エレキギターの総合情報サイト

ギターアンプの真空管の種類・仕組みについて

ギターアンプ・ヘッドや真空管搭載のコンボアンプなどを所有している人にとって、真空管のメンテナンスはかかせないものとなります。そこでこのページではギターアンプで使用する真空管について、これからチューブアンプを所有しようと思っている人向けに解説していきます。

真空管とは?

真空管は Marshall JCM2000 などを代表とする真空管アンプの「増幅回路」に使われています。本体はガラス製、あるいはセラミック製で、使用する真空管はアンプによって異なります。真空管はそれぞれ音に特徴を持っており、同じ規格の物でもメーカーによってサウンドが変わってきます。

今現在、製造されている真空管の大部分はギターアンプに使われており、主に「ロシア」、「スロバキア」、「中国」の三国が製造しています。製造国よって「真空度」が変わることも有名で、真空度が高いほど「クリアな音質」になります。上記の三国の場合、「スロバキア→ロシア→中国」の順に品質が良いとされていますが、アンプとの相性もあり、実際は試してみないとわからないことが多いです。

プリ管とパワー管の違い

ギターアンプには「プリ管」と「パワー管」の2種類が使われています。プリ管は楽器から入力された小さな信号を増幅し、パワー管はその信号を「スピーカーで慣らせる音声レベル」まで増幅します。

ちなみに、プリ管はアンプの「音色」を決める重要な真空管です。上述のように、同じ種類のプリ管であっても、製造国が違うだけで「歪み方」や「イコライザーの効き」に違いが出てきます。様々なメーカーのプリ管を試し、自分好みのサウンドを見つけると良いでしょう。

整流管

MESA BOOGIE 整流管 Mesa Boogie Triple Rectifier Solo Head の真空管:整流管は右3本の 5U4G、パワー管 6L6GC は左6本

一部のギターアンプには「整流管」が使われています。整流管は「交流を直流」に変換する役割を担っており、英語表記で「Rectifier Tube」と言います。MESA BOOGIEの「Rectifierシリーズ」などに使用されている真空管です。

交流を直流にするのはダイオードでも可能ですが、整流管を使うことで「マイルドなサウンド」になると言われています。トランジスタアンプのような「冷たく硬いサウンド」を持ちながらも、「滑らかな歪み方」をするため、整流管を使ったアンプはハードロックやメタルのジャンルと相性が良いです。

Mesa Boogie Triple Rectifier – Supernice!ギターアンプ

パワー管のマッチングについて


上:パワー管 EL34 EH/ペア
下:6V6R QT マッチドカルテット

2本以上のパワー管を搭載したギターアンプを使用している場合、パワー管の交換には「マッチング」した真空管を選ぶ必要があります。メーカーが真空管の個体差を調べ、誤差が少ない物をセット販売しています。2本セットの「ペア」、4本セットの「カルテット」といった商品ラインナップがあります。

仮に個体差のあるパワー管同士を組み合わせると、アンプの動作が不安定になるだけでなく、それが原因でアンプが壊れてしまう恐れもあります。各社から様々なマッチングセットが販売されているので、パワー管の交換は「まとめて行う」ようにしましょう。

プリ管の種類

12AX7/ECC83

12AX7-ECC83 左から:Svetlana(ロシア)、Golden Dragon(イギリス)、SOVTEK(アメリカ)、ELECTRO-HARMONIX(アメリカ)、PM

最も多く使われているプリ管が「12AX7/ECC83」です。これらは「同一規格」ですが、地域によって名称が異なり、米国では12AX7、欧州(ヨーロッパ)ではECC83と呼ばれています。この2つには互換性があるので、元々12AX7が使われていたアンプに、ECC83を使用しても動作します。

また、12AX7/ECC83はアンプだけでなく、ギタリストにはお馴染みの「エフェクター」にも使われています。BLACKSTARの「HT-DUAL」など、真空管によって歪みを作り出しているペダルに使用されています。

パワー管の種類

EL34

真空管 EL34PM、ELECTRO-HARMONIX、Svetlana

「JCM800」や「JVMシリーズ」など、Marshallアンプに採用されているのが「EL34」です。ウォームで太いクリーンサウンドが特徴ですが、ゲインを上げると「キメ細かい歪み」になり、いかにもMarshallらしいサウンドです。「EL34=Marshall」といったイメージが強いですが、「Hughes&Kettner」などのアンプにも採用されています。

6L6

tube-6L6GROOVE TUBES の 6L6

「6L6」は主にFenderアンプに使われているパワー管で、「豊かな中音域」を持っているのが特徴です。「Twinシリーズ」をはじめ、「Super Sonic」や「Hod Rodシリーズ」など、Fenderを代表とするアンプに多く使われます。他メーカーでは、MESA BOOGIEの「Rectifierシリーズ」、「Markシリーズ」に6L6が採用されています。

EL84

tube-EL84JJ(スロバキア)

EL84は「VOX」の「AC30」といったブリティシュアンプに採用されているパワー管で、サイズの小さいミニチュア管ながらも、「滑らかなオーバードライブ」と「豊かな倍音」が得られます。

また、EL84は「小型真空管ヘッド」にも採用されており、Orangeの「Tiny Terror」をはじめ、VOXの「Night Train」、Hughes&Kettnerの「Meisterシリーズ」など、様々なメーカーの小型ヘッドアンプに使われています。

6V6

tube-6V6ELECTRO-HARMONIX

「6V6」は出力の小さい「小型真空管アンプ」に使用されているパワー管です。20W程度の出力までカバーすることができ、Fenderの「DELUXE REVERB」に使われていることで有名です。6V6はとても歪みやすいこともあって、小音量でもドライブサウンドを楽しむことができることから、小型真空管アンプに採用されることが多いです。

6550/KT88

6550/KT88GROOVE TUBES

「6550」と「KT88」は「高出力アンプ」に使われる「ダルマ型」の真空管です。ヘッドルームが広いためハイボリュームにしても音が歪まず、美しいクリーントーンを鳴らすことができます。上記のパワー管と比べるとマイナーな部類に入りますが、「Bogner」や「Diezel」、「Hiwatt」、「VHT」といった「ハイエンドメーカー」のアンプに採用されています。

選定管について

真空管は個体差が激しいため、「Groove Tube」といった選定メーカーが真空管をチェックし、販売を行っています。メーカーが直接販売している真空管は安価ですが、同時に「不良品も多い」ため、多少割高でも選定管を選ぶギタリストは多いです。

Groove Tubeは独自の選定基準を満たした真空管だけを扱っているため、いわゆる「ハズレ」を引くことはまずありません。仮に不良品を手にしてしまっても、保証期間内なら新品と交換してもらえるのも嬉しいところです。