パワーサプライ(電源供給)の選び方

[記事公開日]2023/2/12 [最終更新日]2023/2/28
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

パワーサプライ

パワーサプライは、複数のエフェクターにパワー(電源)をサプライ(供給)する「電源供給装置」です。何種類ものペダルを使用するギタリストには必須のアイテムで、各メーカーから様々なモデルが販売されています。

パワーサプライは、

  • 1つのレギュレーター(電源供給回路)を使って複数の端子から電源を供給する「通常型」
  • アダプターから供給された電源を分岐させて使う「分岐型」
  • 1つの端子に1つのレギュレーターが搭載されている「独立型(アイソレート)」

といった3種類に分けられます。それぞれ特徴がありますが、通常型はパワーサプライの定番モデルに多く、分岐型はBEHRINGER などの格安メーカーがよく扱っており、独立型はハイエンドモデルに多いです。

パワーサプライの選び方

各社から様々なパワーサプライがリリースされていますが、自分のエフェクターボードにあったモデルを選ぶポイントを紹介します。

電流容量を確認する

パワーサプライには「電流容量」という、A(アンペア)やmA(ミリアンペア)で表記される数値があります。例えば、電流容量が「400mA」だった場合、接続するエフェクターの消費電流が合計で 400mA を超えてしまうと、パワーサプライは安定した電源供給をすることができなくなります。
消費電流は各ペダルによって異なりますが、基本的にアナログペダルは消費電流が少なく、デジタルペダルは消費電流が多くなっています。

例えば、BOSSの定番ディストーションである「DS-1」はアナログペダルで消費電流が「4mA」ですが、最新モデルの「DS-1X」デジタルペダルで消費電流は「45mA」となっており、単純計算で消費電流に10倍以上の差があることがわかります。

このように、自分が使いたいペダルの消費電流に合わせて、パワーサプライを選ぶ必要があります。
注意したいのは、パワーサプライの電流容量ギリギリまで接続すると、結果的に動作が不安定となってしまうことです。安定した電源供給のためにも、使用するペダルの合計消費電流が「電流容量の 3/4」に収まるようにしましょう。

ノイズを減らすには「独立型」がオススメ!

通常型と独立型のパワーサプライは、アナログペダルとデジタルペダルを同時に使用すると、「デジタルノイズ」が発生します。これはデジタル回路特有の「変動電圧」が起因となっており、デジタルペダルを別のアダプターで使用するか、「独立型のパワーサプライを使用する」ことにより解決します。
アダプターで電源供給する方法は、別のコンセント穴が必要になるので、場所によっては使い勝手が悪いかもしれません。なので、ここでは独立型のパワーサプライを使用することをオススメします。

独立型パワーサプライは上述にもあるように、1つの端子に対して1つのレギュレーターが搭載されているため、「電流が混在しない」という特徴を持っています。そのため、アナログペダルとデジタルペダルを同時に使用してもデジタルノイズが発生することはありません。別のコンセント穴も必要無いため、使い勝手も良いです。
また、独立型はノイズフィルターやアルミ削り出しボディの採用など、ノイズ対策を徹底しているモデルが多いので、ノイズを限りなく減らしたい方は独立型のパワーサプライを検討してみましょう。

9V と 18V の違い

エフェクターには、「9V駆動」と「18V駆動」の物があります。一般的なエフェクターは9V駆動ですが、ペダルによっては18V駆動に対応しており、9V駆動よりもダイナミクスレンジが大きく、音圧のあるサウンドになります。

センターマイナス、センタープラスについて

エフェクターの電源には「センターマイナス」と「センタープラス」といった2種類の「極性」があります。大半のエフェクターがセンターマイナスで動作しますが、ヴィンテージエフェクターなどにはセンタープラスで動作する物もあります。

センタープラスで動作するエフェクターは、「極性反転ケーブル」という変換ケーブルを用いれば、一般なセンターマイナスの電源アダプターで動かすことが可能です。仮にセンターマイナスの電源を直接使っても壊れることはありませんが、エフェクター自体は動きません。

定番パワーサプライ

VITAL AUDIO POWER CARRIER VA-05 ADJ

VITAL AUDIO POWER CARRIER VA-05 ADJ

POWER CARRIER VA-05 ADJは、エフェクトボードにも入れやすいコンパクトサイズのパワーサプライ。5系統のエフェクトに電源供給が可能、9/12/18V対応のオールアイソレート型で、リーズナブルな価格を維持しながらも質の高い電源供給が可能です。電流容量にも余裕があり、多機能デジタルディレイなど電流容量が必要なペダルへの電源供給も可能です。

VITAL AUDIO POWER CARRIER VA-05 ADJ – Supernice!エフェクター

One Control Distro

One Control Distro

新気鋭の国産エフェクターブランドであるOne Control 「Distro」は、ノイズに強いアルミ削り出しを採用し、計9つの独立した端子を搭載したパワーサプライです。パワーサプライとしては珍しく、豊富なカラーバリエーションが用意されているので、自分好みの色を選ぶことができます。近年登場した製品ですがプロの使用者も多く、今後パワーサプライの新定番となっていく製品と言えるでしょう。

One Control Distro – Supernice!エフェクター

Custom Audio Japan DC/DC STATION

Custom Audio Japan DC/DC STATION

上述の「AC/DC STATION VI」がノンアイソレート型であったのに対し、2020年8月に登場したこちらは完全独立型、アイソレート仕様のモデル。8系統のポートは DC9V / 100mA x6、DC9V / 500mA x2 という内訳で、多機能デジタル・エフェクターは最大2個接続することができます。ノンアイソレート型はアナログ/デジタル混合のペダルへの電源供給の場合、クロックノイズが発生する懸念がありますが、この「DC/DC STATION」ではそういった問題は解消されます。ここが「AC/DC STATION VI」と異なる本機のポイントです。また「AC/DC STATION VI」に比べてさらに省スペース化を実現し、ペダルボード内での取り回しはより便利です。

Custom Audio Japan DC/DC STATION – Supernice!エフェクター

VOODOO LAB PEDAL POWER 2 PLUS

VOO DOO LAB PEDAL POWER 2 PLUS

最も有名な独立型パワーサプライといえば PEDAL POWER 2 PLUS です。電源に強い拘りを持っているプロギタリストが愛用する、プロユースモデルです。独立型なので、デジタルペダルとアナログペダルを混在させてもノイズが発生しません。このパワーサプライはそれぞれ独立した8つの端子を使うことができ、最大100mAの可変式端子(9V か12.3V)が計6つ、最大250mAの可変式端子( 9V か 12V) が計2つ搭載されています。使いたいエフェクターに合わせて使用する端子を変えれば、より効率的に電源を供給することができるでしょう。

2020年12月には電源ポート4基の独立型「Pedal Power X4」をリリース。4つのアウトプットはそれぞれ最大500mAまでの電源の供給が可能、合計で1000mAまでの供給が可能です。

VOODOO LAB PEDAL POWER 2 PLUS
VOODOO LAB Pedal Power X4 – Supernice!エフェクター

格安パワーサプライ「キクタニ KP-10」

キクタニ KP-10

楽器・関連アクセサリーの製造・販売で知られるキクタニの「KP-10」は、計10個のアウトプットを持ち、ショートサーキットプロテクション機能のみという必要最小限のスペックに止めることで、リーズナブルな価格を実現したパワーサプライです。10個の出力は

  • 9V/100mA:7系統
  • 9V/500mA:1系統
  • 12V/100mA:1系統
  • 18V/100mA:1系統

と、最大10個のエフェクターに電源供給が可能。大電流のデジタルエフェクター1個なら接続できる構成になっています。

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おすすめパワーサプライ

Vital Audio POWER CARRIER「VA-01」「VA-08 MkII」

VA-01 VA-08 MkII 左:VA-01、右:VA-08 MkII

輸入代理店「Hook Up」が扱うオリジナルブランド「Vital Audio」のパワーサプライ。
コンパクトな「VA-01」は、

  • 9V/100mA:7系統
  • 9V/500mA:1系統
  • 12V/100mA:1系統
  • 18V/100mA:1系統

と計10系統のエフェクターへの電源供給が可能ながら、6,000円前後と非常にコストパフォーマンスの高く、予算の少ない人にも最適なモデルとなっています。

「VA-08 MkII」はVital Audioのフラッグシップモデルのパワーサプライ。
9V(〜500mA):6系統
9V/12V/18V可変(〜800mA):2系統
を装備、総電流容量は2000mAなので高機能なエフェクターの接続もOK。「VA-01」よりも電源供給できる数が少ないのですが、全てのポートを独立させた「フルアイソレート」仕様となっており、非常に安定した動作が保証されます。独立型の高機能なパワーサプライですが、価格は1万円強とリーズナブルです。

Vital Audio POWER CARRIER VA-01 – Supernice!エフェクター
Vital Audio POWER CARRIER VA-08 MkII – Supernice!エフェクター

FIREGLOW PPS-01

FIREGLOW PPS-01

国産ブランド FIREGLOW によるパワーサプライ「PPS-01」は、

  • 9V:6系統
  • 9/12/18V:2系統

を装備し、総電流容量は「2800mA」となった完全アイソレート型のパワーサプライ。ブルーのカラーリングが印象的なモデルです。
上述Vital Audio「VA-08 MkII」とほとんど同様のスペックとなっていますが、こちらは1万円を切るさらにリーズナブルなパワーサプライ。コンパクトさと高機能、そして低価格を実現しています。

FIREGLOW PPS-01 – Supernice!エフェクター

Free The Tone PT-3D

Free The Tone PT-3D DC POWER SUPPLY

「PT-3D」は、Free The Tone の高品質なパワーサプライ「PTシリーズ」の中でも、大電源(500mA)エフェクターにも対応できるように DC9Vx6個 の他に 500mA出力x2個 搭載、デジタル・エフェクトを導入するようなペダルボードにも対応できるよう考慮されています。コンパクトながら完全独立アイソレーテッドの出力端子により安定した電源供給を可能に、そしてローノイズを実現した理想的なハイエンドモデルで、安定した電源供給を考えている人におすすめです。

Free The Tone PT-3D DC POWER SUPPLY – Supernice!エフェクター

Strymon Zuma R300

Strymon Zuma R300

ハイエンド・エフェクターブランド Strymon がリリースするパワーサプライ「R300」は、9V/500mA x4系統、9V/12V/18V(可変)/500mA x1系統の端子を搭載した、完全独立型のパワーサプライ。超低ノイズ電源を安定して供給することが可能、電源入力部分は100~240VAC対応により世界中どこでもクリーンで安定した電源をエフェクターに供給できるハイエンドモデルです。

Strymon Zuma R300 – Supernice!エフェクター

VOCU Baby Power Plant Type-C

VOCU Baby Power Plant Type-C

Baby Power Plant Type-Cは、コンパクトなボディに、「2つのパワーサーキットを搭載」したパワーサプライです。6つの9V端子を装備しているパワーサーキットが丸ごと2つ入っているので、計12個の9V端子が使用できるということになります。また、VOCU は様々なオプションを用意しており、「デジタル専用端子2個、アナログ専用端子が10個」といったカスタムオーダーも可能です。

VOCU Baby Power Plantシリーズ – Supernice!エフェクター

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