安ディストーション・エフェクター
NINEVOLT PEDALS
I WAS A WOLF IN THE FOREST DISTORTION
SKATEBOARDING BEAR METAL DISTORTION
左:I WAS A WOLF IN THE FOREST DISTORTION、右:SKATEBOARDING BEAR METAL DISTORTION
岩手県石巻市にあるエフェクター専門店「NINEVOLT(ナインボルト)」によるエフェクターブランドから2015年にリリースされたディストーションペダル2つ。「I WAS A WOLF IN THE FOREST DISTORTION」はマーシャル・スタックアンプが放つエッジの効いたクラシックなディストーションを再現したペダル、「SKATEBOARDING BEAR METAL DISTORTION」は3バンドEQを搭載したハイゲイン・メタル・ディストーション・ペダル。いずれも国産ブランドながら1万円を切る価格帯で非常にリーズナブル、しかし現代的な音楽の中でも存在感を放つようにしっかりと設計されており、ディストーション入門機として最適なモデルとなっています。可愛らしいデザインの大きな特徴の一つとなっています。
I WAS A WOLF IN THE FOREST DISTORTION - Supernice!エフェクター
SKATEBOARDING BEAR METAL DISTORTION - Supernice!エフェクター
TC Electronic
Grand Magus Distortion
Fangs Metal Distortion
EYEMASTER METAL DISTORTION
左から:Grand Magus Distortion、Fangs Metal Distortion、EYEMASTER METAL DISTORTION
ドイツの格安音響ブランドであるベリンガーがTC Electronicを買収したことによって実現した、TC Electronicによる格安エフェクター「Smorgasbord of Tones」シリーズ。「Grand Magus Distortion」はシンプルな3ツマミで王道ディストーションサウンドが得られるモデル、「Fangs Metal Distortion」は2バンドEQと歪みの質を3種類から選択できるメタルディストーション、「EYEMASTER METAL DISTORTION」は2つのツマミのみでスウェディッシュ・デスメタルのような過激なハイゲイン・ディストーション、となっています。格安ながらトゥルーバイパス化が施され音質劣化は気になりません。3機種共に6,000円前後と初心者にも手の届きやすい価格帯となっています。
TC Electronic Grand Magus Distortion - Supernice!エフェクター
TC Electronic Fangs Metal Distortion - Supernice!エフェクター
TC Electronic EYEMASTER METAL DISTORTION - Supernice!エフェクター
Blackstar LT-Dist
格安というわけではありませんが、ペダルとして1万を切る「割安」な価格帯なのでここで紹介するのが、アンプブランドとして知られるBlackstarのディストーション・ペダル「LT-Dist」です。同社はアンプのノウハウを活かした真空管を搭載した歪みペダル「HT」シリーズをリリースしていますが、LTシリーズはそれをよりコンパクトに扱いやすくなり、最初のディストーション・ペダルとしても適したモデルです。
このLT-Distはページ冒頭でギター博士も弾いているモデルで、ハードロック的な歪みから轟音に近いヘヴィな歪みまで出すことができるのが特徴です。
Blackstarからは、よりメタル向けに「LT-METAL」というペダルもラインナップされています。
Blackstar LT-Dist - Supernice!エフェクター
Blackstar LT-METAL - Supernice!エフェクター
ディストーション・ペダルのハイエンド・モデル
歪みの質、キメの細やかさをもっと追求したいんだ、という人向けのハイエンド・モデルでは、豊富なコントロールで音作りを追い込むことができるようになっています。s
Strymon Sunset
ディレイやリバーブなど高品質な空間系エフェクターのリリースで知られるブランド、Strymonによるディストーション・ペダル「Sunset」。2チャンネルそれぞれに3種類の歪みサウンドを搭載、オーバードライブからメタル手前のハイゲイン・サウンドの6種類のサウンドを使うことができるエフェクターです。Strymonの空間系エフェクターはプロのエンジニアの中にも支持される高い品質となっていますが、この「Sunset」もディストーションペダルとして非常に高いクオリティを実現しています。
Strymon Sunset - Supernice!エフェクター
MESA BOOGIE FLUX-FIVE
ハイゲイン・アンプの製造で広く知られるブランド「MESA BOODIE(メサ・ブギー)」によるツインペダル式のディストーションです。この FLUX-FIVE には4つのツマミと、メサブギーのギターアンプ「Mark II」にも搭載される5バンド・イコライザーを搭載。Mark IIアンプでの音作りが再現できます。
サウンドは中域が豊かなオーバードライブから音圧感のあるヘヴィリフに適したハイゲイン・ディストーション、メタルリフに適したスクープサウンドまで、1台で幅広い歪みに対応できます。
MESA BOOGIE FLUX-FIVE - Supernice!エフェクター
Empress Effects HEAVY
現在市販されているディストーション・ペダルの中でも最もコントロールが多いと思われるEmpressのディストーション・ペダル。2チャンネル独立してレベルやゲインの調節を行うことができます。
クラシック〜ダウンチューニングのブルータルな歪みまで、ロックの歴史の中で登場するほとんどのディストーションサウンドを再現することができるという、かなり強力なハイエンド・ペダル。
Empress Effects HEAVY - Supernice!エフェクター
Amptweaker TightMetal Pro
一言で"ディストーション"という中でも様々な表情の歪みサウンドを作り出すことができるド級のメタルディストーション・ペダル。ブースター付、3バンドEQ、3種類のエフェクトループ、モダンヘヴィ・トーン/ヴィンテージメタル・トーンを切替、調節可能なノイズゲート、様々なスイッチ、9~18V駆動に対応と、メタルトーンに対応するペダルの中でも最大級の多機能ぶりです。
Amptweakerでは、TightMetal Pro、FatMetal Pro、BigRock Proなど歪みのラインナップも豊富です。
Amptweaker FatMetal Pro - Supernice!エフェクター
Landgraff Distortion Box
既に生産完了となった超高級エフェクター、Landgraff(ランドグラフ)のディストーション・ペダル。下の動画を見ればわかると思いますが、アンプが超クリーントーンの状態でもスイッチを入れれば強烈に歪むのがわかります。しかもシングルコイル・ピックアップのエレキギターで演奏してこの歪みは驚きです!
高級ペダルだけのことはあって、とてもきめ細やかで良質な歪みです。歪みの質は状況に応じて3段階に切り替えて使うことができるなど、究極のディストーションと呼べるペダルとなっています。
Landgraff Distortion Box - Supernice!エフェクター
ディストーション・ペダルの接続順
ディストーションは「ギター直後」に接続します。ワウペダルやコンプレッサーを使用するなら、それらの後に接続するのがセオリーです。エフェクターの接続順に正解は無いので、色々と試してみると良いでしょう。
エフェクターのつなぎ方 - Supernice!エフェクター

- [カテゴリ]エフェクター , [最終更新日]2019/08/17 02:25