Sterling by MUSIC MANのギターについて

[記事公開日]2021/7/2 [最終更新日]2021/6/29
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

JOHN PETRUCCI COLLECTION

JOHN PETRUCCI

プログレッシブ・メタルバンド「DREAM THEATER」に所属するジョン・ペトルーシ氏は、ジャンルを横断する卓越した演奏技術と作曲編曲のセンスが世界的に知られています。ギター本体への追及も尋常ではなく、機能性と演奏性の高い、またサウンドに深くこだわったシグネイチャーモデルを多く発表しています。Sterling版では機能性をシンプルにまとめつつ、それぞれに6弦仕様も7弦仕様もあり、本家そのままの演奏性を実現しています。

Majesty


John Petrucci Presents Sterling by Music Man Majesty | MAJ200XFM

「Majesty(マジェスティ)」は、「究極の自分モデル」を追求し続けたペトルーシ氏の、ひとつの到達点と言うべきモデルです。小ぶりなボディを大胆にえぐるカッタウェイにより、ストレスなく24フレットにアクセスできます。小型のセレクタースイッチが採用され、切り替えしやすい配置ながら演奏の邪魔になりにくいのもポイントです。低音側のホーンを大きく取る設計により、重量バランスも良好です。12dBプッシュプッシュボリュームポットを備え、強力なディストーションが得られます。

Majesty X DIMARZIO(MAJ200XQM / MAJ200XFM / MAJ270XQM / MAJ270XFM)

MAJ200XQM MAJ200XQM

銘木のボディトップが美しい「Majesty」最上位モデルは、ディマジオ製ご本人シグネイチャー・ピックアップを搭載、エボニー指板にスレンレス製フレットを打ち込んだ高級仕様です。DiMarzio「 LiquiFire(フロント)」、「Crunch Lab(リア)」いずれにもハイゲインに負けない芯と、クリアな響きを持っています。

なお、キルテッドメイプルトップにはナトーボディ、フレイムメイプルトップにはマホガニーボディと、トップ材によってボディ材が振り分けられます。

2019 Majesty(MAJ100X / MAJ170X)
2018 Majesty( MAJ100 / MAJ170 )

Musicman 2019 Majesty MAJ100X-PPM、MAJ100X-PWH

「MAJ100X」と「 MAJ170X」は2019年式、「MAJ100」と「 MAJ170」は2018年式で、いずれの本体もマホガニーネック&ボディ、ローズ指板という木材構成です。両者の違いはデザインにあり、2019年式はソリッド(塗りつぶし)カラー、2018年式はセンター部分にカーボン調のデザインを施した、未来感のある装いです。

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JP150/157


John Petrucci Presents Sterling by Music Man | JP150DFM

6弦仕様の「JP150」、7弦仕様の「JP157」共に、ストラト的なマホガニーボディに大胆なカッタウェイを設けたギターです。12dBプッシュプッシュボリュームポットは、ソロ時に大活躍します。

ネック材はローステッドメイプルで、環境変化への強さがあるほか、腰の高い明るい響きを持っています。ルックスがMajestyに比べてややおとなしめなので、メタルに限らずさまざまなジャンルに自然に溶け込むことができます。

JP150 DIMARZIO(JP150DFM / JP150DSM /JP157DFM)

Musicman JP150 DIMARZIO JP150DFM-EPP

JP150DSM-BOB JP150DSM-BOB

ディマジオ製のペトルーシ氏ご本人シグネイチャー・ピックアップを備えた「JP150D」シリーズは、エボニー指板にステンレス製フレットを打ち込んだ高級仕様です。6弦仕様の「JP150DFM」、7弦仕様の「JP157DFM」共にストライプの美しいフレイムメイプルトップです。2021年の新作「JP150DSM」は、世界に一本の不規則な模様が楽しめるスポルテッドメイプルがボディトップにあしらわれています。

JP150 / JP157

Musicman JP157 JP157-NBL

レギュラーモデルの「JP150」と「JP157」は、フレットこそ普通ですが、指板にまでローステッドメイプルを使用しており、上位機種とはまた違ったニュアンスを楽しむことができます。また6弦仕様で4色、7弦仕様で3色というバリエーションから、ボディカラーを選ぶことができます。

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JP60 / 70

Musicman JP60 上:JP60-SBK
下:JP70-MDR

6弦仕様の「JP60」、7弦仕様の「JP70」は、ペトルーシ氏の元祖シグネイチャーモデルを再現したギターです。MUSIC MAN代表機種「Silhouette(シルエット)」を出発点に、エルボー部分を大胆にカット、バスウッドボディ、ハードメイプルネック、ローズウッド指板という木材構成でまとめています。なお、12dBプッシュプッシュボリュームポットは非採用です。


John Petrucci demos his Sterling by Music Man JP60

JP60 / JP70を…
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ARTIST SERIES

ここからのアーティストモデルについては、各アーティストがどんな感じなのかも一緒に見ていきましょう。

Albert Lee

Musicman AL40 上:AL40-DBL
下:AL40-TW

カントリーの巨匠アルバート・リー氏は、老齢にして高速フレーズをスイスイと弾きこなす、驚異的な腕前の持ち主です。ギタリストの目を釘付けにする演奏は、「Guitar player’s guitar player」と評されます。氏の名を冠するシグネイチャーモデルは、マホガニーボディにハードメイプルネック、ジャトバ指板という木材構成です。ジャトバは硬質な木材で、音の立ち上がりに優れます。

インパクト充分なボディシェイプに、ヴィンテージ・トレモロと2基のハムバッカーを備えます。ピックアップの切り替えには5WAYセレクタースイッチを使用し、コイルタップをからめた豊かなサウンドバリエーションが手に入ります。


Albert Lee live | Rockpalast | 2017

Jared Dines


Shred Wars: Jared Dines VS Jason Richardson

ジャレッド・ダインズ氏は、様々な演奏にチャレンジする動画が評価され、300万人近いチャンネル登録者を誇る有力ユーチューバーです。氏のシグネイチャーモデルはMUSIC MANの歴史的なギター「Sting Ray(スティングレイ)」をベースに、音域を24フレットにまで拡張し、ヘヴィサウンドに最適化されたMUSIC MAN設計によるホットロッド・ピックアップを備え、またキルスイッチが増設されています。

このためボリュームとトーンが1基のポットで操作するスタックノブ仕様となり、またゴージャスなゴールドパーツを備えるなど、トラッドな本体に唯一無二の個性が載せられています。

RICHARDSON6 / RICHARDSON7(Jason Richardson)

Musicman RICHARDSON6 RICHARDSON6-NPB

ジェイソン・リチャードソン氏はデスコア、メタルコア、プログレッシブメタル、ジェントといったジャンルのバンドを歴任し、現在All That Remainsに所属する若き達人です。レギュラーモデル「Cutlass(カトラス)」を出発点とした氏のシグネイチャーモデルは、6弦仕様と7弦仕様がリリースされています。両機とも、ポプラバール材をトップにあしらったアルダーボディ、ローステッドメイプルネック、24フレットのローズ指板という本体に、MUSIC MAN設計によるアーティストピックアップ、12dBプッシュプッシュボリュームポットを備え、トーンポットがプッシュ/プッシュ式のコイルタップ起動スイッチとなっています。


Ernie Ball Music Man Artist Series: Jason Richardson 2020 Rorschach Red 7 String Cutlass

Luke(Steve Lukather)


Toto – Till The End (Official Music Video)

スティーヴ・ルカサー氏は、若かりし頃はナンバー1スタジオミュージシャンとして、そこから世界的なロックバンドTOTOのギタリストとして知られます。氏のシグネイチャーモデルは、MUSIC MANの定番機種「Silhouette(シルエット)」をベースに、フレイムメイプルトップ、バスウッドボディ、ローステッドメイプルネック、ローズ指板という木材構成に、MUSIC MAN設計によるアーティストピックアップ、12dBプッシュプッシュボリュームポットを備え、5WAYセレクタースイッチの操作でコイルタップを絡めたサウンドバリエーションを操作できます。

MARIPOSA(Omar Rodríguez-López)

Musicman MARIPOSA 上:MARIPOSA-DGR-R2
下:MARIPOSA-IWH-R2

オマー・ロドリゲス・ロペス氏はプログレッシブ・ロックバンド「the Mars Volta」をはじめ数々のプロジェクトで活躍を続けているミュージシャンで、アーティストのプロデュースや映画監督など幅広く活動しています。「MARIPOSA(マリポサ)」と名づけられた氏のシグネイチャーモデルは、独創的なシェイプのナトーボディ、ローステッドメイプルネック、ローズ指板という木材構成に、カスタムハムバッカーを2基装備、トーンポットはなく、ピックアップそれぞれのボリュームポットを備えます。

非常に個性的なギターですが、3WAYセレクタースイッチのレバーだけがピックガードから出ている設計は、演奏の邪魔になりにくいメリットに加え、スタイリッシュな印象を覚えさせます。


ANTEMASQUE – In The Lurch (Live)

ST.VINCENT / ST.VINCENT HH(St. Vincent)

Musicman STV60 STV60-SBK2、STV60-VBL2

Musicman STV60HH STV60HH-DBL、STV60HH-FRD

セイント・ヴィンセント女史は、センスフルな楽曲と卓越した演奏技術、そしてセクシーなファッションにより支持され、2度のグラミー受賞によって実力が証明されたミュージシャンです。彼女のシグネイチャーモデルは、このモデルだけのカスタムインレイに加え、コントロールノブまでオリジナルデザインという、ルックスの良さにとことんこだわったモデルです。インパクトのある強烈なルックスですが、ギターとしての機能やバランスも考慮されており、達人の演奏を支える優秀な楽器に仕上がっています。

マホガニーボディ、メイプルネック、ローズ指板という木材構成に、ピックアップ配列はミニハムバッカー3基、スタンダードなハムバッカー2基の2タイプがリリースされています。


St. Vincent & Dua Lipa | Masseduction / One Kiss | 2019 GRAMMYs

VALENTINE / VALENTINE TREMOLO(James Valentine)


Maroon 5 – Beautiful Mistakes ft. Megan Thee Stallion (Live On The Voice/2021)

ジェームス・バレンタイン氏は、1億枚以上のセールスを誇るバンド「Maroon5」に所属するギタリストです。ハードテイル仕様とトレモロ仕様の2タイプがリリースされているシグネイチャーモデルは、HH配列に見えて実はSH配列という、異色のギターです。リアピックアップは、ハムバッカーのカバー内にシングルコイルが斜めに収まる構造です。ピックアップ自体はヴィンテージ系のサウンドに設計されており、時代を超えたサウンドの多様性を実感できます。

このほか、ミシシッピ産スワンプアッシュボディにローステッドメイプルネック&指板という木材構成で、12dBプッシュプッシュボリュームポットを備えています。

SHOP BY DESIGN

「SHOP BY DESIGN(ショップ・バイ・デザイン)」シリーズは、MUSIC MANのオリジナルモデルをSterlingのフォーマットに落としこんだレギュラーモデルです。これらのギターがアーティストモデルのヒントになることもある、高い基本性能を誇るラインナップです。

Cutlass


Sterling by Music Man | Cutlass Demo feat. Horace Bray | CT30 SSS

「Cutlass(カトラス)」は、エレキギター王道のスタイルをMUSIC MANの方法論で料理した、新たなスタンダードモデルです。指板R”12、22フレット仕様というネックは、コードも弾くしソロも取る、現代的な演奏スタイルに理想的な設計です。このタイプのギターはどんなジャンルでも使える柔軟性があるため、これからエレキギターを始める人の最初の一本として理想的です。

CT50HSS / CT50SSS

CT50HSS CT50HSS

CT50SSS CT50SSS

上位モデル「CT50」は、HSS配列とSSS配列の2モデルがリリースされています。ポプラボディ、ローステッドメイプルネックという木材構成が共通で、ボディカラーに応じて指板はローズウッドかローステッドメイプルが使われます。ロック式ペグが採用されており、チューニングの狂いが最小限に抑えられます。

CT30HSS / CT30SSS

「CT30」もCT50同様に、HSS配列とSSS配列の2モデルがリリースされています。ポプラボディ、ハードメイプルネックという木材構成を共通に、指板はボディカラーに合わせてメイプルかローレルが使われます。

CTSS30HS(Cutlass Short Scale)

CTSS30HS

弦長24インチのショートスケール版カトラスは、HS配列ピックアップと3WAYセレクタースイッチによる、シンプル操作ながら幅広いサウンドバリエーションを持っています。基本設計は上記CT30を引き継いでおり、ポプラボディ、メイプルネック、カラーに応じてメイプル指板もしくはローレル指板という木材構成です。

StingRay


Sterling by Music Man | StingRay Demo feat. Nicholas Veinoglou | SR30

「スティングレイ(StingRay)」は、プレアーニー(Ernie Ball社に買収される前)時代から作られていた、MUSIC MANの歴史を物語る上で重要なギターです。ポプラボディ、メイプルネック、ローレル指板という木材構成で、特徴あるオフセット・デザインのボディは立って弾いても座って弾いても良好な抱え心地が得られます。

Axis / Axis Flame Maple


Top 10 Van Halen Guitar Riffs | Using Bias FX 2

「アクシス(Axis)」は、故エドワード・ヴァン・ヘイレン氏とMUSIC MAN社のコラボレーションで生まれたハードロック専用機です。ボディに直接マウントした2基のハムバッカーが、立ち上がりの良い強力なディストーションサウンドを作ります。ネック低音弦側にほんのりとボリューム感を残した非対称グリップを採用しているのが大きな特徴で、親指を出してのフィンガリングに有利です。


以上、Sterling by MUSIC MANのギターを見ていきました。MUSIC MANの定評ある高いプレイアビリティをそのまま再現しているギターなので、指の運びがラクで、練習もはかどります。ショップで見かけたら、ぜひチェックしてみてください。

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