マグネート・ギターズ(Magneto Guitars)

[記事公開日]2015/1/31 [最終更新日]2017/8/15
[編集者]神崎聡

マグネート・ギターズ(Magneto Guitars)

「マグネート・ギターズ(Magneto Guitars)」は、20年以上のキャリアを持つフランス人ルシアークリスチャン・ハルシュタット氏が設計、日本人ルシアーのヤツヅカ・ケイ氏の協力のもと日本で独自のエレキギターを生産しているブランドです。プロトタイプの完成は2008年9月でまだ新しいブランドですが、サウンド哲学を感じさせる独自の設計で世界各国で支持を集めています。

マグネート・ギターズの特徴

シェイプとサウンドとの関係を追求したデザイン

tone-influent-shape

マグネートのギターは、伝統的なエレキギターのシェイプにアレンジを加えたデザインに特徴があります。これは「 “Tone-Influent” Shapes(”トーンに影響する”シェイプ)」と呼ばれており、弦の振動がボディやネックのどこで響いているのかを科学的に調査し、影響が大きいところをサイズアップし、影響が少ないところではカットしています。この考えから、ヘッドには厚みを加える事で響きを安定させ、デッドポイントを減少させるとともに、サスティンを向上させています。

カッタウェイモデルではホーンの先がよく響くことが判明したので、ストラトタイプの「Sonnet」ではこれを邪魔しないように、ピックガードが1弦側のホーンを覆っている部分をカットしています。このようなピックガードのデザインはジェームス・タイラーのスタジオ・エリートやミュージックマンのシルエットが有名ですが、単なるルックス重視ではなくサウンドのための設計だったということが判ります。

「自動化」を否定した完全ハンドメイド

マグネートには「楽器は工業製品ではない」という哲学があります。それゆえ効率的な大量生産を嫌い、一本一本職人の手で完成させることに強いこだわりを持っています。自動制御の工作機械は一切使用せず、木材のカットと整形、フレットの打ち込み、サンディング、ハンダ付け、組み込み、最終セットアップまで全ての工程が職人の手作業で行われています。

手作業ゆえにボディにもネックにも個性が出てきますが、どのボディとどのネックとを組み合わせて完成させるかについては、叩いたときの音が調和する組み合わせを採用する「タップ・チューン」という手法がとられています。ここまでボディ&ネックのマッチングにこだわるブランドも珍しいと言えるでしょう。
これはバイオリンメーカーの手法とのことですが、エレキギターではかのスティーヴ・ヴァイ氏が、愛機のお気に入りポイントは「ボディとネックを叩いたときの音がオクターブでユニゾンする」事だと述べているのが有名です。

マグネート・ギターズのラインナップ

共通スペック

マグネート・ギターズのボディ

ボディ

ボルトオンモデルでは、ボディには程よい重さで、バランスが良く暖かみのあるトーン、中高音域寄りのサウンドが特徴の「北アメリカ産アルダー」が、セットネックモデルでは「メイプルトップマホガニーバック」ボディという伝統を踏襲したマテリアルがセレクトされています。全て楽器の鳴りを最大限に活かすためのシェイプで整形されており、また振動を行き渡らせるために若干小振りに作られています。塗装にはニトロセルロースラッカーが極薄で使用されることで通常の塗装よりも大きな鳴りが得られ、また音抜けが向上するなどサウンドがよくなります。

ネック

ボルトオンネックには硬質で密度が高く、きらびやかなトーンを特徴とするハードロックメイプルを使用。セットネックモデルでは伝統を踏襲したマホガニーがセレクトされています。グリップは鳴りを殺さないくらいの程よい太さのCシェイプで、ヘッドもそれに応じて大きめに設計し、ネック全体が鳴るように作られています。またネックの裏はベタつきの発生しないウレタンが使用され、プレイヤーのストレスが発生しないようになっています。

やや丸みのある280Rの指板には滑らかな触感で音域の広いインドローズがいずれのモデルにも使用されていますが、モデルによってはさらに硬質な銘木であるエボニーが使用される事もあります。

ハードウェアとエレクトロニクス

ブリッジやペグなどは世界的に信頼されているゴトー(日本)製で、すべてマグネートの理想に合わせてより強固な造りにカスタマイズされ、サスティンを向上させるとともに各弦の分離をより明確にさせています。またCTSポット、CRLスイッチ、スイッチクラフトジャックといった、高品位なエレキギターでは定番の電気部品がセレクトされています。

ピックアップについても全てカスタムワウンドで、どのモデルでもピッキングニュアンスが良く出るように、出力は若干抑えられています。回路のノイズ処理もしっかりしており、キャビティ内は鉛を使用しない炭素系導電性コーティングが施されており、またピックガードの裏にはしっかりアルミの層が貼られており、ノイズが出にくくなっています。

各シリーズ紹介

Sonnetシリーズ

Magneto Sonnetシリーズ 左から:Sonnet、Sonnet 16、Sonnet Crown、Sonnet Raw Dawg、Sonnet Custom Studio

マグネートの記念すべき第一号がこのソネットで、ストラトライクなルックスにマグネートの哲学を詰め込んだ個性的な楽器です。バリエーションも同ブランド内で最大になっています。伝統的なルックスを大事にしながら木材の振動するエリアに着目し、ミッドレンジが立つように設計したボディデザインで、よりよいバランスのトーンを実現させています。またトーンに仕込まれたスイッチによりそれぞれに様々な機能が加えられています。

+Sonnet:基本モデル。ピックアップはSSH配列。フロント+リアのミックスが可能。
+Sonnet 16:60年代中頃のストラトキャスターを意識した3シングル配列。タイトな低域と鈴鳴りの高音域が持ち味。フロント+リアのミックス、及びフロント+センター+リアのミックスが可能。若干の仕様変更を施したSonnet Raw Dawgはエリック・ゲイルのカスタム仕様です。
+Sonnet Crown:リアにハムバッカーサイズのP-90タイプのピックアップをセレクトし、より生々しく明瞭なクランチ、また甘く滑らかなクリーントーンを可能に。フロント+リアのミックスが可能。
+Sonnet Custom Studio:最高級のキルトメイプルをボディトップに使用したエレガントなモデル。リアのハムバッカーはコイルタップができます。

T-Waveシリーズ

Magneto T-Waveシリーズ 左から:T-Wave、T-Wave Sen、T-Wave Atlantic

テレキャスターを彷彿とさせるシングルカッタウェイのルックスに、クールなテイストを加えたアレンジを施したモデル。スリットの入れられたピックガードが大人っぽい印象を演出しています。大きな生鳴りとミッドレンジを立たせたサウンドが持ち味。ブリッジはレトロ感のある3連サドルですが、サドルの角度を調節できるようになっており、きちんとオクターブ調製ができるようになっています。またブリッジプレートは1弦側をカットしており、演奏性が向上しています。フロントにP-90タイプ、リアはテレキャスタータイプのピックアップがセレクトされており、ブルース、ジャズ、カントリー、ロックなどあらゆるジャンルに対応する事ができます。

+T-Wave:基本モデル。カラーバリエーションが豊富です。
+T-Wave Sen:クセのないキャラクターで程よくアタックの立つ日本原産のセンアッシュ(栓)ボディにオイルフィニッシュを施した、渋いルックスのモデル。
+T-Wave Atlantic:彫刻されたカスタム・アルミニウム・ピックガードとバーポールピースのピックアップを特徴とする、シックなルックスのモデルで、ジャズ向きに設計されていますがブルース、ロカビリー、カントリーなど幅広く応用できます。

T-Wave についてはギター博士が弾いてみた動画でチェックすることができます!!
MAGNETO Guitars T-WAVE をギター博士が弾いてみた!

Velvet

magneto-velvet

伝統的なレスポールのシェイプとマテリアルを受け継ぎながら、最大限にギターの鳴りを引き出すボディ構造にアレンジされたモデルです。歪ませるとミッドの立つ太いサウンドが、クリーンでは十分なトレブルが得られるようになっており、幅広いサウンドをカバーできるように作られています。シックなサテンフィニッフュとスリットの入ったピックガードがクールな印象を演出しています。

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