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《伝統を受け継いだ最先端》Fender American Elite Telecaster

アメリカン・エリート・テレキャスター

「テレキャスター」は最も古いスタイルのエレキギターですが、時代と共にいろいろな変身を遂げながら今なおスタンダードでありつづけています。その変身を重ねて行き着いた、いわばテレキャスターの最終進化形が「アメリカンエリート・テレキャスター」です。現在、オーソドックスなソリッド・ボディのモデルと、内部をくり抜いた「シンライン」モデルの2機種がリリースされています。両機とも、フェンダーのモダン・スタイルにおける最高グレードで、最先端のスペックとエレガントなスタイル、そして極上のサウンドを共存させています。
テレキャスター・シンライン


John 5 Discusses the Fender American Elite Telecaster | Fender
バリバリ弾きながら、「エリート」について語るJohn5氏。「The Best Guitar in the World(世界最高のギターだ)」とコメントしています。

「アメリカン・エリート」の共通仕様

まずは両者に共通している仕様をチェックしてみましょう。「アメリカン・エリート」シリーズには、様々な最新スペックが惜しみなく採用されています。その多くが「アメリカン・エリート・ストラトキャスター」と共通していますが、こちらでもじっくり見ていきましょう。

エレガントな外観

American Elite Telecaster:ヘッド

「Fender」「TELECASTER」とのみ記された、ブラッククロームのヘッドロゴが「モダン・スタイル最高グレード」の証です。「エリート」専用のストリングガイドと相まって、スッキリとまとまった意匠になっています。ボディのバインディングもアメリカン・シリーズでは「エリート」だけの意匠で、キリっとした印象を演出しています。カラーリングも定番色に加えて「Champagne」「Ocean Turquoise」といった攻めた色調が目を引きます。

第4世代ノイズレス・ピックアップ

American Elite Telecaster:ボディ Ocean Turquoiseカラー

フェンダーは、世界的なギターやアンプのメーカーであるのと同時に、世界的なピックアップのメーカーでもあります。「エリート」に採用されている「第4世代」ノイズレス・ピックアップは、シングルコイルの魅力である明瞭なダイナミクス(強弱がはっきり出る)と倍音をしっかり残しながら、現代の科学で到達できる極限までノイズをカットした高性能ピックアップです。

本来ならばボディに直接マウントされていたフロント・ピックアップですが、モダン・スタイルのテレキャスターでは全て「ピックガードマウント」になっています。ボディマウントでは、フロント・ピックアップの高さを調節するためには毎回ピックガードを外さなければなりません。ピックガードマウントにすることで、ピックガードを外さなくても高さを調節することができます。

極上のプレイ・フィールを生むネック

「エリート」のネックには、

  • 円錐指板(コンパウンド・ラジアス指板)
  • C to Dコンパウンド・ネックシェイプ

という二つの仕様が採用されており、他では得られない良好な演奏性を発揮します。円錐指板は低いポジションでコードが押さえやすく、高いポジションでチョーキングがやりやすく、また弦高を下げるセッティングがしやすい、とてもありがたい指板です。
指板(フィンガーボード)の材質・形状について

また、ネックのグリップも低いポジションでのCシェイプから高いポジションでのDシェイプへと、滑らかな変化が付けられています。各ポジションに想定される演奏内容に合わせ、ネックの握り加減が人間工学的に設定されており、最大限の弾きやすさが得られます。ジョイント部にはヒールカットが施されているので、ハイポジションの演奏性が格段に良好です。

いざという時の「S-1スイッチ」

ボリュームポットにはPush/Push式の「S-1スイッチ」が備わっており、押すたびに配線をノーマル/スペシャルに切り替えることができます。スペシャル時には、フロントとリアのピックアップを直列につないで「疑似ハムバッカー」の甘く太いサウンドを得ることができます。

S-1スイッチは「4回路12接点」という設計なので、一般的なスイッチポット(2回路6接点)よりも複雑な配線が可能です。ちょっとマニアックな配線に改造するためにも、非常に頼りになります。

「ノーロード」トーン回路

トーンには「ノーロード(No-Load)ポット」が採用されています。これはトーン全開の時にトーン回路が完全にバイパスされ、トーン回路を除去したギターの抜けの良さを体感できる特殊なポットです。特にロック志向のギターでは最初からトーン回路の無い設計が採用されたり、またトーン回路を外してしまったりするんですが、エリートのトーン回路ならば無改造で、トーン回路の影響を受けないストレートなサウンドが得られます。

高機能な各部パーツ

ロッキングチューナー

ペグは軸に弦高を固定する機能が付いた「ロッキングチューナー」になっており、幾重も巻きつけることなく素早い弦交換ができます。また軸の高さを短めに設定することでナットにかかる弦高の張力を若干上げており、理想的な弦振動を伝達できます。また、ストラップピンにもロック機能が付いており、ストラップの着脱をワンタッチでできます。

「ダブルアクション(順ぞり、逆ぞり両方に効く)」トラスロッドは、ネックのエンド側から調整します。「トラスロッド・アジャストメント・ウィール」が設けられているため、ネックを外すことなく、また特別な器具を使用することなく、ネックの調整を行うことができます。「では、なぜヘッド側から調整できるようにしないのか」という意見もごもっともです。現に「アメリカン・プロフェッショナル」と「アメリカン・スペシャル」はヘッド側から調整します。ヘッド側に開口したトラスロッドはジョイント部の手前までで、貫通しているわけではありません。簡単に調整ができるので便利ですが、ネックとヘッドの境界部分に穴が空いているのでこの部分の木材量が減り、強度に若干の不安が残ります(それでもかなり強い)。「エリート」のようにジョイント部に開口したトラスロッドはナット付近までで、ヘッド/ネック境界部分に穴が空きません。これによりここの強度をしっかり確保することができます。また、ジョイント部分をトラスロッドが縦断するので、この部分にかかる弦張力をトラスロッドがしっかり受け止めることができるのです。


New From NAMM 2016: Fender American Elite Telecaster
チョーキングがスムーズにできる、大変弾きやすいギターだと高く評価しています。

「アメリカン・エリート」それぞれの仕様

では次に、ボディ構造に大きな違いのある両機それぞれを見ていきましょう。

American Elite Telecaster

American Elite Telecaster


Fender American Elite Telecaster Demo | Fender

アルダー製ソリッド・ボディの「アメリカン・エリート・テレキャスター」は、6種類のカラーリング、メイプルまたはエボニーの指板を選択することができます。ボディにバインディングを施した「’60Sテレキャスター・カスタム」のキリっとしたルックスを継承しつつ、全身が最新の装備でまとめられています。ボディのバック面にコンター加工が施されており、抱えた時に脇腹が痛くならないフィット感を得ることができます。ジョイント部分が斜めにカットされている(ヒールカット)もエリートだけの大きなポイントで、ハイポジションにおける演奏性が大幅に前進しています。

アメリカン・エリート:コンター加工の様子 コンター加工の様子

アメリカン・エリート:6連ブラスサドル 6連ブラスサドル

ブリッジはモダン・スタイルでは一般的となっている「L字」型のブリッジプレートに、クロームメッキを施した6連ブラスサドルを備えています。ピックの進行を妨げるものが何もない快適な演奏性と、オクターブ調整をビシっと決められる音程の確かさが大きなメリットです。また、アメリカンオリジナル・テレキャスターと同じ価格に設定されており、モダン系最高グレードはアメリカンエリート、ヴィンテージ系最高グレードはアメリカンオリジナル、というように両雄相並んだ布陣となっています。
オクターブチューニングのあわせ方

アメリカンエリート・テレキャスターを…
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American Elite Telecaster Thinline

American Elite Telecaster Thinline

American Elite Telecaster Thinlineについては次ページを参照
American Elite Telecaster Thinline


以上、「アメリカン・エリート」はまったくもって文句の付けどころのないギターですが、前身の「アメリカン・デラックス」は「アメデラ」という略称が定着していたのに対して「アメエリ」では呼びにくく、定着しにくいことが予想されます。コレといった美しい愛称が決まらないのは、日本人的に難点ではありますね。

フェンダーのレギュラーラインにおける大きな特徴として、各モデルが「設計で主張」しており、木材の美しさや希少性では勝負していません。アッシュ材では大柄な木目の美しさを楽しむことができますが、木目の出方にグレードを付けているわけでもありません。もちろん使用する木材は、楽器として使用するために必要な基準をしっかりクリアしています。しかしそこで勝負するのではなく、あくまでもさまざまな設計で勝負しようとしているところに、ラジオの修理工場からアンプの修理/開発を経て、ギターメーカーへ転身したというフェンダーのアイデンティティがにじみ出ているように感じられます。