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リッケンバッカー(Rickenbacker)のギターについて

Rickenbacker

リッケンバッカーはエレキ/アコースティックギターやエレキベースの製造を中心とした、アメリカの楽器メーカーです。ひと目でリッケンバッカーとわかるルックスや、硬質で芯の太い音が魅力。ロック黎明期からハードロック全盛期、近年のニュー・ウェイブに至るまで、ロック系のバンドやギタリストたちに愛されています。

世界初となるエレキギター「フライングパン」を発表して注目を浴び、他にもエレキベースやエレキバイオリン、12弦ギターといった楽器も世界で初めて開発。その後、買収や契約などの紆余曲折を経ながら、ビートルズのジョン・レノンやジョージ・ハリスンが使用した影響もあり、フェンダーやギブソンといった一流メーカーに匹敵する人気を博すようになりました。

リッケンバッカーの歴史

Rickenbacker FryingPan 世界初のエレキギター:フライングパン

その歴史は1925年、スイスからアメリカに移住したアドルフ・リッケンバッカーが、ロサンゼルスに金属パーツ製作店「リッケンバッカー・マニュファクチュアリング・カンパニー」を設立したことから始まります。

1928年にナショナル・コーポレーションに投資、ギターの金属製ボディを納入する契約を締結、
1931年にはナショナルCorp.のスタッフと「ローパットーイン・コーポレーション」を設立、「Rickenbacher(現代と異なり”h”が入っていた)」のブランド名で、世界初のエレキギターとされている通称「フライングパン」を発表します。

1933年、ブランド名を「Rickenbacker」に変更、フェノール樹脂をボディ材に採用したギターなど、この頃から野心的な開発をしています。

1946年、大戦中に中断されていた楽器製造を再開、50年代後半には現在のラインナップの原型と思われるモデルが登場し、1958年には現代のデザインが確立しています。

1962年にサンタアナに工場を移転、社名を「リッケンバッカー・インターナショナル」に変更、知名度でフェンダーやギブソンに押されていたところ、リッケンを使用していたビートルズの大成功によって一気にイメージを上げました。

1970年代にはこれまでの主力ピックアップであった「ホースシューピックアップ」の出力を上げた「ハイゲインピックアップ」が誕生、現在の主力ピックアップになります。

リッケンバッカーの特徴

rickenbucker-2 「R」のロゴ入りテールピース

リッケンには他のメーカーにはない特徴がいくつもあります。

第一に、ローズ指板モデルであっても指板にしっかり塗装がされています。ローズには塗装しないことが一般的ですのでこれは誰しも首をかしげるところですが、そのぶんオイルメンテ(=レモンオイルなどを塗り込み木部の保湿をする)する必要がありません。セミアコの300シリーズでは「fホール」の形状をロッドカバーに合わせており、統一感を演出。リッケンの頭文字「R」が刻まれたテイルピース、高級モデルに採用される三角形の指板インレイ、大きなロッドカバーなど、ルックス上のポイントにあふれています。

ピックガードが二重になっていますが、これも独特。ベースとなっている一枚目のピックガードにスイッチやジャック、ポットなどアッセンブリ(=回路)がはめられ、一段高くした二枚目のピックガードが指を起きやすいように設置されています。これにより弾きやすく、またつまみやスイッチが演奏の邪魔になりにくくなっています。

リッケンバッカー:ヘッド部分

大きなロッドカバーを外すと、トラスロッドが2本並んでいるのを見つける事が出来ます。これは細いネックの補強とネックのねじれにまで対応するためですが、調整には非常に繊細な作業を必要とします。ネック調整は自力でトライしようとはせず、プロのリペアマンに依頼しなければなりません。

フィフス・コントロール

fifth-control

コントロール系は、ピックアップセレクタに2ボリューム、2トーン、そしてフィフス・コントロールという構成が基本です。「2ボリューム2トーン」はギブソン系に似ていますが、ボリュームとトーンの配置が違っています。またこのボリュームは「ミックス回路」になっており、セレクタがセンターポジションのとき、フロントとリアのブレンド加減を操作できるようになっています。これはフェンダーのジャズベースと同じ配線で、かつギブソン系とは異なる配線です。

アッセンブリ最大の特徴は「フィフス・コントロール」という5つ目のつまみです。これはフロントピックアップのみ(3ピックアップモデルの場合はフロント+センター)にかかる「疑似ブースター」の働きをします。つまみが全快のときはブースト「0」で、非常に出力の弱いアコギ風のオープンコード弾きに適したサウンドですが、このつまみを絞っていくと中低音とともに音量が上がっていきます。

ピックアップが2つのモデルも3つのモデルもありますが、どちらもピックアップセレクタには「トグルスイッチ」が採用されています。トグルスイッチでは「AとBとミックス」の3つしか選択できないのですが、リッケンの3ピックアップモデルは、フロントとセンターが並列に配線されています。ですからトグルスイッチのポジションにより、「フロント+センター」、「フロント+センター+リア」、「リア」という選択になります。

サウンド

ホロウボディ、ソリッドボディともに、ネックもボディもメイプルをセレクトしているのが基本です。木材の特性が出た輪郭のはっきりしたサウンドは、人によっては硬い印象を持つかもしれません。しかしアタックの立つリッケンサウンドは多少歪ませてもコード感を失う事がなく、特にロックバンドでのバッキングで非常に頼もしいサウンドです。やはりビートルズのイメージが強いためか使用ミュージシャンには歌もののアーティストが多く、そのためバッキングに特化したギターのようなイメージを持たれる事もあります。ギターボーカルが持つ楽器、というイメージを持っている方も多い事でしょう。
ネック/フレット共に薄く細く、弾きやすいギターです。

ギターのラインナップ・各ラインの特徴

現在のリッケンのエレキギターは、セミホロウボディでミディアムスケールセットネックの300系、ソリッドボディでショートスケールスルーネックの600系の二つが主軸です。一貫して職人のハンドメイドによる高品位の楽器生産にこだわっており廉価版のラインナップが存在しないところも、ファンの心をくすぐるポイントです。

ホロウボディ(300シリーズ)

rickenbacker-330-fileglo Model 330 Fireglo

空洞のあるセミホロウ特有の「空気感」と「シャープさ」のバランスがとれた楽器自体のリアルな音を楽しめます。セミアコタイプなのであたたかみのある生音はもちろん、クリーンサウンドやロック初期の60年代バンドに特徴的なマイルドかつトレブリー(中高音を主体としたハイトーン)なサウンドです。
基本グレードの330、ハイグレードの360を基調に、それぞれ3ピックアップモデルと12弦モデル、3ピックアップの12弦モデルがリリースされています。ボディ構造に若干の違いがあり、360系の方がトレブルが立つ印象です。

ジョージハリスン

ジョージ・ハリスン

ビートルズの「Hard Days Night」で故ジョージ・ハリスンが演奏していたのは、360の12弦モデルでした。イントロのGsus4一発の響きやギターソロのユニゾンサウンドは、360/12の存在感をいかんなく発揮しています。ビートルズの成功によってリッケンがブレイクするきっかけとなったのは、ジョン・レノンがデビュー前から使用していた「325」でした。ジョンが購入した当時は売れ残りだったそうですが、現代では「ヴィンテージシリーズ」として復刻版がリリースされています。

「イージーライダー」は、アメリカンバイクを語る上では外す事の出来ない映画です。この作中で使用された「ワイルドで行こう!(Born to be wild)」で知られるステッペンウルフのジョン・ケイが使用していたのは、ピックアップを乗せ替えボディにアレンジを加えた381です。このステッペンウルフはリッケンバッカーが協賛しており、リードとサイドのギター、そしてベースがリッケンバッカーで統一されていました。

330を…
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300シリーズの使用アーティスト

  • ジョージ・ハリスン(ビートルズ)
  • ジョン・レノン(ビートルズ)
  • ブライアン・ジョーンズ(ローリング・ストーンズ)
  • ピート・タウンゼント(ザ・フー)
  • クリス・マーティン(コールドプレイ)
  • トム・ヨーク(レディオヘッド)
  • カール・ウィルソン(ザ・ビーチボーイズ)
  • 岸田繁(くるり)

ソリッドボディ(600シリーズ)

rickenbacker-620-skyglo Limited Model 620 SA Skyglo

ボディに空洞がない「ソリッドボディ」構造によってハウリング耐性が高く、エフェクターとの相性も良く、歪ませてパワフルなサウンドを出したり、きらびやかでスタイリッシュな音色作りにも対応してくれます。600シリーズは300シリーズよりシャープなサウンドになる傾向ですが、ネックスケールを落としてバランスを取っています。

リッケンに限らずショートスケールの楽器はサブギターとして扱われるケースがほとんどです。この600シリーズは日本人では椎名林檎が620を使用したことが知られていますが、トレードマークにまではしていません。またトム・ペティがアルバム「破壊(1979)」のジャケット写真で660/12を持っている姿が有名ですが、ステージでは300シリーズを持つ事が多いようです。

620を…
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600シリーズの使用アーティスト

  • 椎名林檎
  • グレン・フライ(イーグルス)
  • ゲム・アーチャー (オアシス)
  • エド・オブライエン (レディオヘッド)
  • アヒト・イナザワ(元ナンバー・ガール、VOLA & THE ORIENTAL MACHINE)
  • 藤巻亮太(レミオロメン)

その他の主な使用アーティスト

ミュージシャンはビートルズやザ・フーのロックギタリストたちを筆頭に、イエスやジェネシスなどのプログレ系バンド、ザ・ジャム、ザ・スミス、トム・ペティやR.E.Mといったアーティストのサウンドづくりに貢献してきました。日本でもザ・コレクターズや財津和夫にはじまり、少年ナイフや椎名林檎、奥田民生や岸田繁(くるり)、峯田和伸(銀杏BOYZ)、大木伸夫(ACIDMAN)、山口一郎(サカナクション)たちが愛用。ロックンロール、パンク、ニューウェイブといったあらゆるジャンルを彩ってきました。

  • クリス・スクワイア(イエス)
  • ゲディー・リー(ラッシュ)
  • ジョニー・マー (元ザ・スミス)
  • ポール・ウェラー
  • マイク・ラザフォード(ジェネシス)
  • レミー・キルミスター(モーターヘッド)
  • 広沢タダシ

さまざまなミュージシャンに選ばれる理由は、“オールマイティでありながら、確かなオリジナリティを持っている”こと。数多い音から自分らしさを表現するためのパートナーとして選ばれているのかもしれません。