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同価格帯ならウチが最強です:荒井貿易訪問インタビュー

荒井貿易訪問インタビュー

愛知県名古屋市に本社を構える「荒井貿易株式会社」は、昭和31年の会社設立以来、楽譜や楽器の輸入、初心者用ギターの開発などで、60年に渡って日本のギター文化に貢献してきた老舗の会社です。荒井貿易のプロデュースする「アリアプロII」のギターはヘヴィメタル全盛の1980年代、海外アーティスト御用達のブランドとして内外に名を馳せました。
アリアブランドのギターについて

今なお社名の通り数多くの海外ブランドを取り扱うかたわら、アリア、アリアプロII、アリアドレッドノート、レジェンド、ブリッツなど数多くの自社ブランドを保有して製品群を展開しています。このたびこの荒井貿易を取材する機会をいただき、企画課の瀬川哲矢さんと加藤久佳さんのお二人から、製品の特徴や魅力を中心にいろいろなお話を伺いました。
※今回は回答者が二人いますが、特に区別する必要のある回答以外は「Aria」の仮名でまとめています。

アリアプロIIのギターについて

──よろしくお願いします。エレキギターでは今、何が好調ですか?

Aria 他のモデルも頑張っているんですが、やはりエレキギターでは「PE」がよく動いています。アリアオリジナルのエレキギター第一号ということもあり、PEはアリアのエレキギターの代名詞になっています。ルックスがレスポールに近いので多くの方はレスポール的なイメージをお持ちになると思うのですが、弾いてみると全く違うギターだということがわかっていただけると思います。
また「レトロクラシック」シリーズで予想外に反響をいただいており、「ビザール(60年代風の独特なデザイン)」に近い感覚でお求めになるお客様が多いです。それこそベンチャーズやニルヴァーナに傾倒した世界観を持った、そして気軽に買える楽器として、年齢層が比較的高めの方に受け入れられているようです。
反面、ギターを始める女性が増えているからと可愛らしいカラーリングのギターを発表したりもしましたが、意外と女性よりも男性にウケが良い事もあったりします。

──今回用意して頂いたギターはアッシュを採用しているモデルが目を引きますが、加藤さんのチョイスだそうですね。

PE-LUX:ボディ・バック アッシュ・ボディを採用したPE-LUXのボディ・バック

Aria(加藤) はい。国産のラインナップも厚くしていこうという話になった時に、弊社製品のギターではアッシュボディのモデルがあまり無かったので、アッシュを推して行こうと提案しました。トップ材ではキルテッドメイプルやフィギュアドメイプルが人気ですが、価格が高騰しており、なかなか手が出しにくくなっています。販売価格とのバランスを取る必要からアッシュを採用したのですが、アッシュの大柄な木目もかっこいいし、結果的に今までのAriaproIIのイメージをちょっと変えられたのではないかと思っています。
それにアッシュボディはベースでは一般的なスペックで、むしろスタンダードですよね。テレキャスターもアッシュボディのファンは多いですし。木材の良さや特徴は分かっていたので、アッシュで大丈夫だと判断しました。アッシュボディというテーマで「ラックスシリーズ」としてギターとベースを2機種ずつ展開したのですが、コレでしっかりアッシュを推したので、現在は落ち着いて他のものを考えています。

──ギターの開発では、本体のこと以外にどんなことを考えますか?

Aria 「ラックスシリーズ」については「今までのイメージを変える新しいものを提案したい」という考えがありましたが、営業さんからは「なんでアッシュボディばっかりなの?」なんて言われたこともありました(笑)。「だって今までなかったじゃないですか。」と答えるんですけど。当時は他社にもアッシュボディのギターが少ないように感じていたので、他ブランドとの「差別化」ができるという見込みがありました。
この「差別化」と「トレンド」のバランスには、いつも苦労します。ギターは昔からずっと変わらないもので、古いものが良いとする考えが色濃く残っています。かつてマニアックな存在だったジャズマスターがちょっと前に世界的なブームになり、現在では一般化しています。日本ではナンバーガールが出てきた辺りからでしょうか。ニルヴァーナの全盛期にはジャガーがヒットしましたね。でも現代の企業としては、何か新しいものを出していきたいんです。
トレンドについては楽器店さんの生の声を聞いたり、営業の方から意見をたくさん頂いたり、あとは流行っているバンドや音楽をチェックしたります。昔よりも情報が物凄く多いですし、音楽のジャンル分けも細かくなって、選択肢がとても多い時代です。だから何が市場で受け入れられるのかが昔より読みにくくなっており、このアーティストが使っているからコレ出しておけば間違いない、という単純なものではなくなっています。

──モデル名の数字と価格には関連があるのでしょうか?

Aria 一致しているものと、していないものがあります。価格改定によって意味がなくなってしまったものもありますね。PE-R80(税抜価格¥240,000)なんかは80年代の発売当時8万円という価格がモデル名の由来ですが、当時の物価ですからね。ギブソンのJ-45が発表当時45ドルだった、というのと同じです。
良くも悪くも80年代のイメージが強く残っていて、永らく愛用頂いているユーザーさんからは「昔はもっと安かったのに」と言われてしまうこともあります。またイングヴェイやデュランデュランが使っていたなど、ロックシーンを牽引してきたという歴史のイメージも強く、興味を持ってくれる客層の年齢は高めになっています。しかしこれをもっと若い人にも広げていきたいと思っています。

──これからまだまだ暑くなっていきます(取材時は7月)。炎天下の車の中には、やはり楽器を放置してはいけないでしょうか?熱い夏の海をコンテナで運ばれる海外製の楽器は、それに耐える強さを持っているのではないでしょうか?

Aria アジアで生産される安価なものは、確かに過酷な環境で運ばれてきます。高温の環境下でどこかに負荷がかかったら、木材はそれに従って変化してしまう可能性があります。湿度もやっかいで、冬となると乾燥によるネック痩せが起きやすくなります。
安価なギターには主にポリウレタン塗装が使用されますが、真夏日にコンテナで船旅をするようなハードな環境でも、この塗装は強固なので問題はありません。いっぽうラッカー塗装が施してあったりニカワで貼付けられていたりという比較的高額なギターの場合、炎天下の車内は摂氏70度を超えてきますから、塗装面が溶けてしまったり接着面が外れてしまったりする恐れがあります。スペイン製のギターは空輸ですが、気圧の変化で調子が狂うこともないわけではありません。塗装関係は特に、ラッカーよりももっと弱いセラックニスが使われているものなどは温度変化に弱いので気を遣いますね。
物に応じた運び方をしていますが、気を付けていても狂いが出てくる個体もあります。貿易をしていてアレですけど、その国で作られた楽器が本当は一番良いのかもしれませんね(笑)。日本国内の輸送でもネックに狂いが出ることもありますし。
海外の工場から弊社に届いたものについては、本社で検品をして、必要があればセットアップをし直しています。本社には調整専用の作業部屋が二つありますが、製品をどこまでチェックするかも価格に含まれている項目なので、高額な製品に付いては何項目もチェックしています。

初心者の強い味方「Legend」と「Blitz」について

legend-blitz ストラト・タイプのLegend、レスポール・タイプのBlitz

──格安ブランド「Legend」と「Blitz」は大人気ですね。このブランドはどういうコンセプトで、どうやって作っているんでしょうか。

Aria レジェンドとブリッツは、おかげさまで若い人を中心にたくさんご利用頂いております。80年代はコピーモデルからオリジナルまで、全て「アリアプロII」でやっていたんですが、そこからコピーモデルをアリアから分けるために、レジェンドを立ち上げました。レジェンドで全てのコピーモデルを取り扱っていたんですが、90年代後半辺りからレジェンドのエレキはいわゆるフェンダー系にまとめて、新しくブリッツを立ち上げてギブソン系をここにまとめて、オリジナルはアリアプロIIで、という分け方でブランドのイメージを明確にしています。
Aria(加藤) 私の最初のギターは他社の格安コピー製品でしたが、チューニングは安定しないし弾きにくいしで、弾かなくなっちゃったんです。その後バンドでベースを始める事になった時にもっとグレードの高いベースを買ってから、ずっとベースを弾いています。最初の一本目がもっといいものだったら、ベースではなくギターを弾いていたかもしれません。レジェンドやブリッツは「低価格」を重視しているブランドですが、クオリティにも気を使っており、徐々に品質が上がっています。安価なコピーモデルがあふれていた70年代に今のレジェンド&ブリッツがあったら、バカ売れですよ。

Aria 格安価格帯モデルは中国でOEM生産していますが、弊社では現地にスタッフを派遣して現地メーカーとのやりとりを密にしています。それと並行して、価格と品質のバランスがより良い工場も探しています。ですから同じレジェンドでも工場が違うことがありますし、同じモデルを幾つかの工場に分けて発注することもあります。「こっちの工場の品質がいい」のような話があると、そこへサンプルを依頼して品質をチェックし、価格との折り合いがつけば次からはそちらに依頼する、ということもあります。
工場を探している時点で取り寄せたサンプルの中には、『これはちょっと…』って思うサンプルもいっぱい来ましたよ。音が鳴らないものもあったし、寸法が違っていて歪んでいたこともありました。ビミョーに形がおかしいものが出てくるコトもありますが、弊社のサンプルを持っていって、せめてここまで作って欲しい、というように依頼します。
向こうでは工場ごとに技術の高低差がありますが、技術が高くても値段も上がってしまうのでは、こちらとしては依頼できなくなってしまいます。価格に対する品質の良さは常に気をつけているのですが、バランスを取るのにはいつも苦労しています。格安のモデルの場合は「安さ」にも重要な価値がありますから、管理という面では大変になりますが、価格に応じて依頼する工場を逐次変更する等の企業努力をしています。
格安モデルとはいえレジェンドでもブリッツでも本社で設計図や仕様書を作成し、現地へ送っています。しかしなかなか図面を出しても伝わりにくい所があり、こまかいニュアンスを伝えるのには難しさを感じます。相手は外国人ですし、ギターなんて触ったこともないという人たちが働いていることも珍しくないんです。

──現在日本で名工と言われている職人たち(ヤイリの小池健司氏、飛鳥の百瀬恭夫氏など)も、もともとは家具職人からギター職人へと転身した人たちです。20~30年後には中国で名工が誕生するかもしれませんね。アリプロでも図面は作成しますか?

Aria レジェンドとブリッツはコピーモデルなので、ギターを作ったことがあるような工場ならどこでも一度は作ったことがあります。そういう工場に依頼する場合にはそこの製品を見せてもらって、お互いに妥協点を探して到達点を明らかにしていく、というやり方をしています。「ストラトをお願いします」「了解しました」というカンタンなやり取りで通用する工場もありますよ。
いっぽうアリプロのオリジナルモデルについては、工場としては初めて扱うものになります。弊社で図面など資料を作成した上で、細かく指定を出して作ってもらっていますが、工場とどう打ち合わせるかはモデルによりさまざまです。

海外戦略について

──海外にも支社がありますね。アリアUKはどんな会社なんでしょうか。また、欧米モデルは国内向けと同じものなんでしょうか。

Aria アリアUKは欧米圏での卸売を行う現地法人で、運営は本社管理の下、現場の人たちに任せています。海外の流行が伝えられるので、その傾向を見て製品の開発を進めることも多く、海外でヒットしたものが日本に入ってくることもあります。EU内では関税がかからないなど通販に有利なこともあり、海外ではネット販売が盛んです。一方で営業が各楽器店にアプローチして、足で稼ぐという売り方も残っています。弊社から各国の代理店に卸して、そこから小売店に販売していくという流れになっています。
海外のラインナップは日本のものとそれほど大きくは変わらず、ボディのスタイルまで日本向けと異なっているものは今の所ありません。しかしピックアップやコントロール系の配列など、細かい部分で現地の流行に合わせたギターを投入することはあります。また、国が違うと馴染みやすい名前が異なる場合があり、向こうの感覚で馴染みやすいモデル名に変更することがあります。海外に流通しているものは日本製だけでなく、中国製やインドネシア製もあります。

──海外からは、どういうリアクションがありましたか?

Aria 向こうの人は好みがハッキリしていて、ポイントが分かりやすいギターに人気が集まると感じています。少し前ですがEMGを乗っけた白や黒のギターを海外市場に投入したことがありました。フライングVやエクスプローラーのボディ形状をモチーフにしたモデルもあります。日本の常識なら思いっきりハードロックやヘヴィメタルに傾倒したギターですね。日本国内でもヘヴィな音楽は世界に進出している若いバンドも出てきましたし、近年かなり浸透してきたように思いますが、一般的な目線で見るとまだまだコアな趣味なのかなと思います。欧米では「当然のように日常にある」というイメージです。こうしたジャンルは時代が変わっても世界的に安定した人気があり、ヘヴィ志向のギターもそれに伴った安定した需要があります。

グッズ/アクセサリーについて

──アリア名義で、積極的にストラップをリリースしていますよね。どういうプロモーションをしているんでしょうか。

strap-panda パンダ柄のストラップが可愛い

Aria プロモーションについては宣伝と言うよりも店頭に並べてもらって、お客様に実際に見て頂いています。お店の感覚で仕入れて頂くものなので、お店によって仕入れるものに違いができて面白いですよ。全く売れないと思ったら、別のお店では大いに売れたりします。好景気の時よりはギター本体の売れ方は鈍化していますが、輸入物の高級革製ストラップなどアクセサリーは好調な売れ行きです。
しかしヒットしても「なぜこの柄のストラップが売れるのか?」などと不思議に思ったことが何度かありますよ。この傾向は、本体よりもアクセサリーで顕著です。開発する時には手応えをいつも感じているんですけど、最近では流行が多様化していて、何が売れるか分かりにくくなっているんです。
チェッカーフラッグ柄のストラップは男女問わず10代の感覚にフィットするようで、おかげさまでとても売れています。また予想以上に、和柄や動物柄が安定的して人気です。猫、象、パンダ、いろいろやっていますが、動物で今のところハズレはありません。
「なんでこんな可愛いのが売れるのか」を調べてみたら、その時はじめて「女の子がギターを始めることが多かった」ということが分かったんです。ギター本体はサンバーストや黒なんかの渋いものを選んでいても、ストラップは可愛らしいものを選ぶという女性が多いようです。しかし「女性の感性を意識して開発する」ということは新しいチャレンジです。僕たち男性からすると、女性の言う「可愛い」は謎なんです。しかも、あまり狙ってしまってもいけないみたいです。

──ストラップの柄はどうやってデザインするんでしょうか。また、目論見が外れて売れなかったものはありましたか?

Aria ストラップのデザインは、実は既存の布ありきなんです。布屋さんでああいった柄の布が、「メーター幾ら」で売っています。ストラップをリリースしている会社はどこも布ありきで、各社に「布ハンター」みたいな人がいるんじゃないかと思います。布として売っているものなので、ストラップとして採用されている柄がクッションなど一般的な製品に採用されることも珍しくありません。
製品としてのストラップは寸法が確定しているので、布を差し替えるだけで開発できます。ですから「素材が勝負」なんです。スピーディーな商品開発ができますが、売れるかどうかという判断は最も難しいのではないかと考えています。
目論みが外れたものは、今の所コレ(秘密)です。生地を見た時は売れるんじゃないかと思ったんですが、ハズしてしまいましたね。何が売れるかっていうのは本当に難しいです。出してみないと分からない事も多いですね。

──ピックについてはどうでしょうか。

グラヴィティ・ピック Gravity Guitar Picks

Aria 「Gravity Guitar Picks」の取扱を最近始めましたが、コレが予想以上に出ています。アクリルを研磨した高級ピックですが、厚さ6mmという極端なものもあります。価格は600円から3,900円くらいまであり、いろんな形状や厚さがあり、また滑り止め用の穴があけられているものもあります。特殊な感じがしますが普通に使用できますよ。音の太さや音量が向上します。
コレは6mmで、コレが4mmです。一番薄いのは1.5mmです。エッジが大変鋭くなっているので、ピックスクラッチがかなりイイ音がしますよ。現在SuGのギタリストのmasatoさんに使って頂いておりますが、このピックを使用した時の演奏性、サウンド共にかなり気に入って頂いています。


SuG「Smells Like Virgin Spirit」(MUSIC VIDEO)
Gravity Guitar Picksに対するmasatoさんのコメント – Aria公式サイト

Aria 6mmだとかなり弦の間が狭く感じますが、3mmや4mmでは意外と普通に弾くことが出来ます。昔の弦楽器は石ころのようなピックを使うこともあり、ギター以外ではこの厚みのピックはそれほど珍しくありません。
反響は想定を超えており、凄いペースで広がっています。お店は1.5mmなど無難なものをまず仕入れて試していくんですが、お客様の求めるものは2mm、3mmというように徐々に厚みを増していくんです。本当に軽い力で大きな音が出せるので、早弾きに良好ではないでしょうか。これだけ丁寧かつ鋭利に研磨されているので弦との摩擦がかなり軽減されていて、力を込めて弾く必要がなく動かしやすいと思います。またコレの外周を磨いていないものもあり、摩擦の加減を好みで選べるようになっています。

──それ以外にヒットしたものはありますか?

Aria 「GRUVGEAR」がよく動きますね。リストバンドのような構造ですが、解放弦をミュートしてタッピング系のプレイをサポートしてくれます。またケース類は自社開発も輸入もいろいろ扱っております。弊社の扱うケース(AGCシリーズ)は比較的ノーマルなデザインで、どなたでも抵抗なく使用できます。色は黒赤青銀の4つバリエーションあり、機能重視で水を弾きやすい素材を使用したり、水の浸入を防ぎやすい防水ファスナーをセレクトしたりしています。このような製品もあるものですから、ギターメカーばかりでなくバッグのメーカーやピックのメーカー、分野ごとにさまざまなメーカーさんとのお付き合いを続けています。

──ありがとうございました。

Aria(瀬川&加藤) ありがとうございました。

以上、荒井貿易インタビュー、エレキギター編でした。
ギターだけでなくアンプやエフェクタなど周辺機器、ピックやストラップなどアクセサリーも幅広く取り扱っている会社なので、製品の特徴を把握するだけでもかなり大変ですね。

Aria Pro IIのギターを試奏させていただきました!

アリプロのギターは比較的低価格のモデルが良く売れることから、高級なギターのイメージを持っていない人も多くいます。そこで今回は、ハイエンドモデルに絞っていろいろなギターを弾かせていただきました。

Aria Pro IIの看板「PE」

PE-LUX

Aria Pro 2:PE Ash Aria Pro II:PE-LUX

──ハイポジションが非常に弾きやすいし、サウンドもタイトで引き締まっています。レスポールシェイプですが、持った瞬間に全く違ったギターだということが分かりますね!

Aria PEは「プロトタイプのエレキギター」が由来で、ヒール部分が大胆にカットされており、ハイポジションが非常に弾きやすくなっているのが大きな特徴です。こちらは「PE-LUX(以下ラックスと表記)」のプロトタイプですが、製品版とはノブやインレイがちょっと違うくらいです。

アッシュ材の木目をラグジュアリー感のある意匠で活かした「ラックスシリーズ」として、ギターやベースをまとめてリリースしています。ペグのつまみはエボニー、ロッドカバーはローズ、さらにボディのバインディングもローズウッドを選択しています。ローズバインディングはメーカーさんも困ったようなんですが、こういう質感にしたいのでローズを巻いて下さいとお願いして、頑張ってもらいました。

PE-LUX:ネック PE-LUX:ネック

ネックはメイプル3本の間に細くウォルナットを挟んだ5プライになっていて、細すぎない握り加減にレスポールのイメージを残しています。ライトアッシュによるバランスの良いボディ重量、また立ち上がりの速い感じなどは、現在エレキギターに求められるポイントだと思います。ボディがかなり薄くなっているのが特徴です。またバックが平らですが、コンター加工が施してあるのでフィット感は充分です。
アッシュの特性でアタック感が明瞭に出ているからでもあるんですが、ハムバッカーのパワー感を残したままキュっと引き締めた、スリムでスッキリした音色を持っています。このキュっと締まった音は歪みでもコシを失いにくい、しっかりとパンチが残り、それでいてスムースな現代的なトーンです。

PE-LUX:ブリッジ PE-LUX:ブリッジ

大きめのブリッジにより、オクターブ調整の可変域が確保されています。テールピースには丸い穴があいていますが、通常のレスポールタイプのように後ろから弦を通す以外に、この穴を利用して正面から弦をひっかけて固定することができるようになっています。言わば2WAYですね。テールピースの機能としては後ろから通しても正面から引っ掛けてもほぼ違いはないと考えており、弦交換で後ろから通すのが面倒くさいと思っているお客様には正面からがお勧めです。

PE-2500

Aria Pro II:PE-2500 Aria Pro II:PE-2500

──こちらはずしりと重いPEですね!一見同じPEですが、ボディやネックグリップ、指板Rなど先程のPE-LUXとはちょっと違う印象です。

Aria こちらは「PE-2500」です。PEのトップグレードで、ヘッド形状からネックの握り、ボディシェイプや金属パーツまで、伝統的なPEのスタイルを踏襲しています。伝統的なスタイルの再現がコンセプトなので、指板もラックスより丸くなっています。

PE-2500:ボディ・バック PE-2500:ボディ・バック

トップだけでなくバックにもセクシーなカーヴがあってボディ中央に厚みがありますが、この形状は抱えた時のフィット感がかなり良好です。バックパネルもボディの丸みに合わせており、統一感があります。ボディ内に空洞を設けているのですが、ボディもネックもメイプルなので、ラックスよりずっと重いですね。「PE-1500」は完全に詰まっているので、もっと重たいです。

PE-2500:ブリッジ PE-2500:ブリッジ

このブリッジはブリッジの真下から弦を通すんですが、一旦ブリッジを外して、弦を全部通して、カポっとはめ込みます。昔はこうだったんですが、本機ではエンド側に弦を通す穴を設けているので、こちらの穴を利用すれば、いちいちブリッジを外さなくても大丈夫です。
ピックアップには「クライン」の1958年製PAFレプリカが採用されています。クラインは最近弊社で取り扱っている手巻きピックアップのブランドなんですが、コレを使ったギターを作ろう、というのが本機開発のきっかけです。
手巻きピックアップの分離感と音像感にオールメイプルの張りのある硬質なトーンがかけ合わさった、非常に澄んだ音です。本来のハムバッカーサウンドは太くて丸い音でなく、このようなトレブルが豊かに響く、そして中音域がしっかり主張する音色です。思いっきり歪ませても芯がしっかり残り、前に飛んで行きます。

プロ志向かつ個性的なボルトオン「FL」

Aria Pro II:FL 左:FL-STD I 3TS、右:FL-STD II BKWH

──コレが、「似ているようで全く異なる楽器」だという二本のFLですね。二本とも軽くて弾きやすく、澄んだ音が出ます。非常に高い基本性能を感じますが、「リアピックアップのみボディに直付け」という設計はリペアマン泣かせですね(笑。

Aria 「FL-STD」のIとIIですが、Iがトラッドなストラトをイメージしたモデルで、IIはモダンなスタイルになっています。軽量なボディ材が使われているので、両方とも重さが負担になりにくいギターに仕上がっています。もともとはアリアプロIIで出していたギターをリファインしたものなんですが、その時からリアピックアップだけはボディマウントです。このためリアは硬さの気持ち良いサウンドを持っています。

FL-STD I:ピックアップ FL-STD I:ピックアップ

FL-STD I:ヘッド FL-STD I:ヘッド

Iのピックアップには、クラインの「Jazzy Cat」が使用されています。ジョン・メイヤーが使用しているモデルで、スッキリとしたバランスの良いシングルコイルサウンドです。このピックアップにはトラッドな雰囲気と現代的なまとまりがあり、リプレイスメント用では一番人気です。しかしピックアップ自体がかなり高額なものなので、実際にこのFL-STD Iで音を出して確認して欲しいですね。ちょっとトーンを絞っているくらいが普通のストラトで、トーン全開だと未体験のクリアさです。
歪ませていてもクリアなコード感が得られます。コレこそがシングルコイルだ、と納得できる涼しい音ですね。特にヴィンテージ系のアンプと組み合わせたい音色です。PEの音色がいかにキュっと引き締まっていても、やはりあっちはハムバッカーなんだな、ということもあらためてわかります。このクリアさはライブでもレコーディングでかなり強力な武器になるはずです。
Iはトラッドな雰囲気のギターなので、セットアップの時点で若干弦高があるなど、そっち方向に設定されています。ボディはアッシュで、軽量なものをこちらで指定して厳選してもらっている分だけ高額なギターになっていますが、それでも定価30万を割っています。
ブリッジはGOTOHの510TS-BS2ですが、ギターのグレードにあわせて高機能なものを選択しています。サドルの形状が特殊なのが目印です。「プロ仕様」というコンセプトなので、音に直結するパーツには妥協していません。ハイエンドに見る「本気のアリア」は、しっかりとした個性とクオリティで魅せてくれますよ。

FL-STD II:ブリッジ・ピックアップ FL-STD II:ブリッジ・ピックアップ

FL-STD II:ヘッド FL-STD II:ヘッド

モダンスタイルの「II」は、ボディのエッジ処理からネックグリップ、指板Rから、ストリングガイドの有無、弦高を下げたセットアップまで、モダンスタイルというコンセプトにあわせる形で、プレイヤーが触れる所に全て「I」との違いがあります。このようにコンセプトがハッキリしているモデルについては、メーカーさんからも「それだったら、こういうのはどう?」のようにアイディアを頂くこともありますよ。
IIの方がボディのカドが立っており、トレモロが2点留めになっています。またピックアップはEMGのSAで、トーンの代わりにEMGの「SPC」というミッドブースターが付けられています。ブースター全開だとかなりでかい音が出て、クリーンチャンネルですら歪みますし、クランチからブーストするとかなり歪みを稼ぐことができます。トーン回路がないので甘い音を手放しているのですが、その代わり音の抜けで勝負するギターですね。

IもIIもボディ材はアッシュで共通ですが、やはり現場でバリバリ演奏することを想定し、だいたいこのくらいまで、というように軽量なものを指定しています。このFLもさきほどのラックスもアッシュボディですが、この時期に発売したモデルを考えていた時は開発サイドにアッシュボディのブームがあったんです(笑)。メイプルは美しくて人気ですが、デメリットとしてものすごく高額になってしまいます。アッシュは比較的低価格でありながら音のバランスが凄く良くて、木目がしっかり主張する外観を持っています。グレードの高いストラトを検討している方や、逆に皆と一緒のストラトは持ちたくないと考えている方の選択肢になって欲しいですね。

HM/HRシーンを支えた名機「RS」

Aria Pro II:RS-CUSTOM II Aria Pro II:RS-CUSTOM II

──クリケット奏法の細かいビブラートがしっかり持続しますね!すばらしいセットアップです。

Aria こちらは「RS-CUSTOM」です。「アリプロの名機」のひとつですが、フロイドローズ搭載のスルーネックモデルで22フレット仕様というのは現在きわめて珍しい存在です。ボディの厚みがありますからずっしりと重いですね。だいたい70年代80年代あたりは「重い楽器は良い音がする」と信じられており、どの楽器も重量を増していきました。メイプルマホのボディにメイプルスルーネック、敢えての塗りつぶしカラーです。
ネックはやや厚めで存在感があります。コレも昔からあるスタイルをそのまま残していますが、「いかに薄く、細く、軽く作るか」っていう現代の流行に逆らっている厚みのあるネックとボディだからこそ、フロイドローズでもペラくない、むしろ分厚い音が出せるギターになっています。このネックグリップは、一般的なディンキーのイメージよりむしろレスポールのイメージです。

RS-CUSTOM II:ネックジョイント部分

aria-rs-head RS-CUSTOM II:ヘッド

このギターはがっつり歪むアンプにつなげたいですね。最近はローセッティングが流行ですが、コレは昔の仕様でブリッジがボディに沈んでいません。ジャクソンなどはこのセッティングが多いですが、レスポールを弾いているような感触ですね。
このSSH配列はセンターが若干リア寄りのようにも見えますが、3シングルの配列を基準に、リアがハムバッカーになったものだからセンターに近くなった、というものです。

カーヴドトップのボルトオン「MA」

Aria Pro II:MAC-LUX

Aria MAは「マグナ」という愛称がありましたね。
コレは「MAC-LUX」です。「ラックスシリーズ」の一つで、ネックは5Pです。このような積層ネックは木材の曲がる方向を散らす目的があるため、両サイドと中央のメイプルは別のものが使われています。
とても元気なサウンドがしますが、クリーンも気持ちがいいです。日本の工場で生産され、なおかつパーツは全て日本製で定価¥128,000(税別)なので、コストパフォーマンスはかなり良いと考えています。
ピックアップはオリジナルで、メーカーさんとのやりとりで試作のテストをかさねて完成しました。本機のピックアップはアリアのギターに載せるピックアップの「一つの基準」として作ったものです。金属パーツはGOTOHで、やはりアッシュの個性が活きた、カラッとしたトーンがあります。指板とフレットの仕上げがよく、チョーキングがしやすいですね。フレットのサイズと形状はこのくらいがいい、というのはこちらが工場に指定しました。


以上、「アリアの本気」を感じられる、アリアプロIIのハイエンドモデルを試奏させていただきました。どれもしっかりとした個性があり、素晴らしい澄んだサウンドでした。ぜひお店で、体験してみてください。

インタビューは「アコースティックギター編」へと続きます。
アコギに関する内容やブランドを持つ会社の仕事内容など、いろいろなお話を伺っています。
同価格帯ならウチが最強です:荒井貿易訪問インタビュー 〜アコースティックギター編〜