Tom Anderson(トム・アンダーソン)のギターについて

[記事公開日]2014/11/12 [最終更新日]2021/5/31
[編集者]神崎聡

トム・アンダーソンのギター

創始者トム・アンダーソンは、音楽活動のためにL.A.で暮らしていたものの、それでは結婚できないと悟り、1977年からシェクター社で働くようになりました。ところが1984年、シェクター社は企業買収の憂き目に遭い、社長のデビッド・シェクターが解雇されます。

「やりたい事があったら、独立しろ」というシェクター社長の言葉を受けて会社を設立、ガレージでのピックアップ製造からボディ/ネック製造、1987年には遂に完成品のギターを作るまでに至り、L.A.のスタジオミュージシャンを中心に支持を集めました。

現在、より納得の行く楽器作りのために会社を縮小、減産によりプレミアム的な価値が高まっています。

トム・アンダーソン ギターの特徴

トム・アンダーソン(以下、トムアン)は、スタジオミュージシャン向けのいわゆる「ハイエンド・ギター」の代表です。どの音楽にも馴染み、またバリエーションの多いサウンド、業界随一ともいわれる手作業の丁寧さ、グレードの高いトップ材を用いた美しさが知られています。ステンレスフレットを採用していることもあって、立ち上がりの良いサウンドに定評があります。

外観

「A」のヘッド

ストラト/ディンキー・タイプのハイエンド・ギターは、いろいろなブランドがあってもルックスが似てくるものです。しかし「A」が主張するヘッドのロゴにインパクトがあり、トムアンだとすぐわかります。また多くのモデルのボディトップに模様の美しいメイプルが使われています。モデル名にもなっている「ドロップ・トップ」は、右肘の当たる所を斜めに削ったカーブ(=コンター加工)にあわせてトップ材を曲げて接合するもので、美しいボディトップ、コンター加工のプレイアビリティ、サウンドのための適正なトップの厚みを両立させています。

バズ・フェイトン・チューニングシステム

トムアンのギターはバズ・フェイトンの考案したチューニング法に合わせた設計(=ナットの位置が若干ブリッジ寄り)になっています。対応したチューナーの使用が必須ですが、これによってコードを鳴らした時、弦の振動同士が干渉しにくくなり、響きがとても美しくなります。

ナローネックと特徴的なネックジョイント

neck-joint A Wedgie Joint System

ネックの握りは細めで「ナローネック」と言われます。また普通のものよりも硬いステンレスのフレットは両端を丁寧に丸く整えられており、スムーズに運指できます。2006年モデルから採用されている”A Wedgie”ジョイントシステムは、ネックの接合部分を立体的にカットすることで接合する面積を増やし、振動の伝達効率を向上させるトムアンオリジナルのジョイントです。立体的な接合面で「食い込ませ」ているため、ネックを固定するネジは僅か2本です。

ちなみにこの「Wedgie(ウェッジー)」は、日本における「カンチョー」に近い扱いの「パンツを食い込ませる」イタズラの名前です。

スイッチュルー(Switcheroo)システムなど独特のアッセンブリ

トムアンのこだわりは本体にとどまりません。ピックアップ製造から歴史をスタートさせたトムアンでは電気回路にも深いこだわりがあり、どのモデルに対しても全てのアッセンブリをオーダーできます。いらない所をカットし、オイシイところをしっかりアウトプットするトムアンオリジナルピックアップとのマッチングにより、音の良さと現場での便利さを両立させています。

スイッチュルーシステム

https://i0.wp.com/images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51dl2OFJuOL.jpg?ssl=1 Tom Anderson Classic-Trance Red to Dark Red Burst

最も有名なのは「スイッチュルー(=Switcheroo)」で、各ピックアップ毎に3点ミニスイッチを設置し、それぞれに
1)シリーズ(=直列)
2)オフ
3)パラレル(=並列)もしくはコイルタップ
を設定できるため、ピックアップの全ての組み合わせを使用する事ができます。パラレルかコイルタップかは、バックパネル内のスイッチで個別に選択できます。

ここでコダワリの組み合わせを作っておきますが、いざギターソロ、と言うときに「トーン全開リアハムバッカー」を一発で呼び出し、また前の設定に一発で戻れる「ブロアースイッチ」とのセットにより、ライブでも安心して使用できます。

VAブースト

VAブースター

主に5点セレクタスイッチとの組み合わせで設置されるスイッチで、ピックアップの出力を4デシベル追加します。これは電池を必要としないので不思議に思われますが、あらかじめパワーの強いピックアップを設置、出力を抑えている状態(=VAブースト解除)で通常のギターと同じ程度の出力にしているわけです。

ヴィンテージ・ボイシング

ボリュームとトーンに使われるポット(=可変抵抗器)の抵抗値が高いと、トレブルが立つ性質があります。シングルコイルはトレブルが響きやすいため、ストラトでは250kオームがセレクトされます。一方ハムバッカーは高域がやや削れるため、レスポールでは500kオームがセレクトされます。ちなみにシャキシャキ感が欲しいテレキャスターでは、1Mオームがセレクトされます。このようにポットの抵抗値はピックアップに合わせて選ぶので、SSHやHSHのピックアップ配列ではどちらかが中途半端になってしまいます。多くのブランドではこの場合、リアにマウントしたハムバッカーをメインとしますから、500kオームが選ばれますが、このためシングルコイルがブライトになり過ぎてしまいます。

「ヴィンテージ・ボイシング」はトムアン標準装備の機能で、シングルコイルをセレクトしている時には250kオーム、ハムバッカーをセレクトしている時には500kオームにポットの抵抗値が切り替わるようになり、どのポジションでも説得力のあるサウンドを得る事ができます。

トム・アンダーソン ギターのラインナップ

Sファミリー、Tファミリー

Sファミリー、Tファミリー 上:S-Family、下:T-Family
引用元:http://www.andersonguitars.com/product_information/models/models.cfm

ストラトを基調としたSファミリー、テレキャスターを基調としたTファミリーそれぞれに、メイプルトップの美しい「Drop Top」、伝統的なスタイルの「Classic」、両者を合わせた「Drop Top Classic」があり、トムアンを象徴するモデルになっています。ボディ構造を通常のソリッドと中空にしたホロウとから選択でき、またネックの長さを25 1/2インチのロングスケール、24 3/4インチのミディアムスケール(=トムアンでは”Short”と言います)から選択できます。

コブラ

コブラ・シリーズ引用元:http://www.andersonguitars.com/product_information/models/cobra_family/cobrafam.cfm

フェンダースタイルのルックスでありながら、24 3/4インチのミディアムスケールネック、マホガニーバック、といったギブソンスタイルの構造を持ったシリーズで、ストラトタイプとテレキャスタイプがあり、ソリッド/ホロウのボディ構造がセレクトでき、またネック材をマホガニーかインドローズかで選択できます。

ブルドッグ

bulldog引用元:http://www.andersonguitars.com/product_information/models/atom_family/atomfam.cfm

トムアンの手法でレスポールをアレンジしたシリーズで、レスポールスタンダードを模した「Bulldog」にアームを付けた「Bulldog Locker」を代表に、レスポールJr.やレスポール・スペシャルを模したモデルがあります。

ATOM、Crowdster

シングルカッタウェイを基調としたオリジナルシェイプのボディで、フラットトップの基本モデル「Atom」と「Atom Special」、カーブドトップの「Atom CT」に対して、同様のボディシルエットのエレアコが「Crowdster」です。

使用ギタリスト

矢堀孝一

ベースに水野正敏、菅ドラムに沼孝三を擁するジャズ・ロックバンド「fragile」として活動、また音楽学校メーザーハウスの講師としてまた作曲家、アレンアジャーとしてアーティストのプロデュースを行っています。

その他の愛用者

・ニール・ショーン (ジャーニー)
・ミック・ジャガー(ローリング・ストーンズ)
・キース・リチャーズ(ローリング・ストーンズ)
・リッチー・サンボラ(ボン・ジョヴィ)
・クリストファー・クロス
・フィル・コリン(デフ・レパード)
・スティーヴ・ヴァイ
・マイケル・ランドウ
・DAITA(SIAM SHADE時代)
 ※Wikipediaより

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