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JOHN PAGE CLASSICのギターについて

「ジョン・ペイジ・クラシック(以下、JPC)」は、伝説的なギタービルダーとしてもフェンダー・カスタムショップ(以下、FCS)の設立メンバーとしても名高い、ジョン・ペイジ氏のプロデュースするブランドです。アメリカ本国で急速に受け入れられ、数々の賞を受賞したというこのJPCを、今回は追っていきましょう。

【人物】ギターレジェンド、ジョン・ペイジ氏とは

10代の頃からギターの改造にハマっていたそうですが、1978年に21歳でフェンダーに入社したペイジ氏の最初の仕事は、ネック削り職人でした。23歳の時に設計に異動し、フェンダー・ストラトキャスターやベースアンプ「ベースマン」の設計者として名高いフレディー・タベアス氏のもとでキャリアを積み上げます。30歳の時にFCS設立メンバーとなって以後12年にわたりマスタービルダーとしてFCSを牽引、エリック・クラプトン氏、デヴィッド・ギルモア氏(ピンク・フロイド)、ピート・タウンゼンド氏、エリオット・イーストン氏(ザ・カーズ)ら名だたる名手が使うギターを制作するほか、レリック加工や芸術的な意匠を施した「アートギター」を数多く制作しています。また、フジゲンの杉本眞氏(現、Sugi Guitars)と「Heartfiled Guitars」を企画するなど、さまざまな企業間のコラボレーションにもたずさわりました。

素晴らしいキャリアを積み上げていったペイジ氏でしたが、「みんながストラトやテレキャスしか欲しがらない」という状況に不満を募らせてしまってフェンダーを退社、一旦はギター製造から足を洗います。しかし再就職したフェンダーミュージアムで携わった、明日を担う子供たちに無料で音楽レッスンを行うというプロジェクトを通して「作ること」への情熱を取り戻していきます。2003年に自身の工房を建て、まずは機能性と美しさを共存させた家具の制作を開始、2006年には遂にオリジナルデザインのギターの設計図を書きあげ、自身のブランド「John Page Guitars(以下、JPG)」を立ち上げます。

JPGは製造行程の多くをペイジ氏自身が執り行う、いわば「高級手工ギター」のブランドですが、「良質なギターをより多くのユーザーに届けたい」という考えから、2014年に日本の工場で生産するラインナップとしてJPCを、またJPC専用ピックアップブランド「Bloodline」を設立します。出来上がったJPCのギターに対してペイジ氏は、

「3分の1の価格でJPGの全ての特徴を備えている、信じられないくらいに良くできたギターだ(公式サイトより)」

と評しています。
John Page Guitarsのラインナップについて

【概要】JPC製品の特徴

それでは、JPCの製品をチェックしてみましょう。まずここでは製品に共通する特徴を見ていきます。

1) JPGを踏襲した、懐かしくも新しいデザイン

JPGは「Uniquely Familiar(独特だが、親しみやすい)」というコンセプトに基づいて設計されています。他のどのギターとも違う独自性がありながら、伝統に基づいた美しさがあり、違和感なく手に取ることができる、ということです。フェンダースタイルをベースとしながらヘッド形状、ブランドロゴ、ボディ形状ともに独自性のある外観は、一目でJPGだと判るほどの個性がありながら、どんなジャンルの音楽でも使える親しみやすさを内包しています。

JPCはこのJPGのラインナップを出発点として開発されており、このブランドならではの存在感を発揮しています。独特なデザインでありながら奇抜すぎず受け入れやすい、というバランスがしっかりとれた美しい楽器です。

指板は全機種メイプルとローズウッドの二種類あり、ボディカラーについてもストラトタイプの「The Ashburn」、「The Ashburn HH」が共に7種、テレキャスタータイプの「The AJ」で5種と豊富で、選ぶ楽しさがあります。

2) 「日本製」の高いクオリティ

JPG/JPC共に、ペグとブリッジには日本のGOTOH(ゴトー)製品が採用されています。GOTOHの評価は世界的に高く、海外有名ブランドで使用するペグなどのOEM生産を受注するほどです。

JPGでは

  • 自社ブランド「JP Woodline」製の木製サドルに換装
  • ペグのつまみを木製など高級なものに交換

といったカスタマイズが施されることもありますが、対するJPCが廉価版だからといってパーツのグレードを下げるということはなく、金属パーツのグレードについては同等だと言うことができます。

JPCで採用されている「スタガード・ペグ」は弦ごとにストリングポスト(軸)の高さに変化が付けられているものです。これによって全ての弦がストリングガイドに頼らなくて良くなるため、チューニングの安定度が向上します。

またJPCは日本の工場ならではのしっかりとした作りで生産され、一旦アメリカに送られて、ペイジ氏から認定を受けたスタッフによるセットアップを受けます。ペイジ氏直伝のセットアップにより抜群の弾きやすさと正確な音程が確保されます。その結果各弦の音量バランスもしっかりまとめられ、弾きやすく音の良い楽器として完成します。JPCはメイドインジャパンの品質と、ペイジ氏直属のセットアップのコラボレーションでできているわけです。

3) 考え抜かれた、高い演奏性

弦長はフェンダーのスタイルを踏まえた25.5インチですが、指板Rはフェンダーより平たい12インチR(約305R)になっており、現代的な感触になっています。12インチRは、ギブソンの標準的な仕様でもあります。
指板(フィンガーボード)の材質・形状について

低音弦側に配置された大きなポジションマークには抜群の視認性があり、ルックス上の大きなアピールポイントにもなっています。「ミディアムC」と名付けられたネックグリップは「時間をかけた試験により、快適な演奏性が確認された」という握りやすいもので、ハイポジションの演奏を強力にサポートする滑らかなヒールカット処理や大きなカッタウェイも相まって、たいへん弾きやすくなっています。

4) 独自コンセプトのネックジョイント

「プレートを使用しないボルトオンジョイント法」は全機種共通仕様ですが、「プレート(面)でではなくボルト(点)でジョイントする方が音が良い」という考えによるものです。ボディ側にナットを埋め込んだ形で、ネックは4本の太いボルトによってがっちりとジョイントされます。このジョイント法により、倍音や超高音域が豊かに出力され、音色の複雑みが増すのだとペイジ氏は語っています。

5) モデルごとに開発されたピックアップ

JPCに搭載されている「Bloodline」ピックアップは、ラインナップそれぞれのためにペイジ氏によって開発された、それぞれのモデル専用のものです。どれもコンセプトがはっきりと決められており、しっかりとした個性が与えられています。「メイプルネック、ボルトオンジョイント、アルダーボディ、ゴトー製ペグ」というように、JPCは基本的な作りが全機種共通しているため、弾き比べるとピックアップの違いが比較的容易に確認できます。

The Ashburn専用「Bloodline® by John Page JP-1」


いきなり飛び出すチキンピッキングのアルペジオが美しいですね。ポジションそれぞれの音色に特徴がありながら、全体的に美しくまとまっています。

「JP-1」は、「堂々とした中域、健康的な低域、輝く高域がありながら、耳に痛いところが無い」、というペイジ氏の目標が達成できた3シングルです。磁石にはオーソドックスなアルニコVを使用し、それぞれのポジションに合わせてコイルのターン数が決められています。トラッドなスタイルにありがちな3弦のポールピースが突出した「スタガード・ポールピース」ではなく、高さが均一になっている「フラット・ポールピース」仕様になっており、「クリーントーンで3弦がやたらでかい」というストラトのウィークポイントをそれとなく修正しています。またセンター用のみ「逆巻き」にすることで、ハーフトーンの時にノイズ低減効果を得ることができます。

The Ashburn HH専用「Bloodline® by John Page JP-2 Dual Humbuckers」


Joe Grushecky Debuts John Page Classic Ashburn HH
ボディカラーをそろえたThe AshburnとThe Ashburn HHのツインギター。かっこいいですね。

「カバード」のルックスは好きだが、音が曇っていて好きじゃないというペイジ氏が、「ヴィンテージ・パフの暖かみと輝くように明瞭な高音域」をピックアップカバーが付いた状態で得られるように開発したハムバッカーです。磁石にはスタンダードなアルニコV、カバーにはニッケルが使用されています。

The AJ専用「Bloodline® by John Page JP-3 Pickups」


Tomo Fujita Plays the John Page Classic AJ – NAMM ‘16
バークリー音楽大学で教鞭をとる藤田トモ氏による試奏。変態的な巧さですが、楽器の音もとても美しいですね。The AJとJP-3は、2016年のNAMMショウで予告なくデビューし、衝撃を持って迎えられたと言われています。

フロントにP-90ピックアップを搭載するテレキャスターは近年の流行ですが、フロントとリアがそもそもまったく別物のピックアップであり、前後のバランスをうまく取るのに苦労することが多いようです。この両者のバランスを取り、ひとまとまりのセットとして開発されたのが「JP-3」です。

フロントのJP-3Pは豊かな低域、パンチのある中域、そして明瞭な高域を実現しており、本来のP-90よりもクリアな音色になっています。リアのJP-3Tは元気のよいサウンドを持っていますが、トーンの操作で唸るような音になる懐の深さを持っています。またこの二つのピックアップはコイルの巻き方が逆になっているので、ハーフポジションでノイズキャンセル効果が得られます。

【各論】JPCラインナップ

それでは、JPCのラインナップをチェックしていきましょう。2016年現在、JPCからは3機種がリリースされています。

The Ashburn

JPC The Ashburn


Eric Gales Plays John Page Classic at NAMM ’16 – Track 1
エリック・ゲイルズ氏は、ブルーズ/ロックの分野で自身のバンドやセッションワークを行っているギタリストです(ジャズギタリストのエリック・ゲイル氏とよく間違われるそうですが全くの別人です)。右用のギターをサウスポーで構える、いわゆる「松崎しげる奏法」にドロップDチューニングを施し、高度なテクニックと濃厚な味わいの共存したプレイを見せてくれますね。プレイ内容に応じていちいち顔面を変化させるのは「顔で弾く」というこのジャンルでは必須のテクニックです。

「The Ashburn(ジ・アッシュバーン)」は「JPC製品の第一号」としてデビューしたストラト的なギターで、ネーミングはペイジ氏の愛娘Ashley “Burner”さんの名前に由来しています。ペイジ氏の設計理念である「Uniquely Familiar(独特だが、親しみやすい)」がしっかり具体化されたギターだと言われますが、JPG版のアッシュバーンを設計するときには「持っているものを全て注いだ」とペイジ氏は述懐します。こちらのJPC版にもその設計理念が余すところなく注がれており、抜群の弾きやすさと時代に左右されない豊かなサウンドを持った、完成度の高いギターに仕上がっています。

ストラトタイプのギターとして見た場合、このアッシュバーン最大の個性と言えるのが、「反対に傾けられたリアピックアップ」です。本来のストラトの場合には1弦側がブリッジに近く、6弦側はブリッジから離されていますが、アッシュバーンではその逆になっています。ピックアップはブリッジに近づけば近づくほど、硬質な音色になります。本来のストラトのリアピックアップでは高音弦が鋭く、低音弦は若干丸くなるセッティングですが、アッシュバーンはその逆なので高音弦は若干甘くなり、低音弦にはしっかりとした張りを出すバランスになっています。これは右用のギターを左に構えるジミ・ヘンドリックス氏と同じである、というところも大きなポイントです。

GOTOH製のブリッジはクラシックな雰囲気を帯びた6点留め、ベントサドル(鉄板を曲げて作るサドル)という仕様で、後述する「The Ashburn HH」との違いになっています。

The Ashburn

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The Ashburn HH

JPC The Ashburn HH


NAMM 2016 – John Page Classic Ashburn HH and AJ Guitars
2016年のNAMMショウにて、お気に入りのカラー「キャデラック・グリーン」のアッシュバーンHHを紹介するジョン・ペイジ御大。AJも可愛らしいですね。

「ジ・アッシュバーンHH」は、アッシュバーンを出発点としてピックアップを2ハムバッカー仕様に、またペグとブリッジに現代的な仕様のものをチョイスしたギターです。ピックアップ「JP-2」はこのモデルのために開発されたハムバッカーで、太さを力強さを持ちながらも煌びやかな高音域がしっかり確保したキャラクターを持っています。しっかりと歪ませても音抜けがよく、クリーンも美しく響きます。

ストラトタイプで2ハムバッカーのギターはロック系のイメージが強いこともあって、この「HH」ではGOTOHのロッキングチューナー、同じくGOTOHの2点留めトレモロユニットといった現代的なパーツが採用されています。
ロッキングチューナーはストリングポスト自体に弦を固定する機能があるため、弦をストリングポストに巻きつける必要がありません。通常のペグではストリングポストに巻き重なっている弦によりチューニングが狂う可能性がありますが、ロッキングチューナーではその懸念材料が取り除かれています。
2点留めトレモロは伝統的な6点留めと比べてアーミングを軽快に行いやすく、またもとの位置に戻りやすいという特徴があります。これによりアーミングはよりやりやすく、チューニングはより狂いにくくなります。サドルは塊状の「ブロックサドル」が採用されており、音の伸びが増強されています。

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The AJ

JPC The AJ

「The AJ」はペイジ氏のご子息Adam Johnさんの名前を由来とするネーミングの、テレキャスタータイプのギターです。シングルカッタウェイながらアッシュバーン同様、滑らかに処理されたヒールカットと大きめに切り取ったカッタウェイによってハイポジションの演奏性が高いレベルで確保されています。ボディサイズは一般的なテレキャスターと比べると若干小ぶりで、加えて右肘が当たる部分とボディバックが滑らかにカットされており、プレイヤーの身体に優しくフィットします。斬新なデザインのピックガードと相まって、ペイジ氏のコンセプト「Uniquely Familiar(独特だが、親しみやすい)」がここでも発揮されています。

JPC版「The AJ」のベースとなっているJPG版は、ペイジ氏が最初に設計したモデル「P-1」を出発点としています。P-1はフロントにハムバッカーをマウントしたテレキャスタータイプで、ペイジ氏自身が演奏者として長年愛用してきた思い入れのある仕様です。これに対して、多くのプレイヤーにとってテレキャスターのボディは大きめであること、またテレキャスターに搭載するならハムバッカーと同じくらいP-90も魅力的であることなどから「The AJ」は誕生しました。

搭載されているピックアップ「JP-3」はこのモデルのために開発されており、二つの全く異なるタイプのピックアップでうまくトーンバランスがとれるように設計されています。フロントの「JP-3P」はベースとなっているP-90の明瞭度を強化したサウンドを持っており、リアの「JP-3T」は伝統的なテレキャスターのピックアップを継承しながら明瞭度に並々ならぬこだわりが込められています。

この「The AJ」のみ、ブリッジまわりはGOTOH製ではなくオリジナルパーツが採用されています。リアピックアップが逆アングルでマウントされるのはアッシュバーンと同様ですが、JPG版の「The AJ」にはない、JPC版独自の仕様です。取り付け角度が入れ替わることによって、高音弦には深みが増し、その代わりに耳に痛い高音域が軽減されます。低音弦の音は張りが出て、いっそう力強く響きます。

AJはテレキャスターをアレンジした新しい楽器ですが、古式豊かな「3連サドル」が採用されています。一般的にテレキャスターのヴィンテージサウンドにはこの3連サドルが必須であると考えられていますが、オクターブ調整に限界があるのが難点でした。このAJに採用されているオリジナルサドルはその難点に挑み、サドル本体を斜めにカットすることでオクターブチューニングが合うように工夫されています。

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次のページでは、ジョン・ペイジ氏自身が工程のほとんどを執り行なう高級手工ギター「ジョン・ペイジ・ギターズ(JPG)」のラインナップについて紹介していきます。ジョン・ペイジ・クラシック(JPC)とはどのように異なっているのか、見ていきましょう。

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