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フェンダー・テレキャスターの種類と選び方

ボディ

テレキャスターのボディについては、カラーリング以外では

  • 1) ボディ材
  • 2) ボディ構造
  • 3) バックコンター、ヒールカットの有無
  • 4) バインディングやピックガード

が仕様上の特徴となります。それぞれについて見ていきましょう。

1) ボディ材

テレキャスターのボディ材としては、アッシュとアルダーが主流派で、比較的安価なものにはバスウッドが使用されます。69年式のシンラインでは、マホガニーが使用されることもありました。50年代と70年代を意識したモデルではアッシュが、60年代とモダン・スタイルのモデルではアルダーが中心です。

テレキャスターという分野ではアッシュ材に根強い支持があり、重くはあってもアタックの立つキャラクターがテレキャスターのイメージにマッチしている、と感じるギタリストが多くいます。
アルダーは比較的軽量で、バランスの良い音響特性もあり、テレキャスターに限らずエレキギターに理想的な木材です。
バスウッドはさらに軽量であり、またクセがないことから、高級機に採用される例もあります(ジェームス・バートンモデル)。

スクワイアでは

  • パイン材:CLASSIC VIBE TELECASTER ’50S
  • アガチス:STANDARD TELE

も使用されています。
ギターのボディ材について

2) ボディ構造

フェンダーは、カスタムショップ以外のグレードでは「木材のグレードでは勝負しない」ことをポリシーにしているようで、他のブランドでは一般的な「何ピースボディ」という表示を行いません。2ピースかもしれないし、3ピースかもしれませんが、全て等しく「ソリッド」とみなし、それによってサウンドに差が出るわけではない、と考えているわけです。
テレキャスターのボディ構造はソリッドを主体とし、内部をくり抜くものは「シンライン」となり、「Fホール」が空けられます。フェンダー・カスタムショップ(FCS)からリリースされている「マール・ハガード・シグネイチャーテレキャスター」はこの例外で、セミアコ構造ながらFホールはありません。
ソリッドギター/フルアコ/セミアコの違いについて


Merle Haggard – That’s The Way Life Goes (Live)
カントリー・ミュージックはアメリカ発祥の音楽であり、白人の音楽的なアイデンティティにまでなっていますが、日本にそこまで伝わっているというわけでもありません。本国で「カントリーの巨匠」と称されるマール・ハガード氏について、日本語版ではウィキペディアの記事が存在しないくらいです(2017年6月現在)。そのためFCSのラインナップを見て初めてハガード氏の名前を知ったという人も多いことでしょう。氏こそはカントリー・ミュージックの至宝であり、38曲もの作品が全米カントリーチャートで一位を記録し、またグラミー賞などさまざまな賞を受けるなど、多くの実績を残しました。氏のサウンドはトーンを効果的に絞った甘さのある軽やかさが特徴で、テレキャスターがキャンキャン騒ぐだけのギターではないことを証明しています。

3) バックコンター、ヒールカットの有無

Classic 60s Tele Custom:ボディバック バックコンター無し、ヒールカット無しのClassic 60s Tele Custom

現在では多くのエレキギターで、身体のフィット感やハイポジションでの演奏性を向上させる工夫があれこれ試されています。しかしテレキャスターでは今なお、伝統的な「バックコンター無し、ヒールカット無し」が主流です。削りを最小限に抑えたボディとしっかりとしたジョイント部により、テレキャスターのソリッドな鳴りが作られていると考えられているからです。

そうは言っても、

バックコンター&ヒールカット

アメリカン・エリート:コンター加工の様子 American Elite Telecaster:コンター加工&ヒールカット

バックコンター

バックコンターの様子 American Professional Telecaster Deluxe ShawBucker:コンター加工

ヒールカット

ヒールカットの様子 DELUXE NASHVILLE TELE:ヒールカット

というように、モダン・スタイルのテレキャスターやアーティストモデルでは、これらの処理を採用するものがいくつもあります。バックコンターで大きく削られて軽量になる、抱えやすく弾きやすい、といった「弾き手への歩み寄り」がテレキャスターにあっても良いと感じる人には、こうしたモデルがお勧めです。

4) バインディングやピックガード

Classic 60s Tele Custom:ボディ・サイド ボディのサイドに白い縁取り(バインディング)が入った「Classic 60s Tele Custom」

音には直接関係ありませんが、バインディングやピックガードはルックス上のカッコよさを決定づける大変重要なパーツです。60年代を意識したモデルではボディの表裏にバインディングがみられる例が数多くあるほか、「アメリカン・エリート」ではボディの表側にのみ、バインディングが施されます。
ピックガードには

  • 単層(1枚)のもの:50年代に採用されていた
  • 3層のもの:60年代以降のもの

があり、形状は本体のタイプごとに決まっています。50年代モデルではネジの本数が少なく、若干スッキリとした印象になります。

ネック

Classic 60s Tele Custom:ネックジョイント Classic 60s Tele Custom:基本はボルトオンジョイント

テレキャスターのネックは、「弦長25.5インチのメイプルネック」と「ボルトオンジョイント」を基本的な共通仕様としながら、

  • 1) ナット幅
  • 2) フレット数とフレットサイズ
  • 3) 指板材と指板R
  • 4) ネックシェイプ
  • 5) トラスロッドの仕込み方

に特徴が現れます。それぞれについてチェックしていきましょう。
ネックの材質・形状について

1) ナット幅

「ナット幅」は、「0フレット地点でのネックの幅」を意味します。フェンダー・テレキャスターのナット幅は現在「42mm」を標準としており、大多数のモデルがこの値になっています。

若干幅の広いナットを採用しているのは

などで、ナット幅は「42.8mm」です。ナットの幅が広くなるとハンマリングやプリングなど指技がやりやすくなったり、コードを押さえるときに隣の弦に指が触れにくくなったりといったメリットがあります。木材量が増えることから、音響特性の向上も期待できます。

いっぽう幅の狭いものには、

などがあり、俗に「ナローネック」と呼ばれます。「D on F#」など、親指を使って押さえるコードに有利だと感じる人もいるでしょう。


Rob Zombie – Get High
「現代テレキャスターの名手」と呼び声の高いJOHN 5氏は、現代的なズムズム言うヘヴィな演奏や超絶テクニカルなスーパープレイだけでなく、ブルースやカントリーにおける伝統的な奏法までマスターしています。バンドだけでなく自身のソロプロジェクトも活発で、多くのアーティストとコラボレーションしています。テレキャスターでヘヴィなサウンドを放ち続けたことで、テレキャスターのイメージを一新させた犯人でもあります。

2) フレット数とフレットサイズ

フレット数には「21」と「22」があります。ヴィンテージ・スタイルでは21と決まっていますが、モダン・スタイルでは22のものと21のものとが混在しています。

仕様 モデル
ヴィンテージ・スタイル、21フレット American Vintage シリーズ
Classic/Classic Player/Road Wornシリーズ
Squier Vintage Modified/Classic Vibe シリーズ
FCS Albert Collins、George Harrison Tribute など
モダン・スタイル、21フレット Fender Standard シリーズ
Affinity/Bullet シリーズ など
22フレット American Elite、Professional、Special
Deluxe /Modern Player シリーズ
Squier Standard シリーズ
FCS Danny Gatton、Merle Haggard など

表:テレキャスターのフレット数

現代的な演奏スタイルでは、1弦22フレットからの1音チョーキングでE(高いミ)が出せることに重要な意味があります。ですから特にソロをバリバリ演奏したいという人には、22フレット仕様は必須のスペックだと言えます。21フレットでは高音に不利ですが、これを工夫してうまいことやるのが「フェンダー使い」の心意気だと考える人も多く、通好みの仕様だと言えるでしょう。
ではなぜレオ・フェンダー氏は21フレット仕様を採用したのか、これについては諸説ありますが、「ジョイント部分の強度に関する問題」のほかに、「21フレットの場合、ネックの端からフロント・ピックアップまでの距離にゆとりがあって美しい。22フレットでは窮屈に感じる」という説には、なかなかに説得力があると考えられています。

備考:ジョイント部分の強度に関する問題

ピックアップの位置は、求めるサウンドで決められます(参考:リア用ピックアップをフロントに搭載するとどうなる?)。よって、「テレキャスターのフロントピックアップの位置は、ココ!」と決まっているのです。ピックアップをマウントするためにはボディに孔(ピックアップ・キャビティ)が空けられますが、そのすぐ近くにネックを受け止める孔(ネックポケット)が空けられます。22フレット仕様向けにネックポケットを空けると、すぐ近くにピックアップキャビティがあるために強度不足となってしまいます。そこで1フレットぶんネックを短くし、ネックポケットの強度を稼いでいるわけです。22フレット仕様では、基本的に1フレットぶん指板だけ延長します。

フレットサイズは、サウンドと演奏性に大きくかかわる重要なポイントです。サウンドと演奏性のバランスが良好で「標準」とされているのが「ミディアム・ジャンボ」で、スクワイアでは全て、フェンダーでも数多くのモデルで採用されています。フレットは大きくなると押弦に有利でチョーキングがしやすく、サスティンが豊かになります。反対に小さくなると木材の個性が出やすく、倍音豊かなサウンドになります。

「アメリカン・ヴィンテージ」や「クラシック」などヴィンテージ・スタイルのギターには、細めで低めな「ヴィンテージ・スタイル」のフレットが採用されています。「アメリカン・スペシャル」にはジャンボフレットが、「デラックス」シリーズと「アメリカン・プロフェッショナル」には「ナロー・トール」フレットが採用されています。
フレットの種類と特徴

3) 指板材と指板R

テレキャスターの指板は、メイプルとローズウッドが主流です。指板材はルックスもさることながら、サウンドに大きく影響します。一般的に、

  • メイプル指板:倍音豊かで澄んだキャラクター
  • ローズ指板:中/低音域が豊かで粘りがある

という傾向があります。

指板Rについては、ギブソンなど他ブランドよりやや丸みのきつい「9.5インチ(241mm)R」が現在の主流です。「アメリカン・ヴィンテージ」や「クラシック」シリーズなど伝統的なスタイルを再現したモデルでは、さらに丸みのきつい「7.25インチ(184.1mm)R」が採用されています。丸みのある指板はコードを押さえるのに有利で、オープンコードを用いてアコギっぽく弾くのはもちろん、カッティングなどファンキーなプレイにも大変良好です。
JOHN5モデルなど特別なテレキャスターでは、ギブソン同様の「12インチ(305mm)R」が採用されています。指板が平たくなると、ギターソロなどでメロディを演奏するのに有利になります。
「アメリカン・エリート」にのみ採用されている「コンパウンド・ラジアス指板(円錐指板)」は、この指板Rがナット地点の9.5インチRから最終フレット地点の14インチRへと滑らかに変化します。コード弾きが主体となる低いポジションでは丸く、メロディ弾きが主体となる高いポジションでは平たくなる、機能的な指板です。
指板(フィンガーボード)の材質・形状について

4) ネックシェイプ

フェンダーのネックシェイプは、断面をイメージさせるアルファベットで表現されます。テレキャスターでは、「カマボコ」と言われることもある50年代の「U」シェイプ、やや薄くした「D」シェイプ、「現代エレキギターの基準を作った」と言われる60年代の「C」シェイプなどさまざまなシェイプがあります。「アメリカン・ヴィンテージ」シリーズでは各年代の特徴をしっかり再現しているほか、カスタムショップではヴィンテージギターを採寸した「ずばり、その年式」のシェイプが再現されることがあります。もっとも汎用性の高い「C」シェイプには、細身の「スリムC」、やや肉厚な「モダンC」といったバリエーションがあります。
いっぽう、ストラトキャスターでよく見られる「V」シェイプは、テレキャスターでは稀有な存在になっています。

「アメリカン・エリート」に採用されている「コンパウンド・シェイプ」は、各ポジションで想定されるプレイ内容にフィットするよう、ナット地点の「モダンC」からジョイント部分の「D」へと変化するシェイプです。

厚み ネックシェイプ名 採用モデル
かなり厚い U American Vintage ‘52
FCS Danny Gatton
Classic Series ’72 Telecaster Thinline
厚い D American Vintage ‘58
やや厚い ディープC American Professional Telecaster
ほのかに厚い モダンC Standard シリーズ
Deluxe Nashville
Modern Player Thinline Deluxe
Vintage Modified ’72 Tele Thinline
Classic Vibeシリーズ
JOHN5(FCS、Fender、Squier)
標準 C American Vintage ‘64
American Special Telecaster
Deluxe Thinline
Modern Player Telecaster Plus
Squier Bullet/Affinity/Standard
Vintage Modified Custom/Deluxe/Special
FCS Albert Collins、Merle Haggard
標準 ソフトV Classic Player BAJA Telecaster
FCS Relic ‘50s Thinline Tele
やや薄い スリムC Classic シリーズ
変化 コンパウンド・シェイプ American Elite Telecaster

表:テレキャスターのネックシェイプ

5) トラスロッドの仕込み方

フェンダーのトラスロッドは、50、60年代はジョイント側から、70年代はヘッド側から調整します。「アメリカン・ヴィンテージ」シリーズはもちろんのことClassicシリーズにおいてもその伝統をしっかり再現していますが、スクワイアのものはヴィンテージ・スタイルのものでも全て、ヘッド側から調節するように統一されています。モダン・スタイルのもののほとんどがヘッド側から調節するようになっていますが、「アメリカン・エリート」のみ、ネックを外さずにジョイント側から調節できる機能が備わっています。
ロッドの調整のために毎回ネックを外さなければならないのは、上級者でもハードルの高い作業です。自分でセッティングしたい人は、ネックを外さなくてもロッド調節ができるギターがお勧めです。

また、70年代のスタイルを再現しているモデルと「アメリカン・プロフェッショナル」及び「アメリカン・スペシャル」には、ネックの仕込み角を調節することができる「マイクロティルト」が備わっています。

ピックアップ

ピックアップは、フェンダーがとってもこだわっているパーツです。深くこだわるあまり、なかなか簡単に踏み込むことのできないディープな領域なのですが、分かりやすい範囲でチェックしていきましょう。

1) シングルコイル

American Special Telecasterのピックアップ American Special Telecasterのピックアップ部分

「カスタムショップ」や「アメリカン・ヴィンテージ」シリーズでは、各年式のピックアップを仕様や外観、音までしっかり再現したシングルコイルがマウントされます。比較的低価格なモデルでも、アメリカン・ヴィンテージのピックアップを搭載しているものがあり、年式の雰囲気をより深く感じることができます(Classic 60s Tele US Pickups、Classic Player BAJA ‘60s Telecaster)。

モダン・スタイルでは、「進化」を象徴する高機能なピックアップが多く使われます。「アメリカン・エリート」ではローノイズでヴィンテージサウンドが得られる「第4世代ノイズレス・ピックアップ(N4)」が、「デラックス」シリーズでは「ヴィンテージ・ノイズレス」ピックアップが、また「アメリカン・プロフェッショナル」では一つのピックアップ内部でマグネットを使い分ける「V-Mod」が採用されています。モダン・スタイルではフロントピックアップの高さを簡単に調節できますが、ヴィンテージ・スタイルでは毎回ピックガードを外す必要があります。

シングルコイル・ピックアップの名機「テキサス・スペシャル」は、100万円近い高額なモデルから10万円近辺の比較的低価格なモデルにまで、幅広く採用されています。テレキャスターにとって、「テキサス」という地名は重要なキーワードになっているようです。

ブランド モデル
フェンダー・カスタムショップ Dennis Galuzka Masterbuilt Roasted ’50s Telecaster
Albert Collins Signature Telecaster
Merle Haggard Signature Telecaster
フェンダー American Special Telecaster
Classic 50s Tele Texas Special
Road Worn ’50s Telecaster

表:テキサス・スペシャルを採用しているフェンダー・テレキャスター(カスタムやMEXなどのマイナーチェンジ、およびフロントのみなどの一部採用を含む)

いっぽう、大きなサイズのシングルコイルを採用しているテレキャスターは、

の2機のみリリースされています。両シングルコイルは内部の設計が異なっており、P-90は甘く、ジャズマスターは鋭いキャラクターを持っています。

2)ハムバッカー

フロントのみハム フロントのみハムのTAXMAN Telecaster

フロント位置にハムバッカーを乗せるのは、「リアは鋭く、フロントはズ太い」テレキャスターが欲しいギタリストにぴったりのカスタマイズです。フロント/リア共にハムバッカーにする、あるいはストラトキャスターに見られるようなリアのみハムバッカーに交換したモデルもリリースされています。アーティストモデルでは、「シングルサイズのハムバッカー」が採用される例があります。

仕様 モデル
フロントのみハムバッカー (FCS)Limited Edition Heavy Relic ’60s H/S Tele
(FCS)JOHN 5 Bigsby Signature Telecaster
(FCS) Albert Collins Signature Telecaster
Classic 50s Tele Special
TAXMAN Telecaster
リアもハムバッカー (FCS/Fender/Squier) JOHN 5 Signature Telecaster
(FCS) Danny Gatton Signature Telecaster(シングルサイズ)
Standard Telecaster HH
(Fender/Squier)Jim Root Telecaster
リアのみハムバッカー Ritchie Kotzen Tele(シングルサイズ)
Modern Player Telecaster Plus
(Squier)Bullet Tele HS

3) ワイドレンジ・ハムバッカー

ワイドレンジ・ハムバッカー American Professional Telecaster Deluxe Shawbuckerのピックアップ

「ワイドレンジ・ハムバッカー」はフェンダーが独自に開発したピックアップで、シングルコイルの特徴である煌びやかな高音域を残したままパワーを増強しており、ギブソン系のギターで見られる一般的なハムバッカーの「甘く太い音」とは異なったキャラクターを持っています。

このワイドレンジ・ハムバッカーは、

  • 70年代式テレキャスター・シンライン
  • 70年代式テレキャスター・カスタム
  • テレキャスター・デラックス

に採用されたピックアップで、70年代を象徴するアイテムの一つでした。

「アメリカン・プロフェッショナル・テレキャスター・デラックス・ショーバッカー」に採用されている「ショーバッカー」ピックアップは、名前こそ変わっていますが、パワーよりキレで主張するキャラクターがあり、性能を上げたワイドレンジ・ハムバッカーと考えていいでしょう。

各部金属パーツ

金属パーツでは、ペグとブリッジに特徴が現れます。それぞれについて見ていきましょう。

1) ペグ

左:クルーソンタイプ、右:ロトマチックタイプ

ペグの仕様は、大まかに二分されます。

  • ヴィンテージ・スタイル:クルーソンタイプ
  • モダン・スタイル:ロトマチックタイプ(ダイキャスト)

クルーソンタイプのペグは軽量で、倍音豊かな音色となります。音の伸びはロトマチックに劣りますが、「気持ちの良い減衰」と好意的にとらえられます。ロトマチックタイプは堅牢で重量感があるため音の伸びに優れ、倍音の整理された引き締まった音になります。

クルーソンタイプはFCS、「アメリカン・ヴィンテージ」、「ヴィンテージ・モディファイド(Squier)」、「ヴィンテージ・ヴァイブ(Squier)」各シリーズで採用されています。「クラシック」シリーズのみ、楽器本体はヴィンテージ・スタイルながら、GOTOH製ロトマチックペグが採用されています。採用モデルごとのグレード差こそあれ、バリエーションはそれほどではありませんが、70年代をイメージしたモデルには、この時代の特徴であるフェンダーの「F」を大きく刻印した通称「Fキー」と呼ばれるペグが採用されているものがあります(Classic Series ’72 Telecaster Custom / Thinline)。

ロトマチックタイプのペグは、モダン・スタイルのモデルを中心に採用されています。特徴のあるものとしては、「アメリカン・エリート」シリーズではストリング・ポスト(軸)の高さを抑えたロッキングチューナーが、「アメリカン・プロフェッショナル」シリーズでは、ストリング・ポストの高さを調整してテンションバランスを整える「スタガード・ポスト」形式のペグが採用されています。

2) ブリッジ

左:ヴィンテージ・スタイル、右:モダン・スタイル

テレキャスターのブリッジは、

  • ヴィンテージ・スタイル:鉄板をトレー状に曲げたもの。1弦、6弦両側に「壁」がある。
  • モダン・スタイル:分厚い鉄板をL字型に曲げたもの。「壁」はない。

の二つを基本とし、’70sシンラインやテレキャスター・デラックスなど、リアがハムバッカーになっているものはストラト的なハードテイル・ブリッジが使われます。

ヴィンテージ・スタイルのブリッジは「3連サドル」を基本とし、サドルの材質によってサウンドキャラクターに違いが生まれます。「アメリカン・ヴィンテージ」シリーズや「クラシック」シリーズでは、ブラス、スチール、メッキを施したスチールなど、各年代で採用されていたサドルが使用されます。モダン・スタイルの楽器に対しても、ヴィンテージ風のニュアンスを加えるために3連サドルが採用される例が多くありますが、この場合はブラスサドルが使われます。

ヴィンテージ・スタイルはブリッジミュートの時に「壁」が邪魔になりやすく、また3連サドルのせいでオクターブ調整が甘くなりやすいというデメリットがありますが、このブリッジはヴィンテージ風のサウンドにとって重要な要素であり、現在でも重宝されています。「アメリカン・プロフェッショナル・テレキャスター」は「壁」を低くし、またサドルに加工を施すことで、ヴィンテージ・スタイルの持つデメリットを改善しています。

モダン・スタイルのブリッジは「ブロックタイプの6連サドル」を基本とし、重みのある金属パーツによる引き締まった音色、「壁」が無くなったことによる演奏性を手に入れ、オクターブ調整がビシっと決まるようになっています。


Albert Collins – Iceman (From “Live at Montreux 1992” DVD)
アルバート・コリンズ氏のシグネイチャー・テレキャスターは、1966年式のテレキャスターをベースに、「アイスマン」のサウンドを再現するべく仕上げられています。バインディングが巻かれたスワンプ・アッシュボディ、オーソドックスな「C」シェイプのメイプル1Pネック、フレット数は伝統的な21ながら、指板Rは現代的な9.5インチ(241mm)です。ヴィンテージ・スタイルのブリッジに対して現代的な6連サドルが採用されていますが、コリンズ氏ご本人はブリッジカバーを使用していましたから、カバーをかぶせてしまえば外観上まったく問題がありません。ヴィンテージ・スタイルのテレキャスターの泣き所である「オクターブ調整の甘さ」が、この6連サドルによって解消されています。

操作系と配線

テレキャスターは比較的シンプルなギターですが、そのシンプルさを破壊しない範囲で、いろいろな工夫が施されたものがリリースされています。

仕様 効果 採用モデル
4Way スイッチ フロント(単体)、リア(単体)、ミックス(並列)、ミックス(直列)のサウンドバリエーション。 FCS Merle Haggard
Deluxe Tele Thinline
Classic Player BAJA Telecaster、Classic Player BAJA ‘60s Telecaster
フェイズ S-1スイッチの操作で、ミックス時にフェイズサウンドになる。 Classic Player BAJA Telecaster
Classic Player BAJA ‘60s Telecaster
コイルタップ トーンに仕込んだスイッチの操作でコイルタップができる。 Standard Telecaster HH
3PU+5Way SW 3つのピックアップと5Wayスイッチで、ストラト同様のサウンドバリエーションが得られる。 DELUXE NASHVILLE TELE
Modern Player Telecaster Plus
James Burton Telecaster
3PU+3Way SW 3つのピックアップ3Wayスイッチで、それぞれのピックアップを単体で使用する。 J5 Triple Tele Deluxe
No-Load Tone&S-1 SW 「ノーロード・トーン」は全開にするとトーン回路の影響がゼロになる。S-1スイッチはミックス時の直列/並列を切り替える。 American Elite シリーズ
Treble-Bleed Circuit 音量を絞っても、甘くなりすぎない明瞭な音色を保つ。 American Professional
Greasebucker Tone Circuit 泥臭くなりすぎない、絞り甲斐のあるトーン回路 American Special
FCS Relic ’50s Thinline Tele
Dual 250k/500k Volume フロントのハムバッカー、リアのシングルコイルそれぞれに合わせた抵抗値を持つボリュームポット FCS Heavy Relic ’60s Tele

表:特殊な配線を採用しているテレキャスター


以上、さまざまな観点からフェンダー・テレキャスターを見ていきました。たくさんのことがありましたが、本格的に見ていこうと思ったら、それこそ本が一冊書けるくらいです。
実際に、

  • テレキャスター・オーソリティ/YOUNG GUITAR special hardware issue
  • 前略、テレキャスター様―エレクトリック・ソリッド・ボディ・ギターの原点、テレキャスターに感謝を込めて
  • フェンダー・テレキャスター・プレイヤーズ・ブック テレキャスターを持ったら読む本
  • フェンダー・テレキャスター・コレクション
  • Fender Guitars vol.1 (1) 丸ごと一冊テレキャスター
  • キング・オブ・テレキャスター
  • フェンダーテレキャスターブック
  • フェンダー ストラトキャスター&テレキャスター ヴィンテージ・クロニクル

テレキャスターに関する書籍は、このように数多く出版されています。興味を持った人は、こうした本を読んでみても良いでしょう。現在はネット社会でこそあれ、本を買わないと手に入らない情報にはまだまだ高い価値があります。