《安くても本格派!》ギブソン・レスポール・スタジオ/トリビュート徹底分析!

[記事公開日]2022/6/10 [最終更新日]2023/10/1
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

ギブソン・レスポール・スタジオ Les Paul Studio 2014:Manhattan Midnight

レスポール・スタジオ及びレスポール・トリビュートは、レスポール・スタンダードを仕様変更して価格を圧縮させたギターです。装飾など設計上サウンドに影響のないところを廃し、また木材のグレードを抑えることで、レスポール・スタンダードのサウンドはなるべくそのままに、低価格化を実現しています。

本来「レスポールの廉価版」としてはレスポール・ジュニアレスポール・スペシャルが、また後にメロディーメーカーが作られていました。しかしボディ構造やピックアップなどがレスポール・スタンダードとは異なることから「別の個性を持つギター」として定着しており、廉価版という立ち位置ではなくなってきました。レスポール・スタジオ及びレスポール・トリビュートはこういった経緯から、レスポール・スタンダードそのものの廉価版として開発されています。

レスポール・スタジオのデビューは1983年で、40年ほどの歴史があります。「(コピーモデルではない)ギブソンのレスポールが、10万円台で手に入る」ということでヒットしました。今回はこの、ギブソン「レスポール・スタジオ」及び「レスポール・トリビュート」に注目していきましょう。

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1: レスポール・スタジオ/トリビュート/フェイデッドの特徴 1.1: レスポール・スタンダードと遜色ない構造 1.2: モディファイ(改造)のベースとして 2: Les Paul Studio、Les Paul Tributeのラインナップ 3: 「レスポール・スタジオ・グループ」の歴代ラインナップ 3.1: 2018年モデル 3.2: 2017年モデル 3.3: 2016年モデル 3.4: 2015年モデル


Battles – Atlas
一般的な作曲と演奏技術の限界を押し広げる「エクスペリメンタルロック」バンド「Battles」を率いるイアン・ウィリアムス氏。左手のタッピングでギターを弾き、右手でキーボードを弾くのは、氏にとっては基本的な奏法です。レスポールの音がいったいどこで鳴っているのかさえ判別できない楽曲ですが、少なくともレスポール・スタジオがプロのアーティストも使用できるギターであることはわかりますね。

レスポール・スタジオ/トリビュートの特徴

スタンダード/スタジオ/トリビュート 左から:左から、Les Paul Standard ’50(Tobacco Burst)、Les Paul Studio(Smokehouse Burst)、Les Paul Tribute(Satin Cherry Sunburst)。どこが違うか判りますか?

スタジオ及びトリビュートは、「メイドインUSAのレスポール・スタンダードを、いかに低価格化させるか」という、ギブソン社の企業努力の結晶です。そのため、価格圧縮は楽器としてのサウンドや性能をなるべく損なわないところで行なわれます。

レスポール・スタジオ:ネック 上:Les Paul Standard ’50、下:Les Paul Tribute。

ネックやボディを取り巻くバインディングを廃しているところ、またヘッドロゴをインレイからプリントに変更、メイプルの杢(もく)が無かったり派手ではなかったり、トリビュートではボディ塗装がサテン仕上げだったりというところがルックス上の特徴です。これらはコストダウンのための設計でしたが、結果として「装飾を排し洗練されたモダンなルックス」を手に入れることとなりました。コストダウンモデルでありながらスタジオとトリビュートでは指板の「トラペゾイド(台形)インレイ」が残されており、レスポールとしてのカッコよさがあります。

レスポール・スタンダードと遜色ない設計

Les Paul Studio Les Paul Studio (Ebony)

メイプルトップ/マホガニーバック、セットネック、という基本構造はレスポール・スタンダードと同じ仕様です。廉価版と言いつつも、ニトロセルロースラッカー塗装が引き続き採用されているあたり、ギブソン社の矜持を感じさせます。2基のハムバッカー、2ボリューム2トーン、トグルスイッチという操作系も同様。ネックグリップについては、スタジオでは細めの「スリムテーパー」が、トリビュートでは厚みのある「ラウンド」が、それぞれ採用されています。また両機とも、バック材に空洞を設けて軽量化させる「ウルトラモダン・ウェイトレリーフ」が施されており、長時間の練習やライブ演奏に有利です。

モディファイ(改造)のベースとして

レスポール・スタジオ/トリビュートは比較的低価格なモデルですが、上位機種と同じピックアップを備えた、まぎれもないギブソンのレスポールです。本体が比較的安いのを利用して、パーツを好みのものやグレードの高いものに交換したりルックスに手を加えたりして、「自分だけのレスポールを作る」ためのベースにもうってつけです。

Les Paul Studio、Les Paul Tributeのラインナップ

ではここから、スタジオ及びトリビュートのラインナップを見ていきましょう。かつては毎年のようにモデルチェンジしていたギブソンでしたが、2019年の春にラインナップを一新して以来、今のところ仕様は落ち着いています。

Gibson「Les Paul Studio」

Les Paul Studio 左から、Wine Red、Tangerine Burst、Smokehouse Burst、Ebony。

「レスポール・スタジオ」はメイプルトップ&マホガニーバック、セットイン式マホガニーネック、ローズ指板というレスポール本来の木材構成を全て採用しながら、販売価格で20万円を余裕で下回る低価格を達成したモデルです。スリムな握り心地のネックプロフィールは、現代的なあらゆる演奏スタイルにマッチします。
ピックアップは「490R&498T」という組み合わせで、現代のオーソドックス路線でありながらリアの出力は高め、というバランスです。それぞれを別個にコイルタップできるので、多様なサウンドバリエーションが要求されるジャンルにも余裕で対応できます。
価格は押さえながらも、グローヴァー社製ロトマチック・ペグや上位モデル同様のアルミ製テールピースを備えるなど、譲れないところのスペックの高さはしっかり保持しています。

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Gibson「Les Paul Tribute」

Les Paul Tribute 左から、Satin Iced Tea、Satin Honeyburst、Satin Tobacco Burst、Satin Cherry Sunburst。

「レスポール・トリビュート」は、ネック材をメイプルに変更することでもうひと押し、価格を圧縮させたモデルです。指板材はローズウッドを維持しているので、レスポールとしての弾き心地はじゅうぶん保持されています。このモデルのみボディ塗装はサテン仕上げですが、これも研磨の工程を省いた価格圧縮の技ですが、「均一に一発で吹き上げる」という高い塗装技術あっての仕様でもあります。
「490R&490T」というピックアップは、ギブソン王道の「57クラシック」をベースに中高域を強化したクリアな音質を持つ、ギブソンの提唱する「モダンクラシック」なキャラクターを持っています。
コイルタップは非採用で、旧式のクルーソンペグ、太めのネックプロフィール、という仕様の組み合わせにより、古き良きレスポールのイメージを演出しています。

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Doug Aldrich Demos The Gibson Les Paul Tribute
名手ダグ・アルドリッチ氏がバリバリ弾くレスポール・トリビュート。安いからって安っぽくないどころか、もうこれで充分じゃないか、と思えるサウンド。

「レスポール・スタジオ・グループ」の歴代ラインナップ

ここからは資料として、価格を抑えたギブソン・レスポール近年のラインナップを見てみましょう。各年式の特徴がそれぞれ反映され、またピックアップが変更されるなど、サウンドにおいても年式ごとに違いが見られます。

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