Roland JC-120 の使い方・音作りの方法

[記事公開日]2018/10/29 [最終更新日]2022/12/22
[編集者]神崎聡

Roland JC-120

ローランドが1975年に発売した120Wの大型アンプ「JAZZ CHORUS-120(JC-120、通称ジャズコ)」。発売後40年以上も愛され続けている、ローランド史上最長のロングセラー製品の一つです。トランジスタならではの美しいクリーントーンは他の追随を許さず、この音こそがこのアンプの絶対的個性と呼べるものとなっています。個体差が少なく、頑丈なのが強みであり、その特徴ゆえに日本中のあらゆるライブハウス、スタジオに常備してあります。熟練のスタジオミュージシャンからこれからライブをやろうと思っているバンドマンまで、すべてのギタリストにとって避けては通れないギターアンプです。

このページでは Roland JC-120 の音の出し方、音作りの方法、イコライザーやエフェクトの使い方について解説していきます。ギター初心者の人で使い方や音作りの方法がまだわからない人は是非チェックしてみて下さい。

Roland JC-120を使うメリット

Roland JC-120

JC-120はどんなアンプで、どのような利点があるのでしょうか。

故障が少ない/何処でもほとんど同じ音が出せる

故障が非常に少なくメンテナンスが最小限で済み、サウンド的な個体差が少ないという利点が他のアンプを凌駕しているためか、どこに行っても設置してあるのが特徴です。使い尽くされ酷使された個体でも、サウンド的な劣化が少なく、日本全国どこのJC-120でもほぼ同じ音が出せます。これはJC-120を使いこなすことで、どこに行っても自分の欲しい音が得られるということを意味しており、このアンプを好んで使う最大の理由になり得ます。

エフェクターの乗りが良い

JC-120はエフェクターの乗りが非常に良いことでも知られます。歪みなどはJC-120に合わせてセッティングすることで、そのエフェクター本来のサウンドを味付けなく鳴らすことが出来ます。JC-120は単体ではほとんど歪まないため、歪んだ音が欲しい場合はエフェクターやプリアンプなどを使用することになりますが、その際にこのエフェクターの乗りが良いことは大きなメリットになります。もとよりオーディオ的な設計で作られているため、純粋な再生機器としても優秀で、近年増え続けるギタープロセッサーや高機能マルチエフェクターなどはJC-120のリターンに接続することで、オーディオ的な理想的再生環境を得ることが出来るでしょう(後述)。

内蔵のコーラスエフェクトはこのアンプの代名詞ですが、ステレオスピーカーを利用した品質の極めて高いもので、余りにも評価が高かったためにローランド初のコーラスエフェクターCE-1として、単体で発売されるに至りました。このコーラスを使うためにJC-120を利用する、という選択もまたあって良いでしょう。


JC-120弟分である「JC-40」を使っての演奏(1:16〜)。
ステレオ出力のディレイを2つのチャンネルに繋ぐことで、1台のアンプで立体感のあるディレイサウンドが得られる。JC-120でも同様のプレイが可能で、JAZZ CHORUSシリーズの隠れたメリットだ。

あらゆるジャンルにフィットするサウンド

定評のあるクリーントーンはあらゆるジャンルで利用できる素晴らしいもので、高域を絞ってジャズ系に合わせるもよし、低域をうまくカットしてカッティング用として使えばファンクにも合います。ロック系のクリーントーンをこのアンプで鳴らしているギタリストは多く、アルペジオなどにコーラスエフェクトをうまく利用しても面白いです。あらゆるエフェクターと相性が良いので、さまざまなエフェクターを使うことで、歪みも含めた全てのサウンドを鳴らすことができるでしょう。JC-120が嫌われる要因となっているトランジスタらしい硬い音も、クリーンブースターや真空管搭載エフェクターなどを利用することでかなり修正できます。

また、クセのないオーディオ的なサウンドはキーボード、ボーカル、アコースティックギター用としても優秀で、実際に使われている例も少なくありません。

Roland JC-120 の音の出し方

それではJC-120の使い方を見ていきましょう。シンプルなアンプなので特に迷うことはないと思います。

ギター博士による JC-120 の音の出し方:動画 1:27〜2:10

電源をコンセントにつなぐ:JC-120

①電源をコンセントにつなぐ

スタジオによっては初めからコンセントが繋いであるところもありますが、つないでない場合もあるので自分で確認しておきましょう。

②ケーブルをインプットに繋ぐ

コンセントに繋いだら、次はギターに繋いだケーブルのもう片側を、JC-120の「INPUT」に繋ぎます。CHANNEL1、CHANNEL2のそれぞれ「HIGH/LOW」4箇所どこに繋いでも大丈夫です(それぞれの違いは後述)。

③パワーをONにする

JC-120のパネル右端の電源をONにします。

④ボリュームを上げる

電源をONにしたらボリュームを上げていきます。これで音が鳴るようになります。

音の出し方の手順:JC-120 音の出し方の手順

JC-120での音作り

続いて JC-120 の機能をフルに使った音作りについて。ギター博士がJC-120を使って演奏した動画を見ながらみていきましょう。

ギター博士による JC-120 の音作りの方法

clear

ギター博士「博士は LOW INPUT に繋いでおる。チャンネル1と2は音は変わらんゾ。チャンネル2の時のコーラスやリバーブはキレイにかかるのぅ。」

clear

六弦かなで「はかせ、動画さいごのほうで歪みエフェクター使ってるね。歪ませたら使いやすそうだナー、かなでもやってみようっと!!」

各チャンネルの使い方

Roland JC-120 のコントロール

JC-120 には「インプットジャック」と「ブライトスイッチ」、「イコライザー」を搭載した「チャンネル1」と、それに「エフェクト機能」を搭載した「チャンネル2」があります。それぞれ独立したプリアンプとパワーアンプを持っていますが、フットスイッチによるチャンネル切り替えには対応していません。

2つのチャンネルに音質的な差はなく、どちらを使っても同じサウンドになります。ただ、チャンネル 2 は JC-120 の搭載エフェクトが使えるので、基本的にはチャンネル2を使用するといいでしょう。

インプットHigh/Lowについて

JC-120には各チャンネルに「Highインプット」と「Lowインプット」といった2種類の入力ジャックが装備されています。Hiインプットはインピーダンス(交流抵抗)が高いために出力が高く、Lowインプットはインピーダンスが低いため、Highに比べて出力も低くなっています。

ギターからアンプに差し込む場合はHighインプットに、エフェクターを接続している場合はLowインプットに差し込むとバランスの良いサウンドになります。

JC-120に搭載されているエフェクトは?

JC-120には

  • コーラス
  • ビブラート
  • リバーブ
  • ディストーション

といった4種類のエフェクトを搭載しています。
JC-120のコーラスは非常に評判が良く、2つのスピーカーを使うことで、より自然なハーモニーになります。付属のフットスイッチでオンとオフを切り替えることができ、JC-120搭載のコーラスを好んで使っているギタリストも多いです。

前面にある切り替えスイッチを操作すると、コーラスとビブラートを切り替えることができます。ビブラートモードにすると SPEED と DEPTH のコントロールが使えるようになり、ギターサウンドに独特の揺らぎを与えてくれます。

また、JC-120 にはスプリングを使ったリバーブユニットが搭載されており、アナログライクなリバーブサウンドを楽しむことができます。ディストーションは音が硬く、強く歪ませると音割れするのであまり使えません。別の方法で歪ませるようにしましょう。

clear

歪ませたい時はエフェクターを使おう!

Roland JC-120 はクリーントーンがとてもキレイで故障が少なく扱いやすいアンプですが、歪みサウンドを作ることは苦手です。
JC-120 で音を歪ませたい場合はオーバードライブディストーションなどのエフェクターを繋いで、ドライブ・サウンドを作ってみましょう!

イコライザーの使い方

JC-120にはトレブル、ミドル、ベースといった「3バンドイコライザー」に加え、「ブライトスイッチ」という機能が搭載されています。ブライトスイッチをオンにすることにより、高音域がブーストされた音抜けの良いサウンドになります。

一般的なギターアンプはイコライザーをフラットの状態にしてから音作りを始めますが、JC-120はフラット時の正確なイコライジングが未だにわかっていないアンプです。そのため、人によって「フラットの定義」が異なることでも知られています。

JC-120のフラットについては諸説がありますが、有名なのは「ベース5・ミドル5・トレブル5」という説と、「ベース0・ミドル10・トレブル0」の2つです。後者はかなり極端なセッティングなので、前者のように全てのツマミを5に設定し、それから自分好みのサウンドになるように微調整すると良いでしょう。JC-120は元々「低音が出やすい」アンプなので、ベースは控えめに設定した方がバランスの良いサウンドになります

チャンネルリンクの方法

JC-120にはチャンネルリンクと呼ばれる「両チャンネルのプリアンプを同時に使用する」方法があります。これにより、トランジスタアンプであるJC-120が、「真空管アンプのような暖かさと太さ」を兼ね備えたサウンドになります。

これにより、「各チャンネルのイコライザーを同時に使える」ほか、「原音とエフェクターをミックス」して出力することもできます。チャンネルリンクはJC-120の性能をフルに発揮する、一種の裏技のようなものです。

チャンネルリンクはギターやエフェクターを繋いだシールドを「チャンネル1のLowインプット」に差し込み、「チャンネル1のHighインプットとチャンネル2のLowインプットを別のシールドで接続」することで可能です。配線の組み合わせは計8種類あるので、色々なパターンを試してみると良いでしょう。

JC-120のサウンドを手軽なサイズで得られる「JC-22」「JC-40」

JC-22、JC-40 左:JC-22、右:JC-40

ライブでJC-120を使うという人はエフェクターが欠かせません。しっかりと音作りを行なって本番に臨めたらいうことはありませんが、リハーサルでは十分に音作りに時間を作れないという人もいるでしょう。

RolandからはJC-120の小型サイズのコンボアンプ「JC-22」「JC-40」がリリースされています。これらのアンプは、ライブやスタジオリハーサルに向けて「仮想JC-120対策」にうってつけのモデルです。自宅で手軽にJC-120のサウンドが得られる「JC-22」、持ち運びしやすく自宅でもライブでも使える「JC-40」と、用途に合わせて選ぶことができるようになっています。JC-120対策に、または純粋にJC-120ファンの人も要チェックです。

Roland JC-40は、JC-120の弟分と片付けられない深さを持っていた:レビュー記事
ROLAND JC-22 – SuperNice!ギターアンプ
ROLAND JC-120 – SuperNice!ギターアンプ

ジャズコーラスの姿をしたBluetoothスピーカー「JC-01」

Roland JC-01

片手サイズのBluetoothスピーカーは数多くあれど、ギターアンプそのままの形をしているものは多くありません。JC-01はJCシリーズとうり二つの外観を持つ充電式スピーカーです。特にギタリストであれば誰もが見たことのあるそのルックスは、家の片隅に置いておくのにもぴったりです。オーディオスピーカーの割にギターアンプさながらの3バンドEQが付いている辺り、こだわりというべきなのかお遊びというべきなのか微妙なところですが、こんなところまで再現してくれているのは嬉しいですね。

Roland JC-01を…
Aアマゾンで探す R楽天で探す YYahoo!ショッピングで探す

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。