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男の意地と執念が生み出した革新的ギター:SAITO GUITARS訪問インタビュー

工房見学!!

齋藤 まずはメインの作業場となる部屋にご案内します。

メインの作業場

齋藤 スタッフはパートを含めて5人です。僕の父親は大工なのですが、パートとして働いてもらっています。

saito-guitars-mokuzai 木材ストック

齋藤 木材は全部同じグレードです。たまたま良いのがあるかもしれませんが(笑)。

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齋藤 これがNCルーターです。バラつきが出ないよう相当細かく動いているので、加工時間は他の工房さんよりもかなり掛かっていると思います。加工時間自体は長いものの、人が作業するよりも精度が上がりますし、コストも抑えることが出来ますね。工程によって刃物を交換して使っています。

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saito-guitars-kobo2

 これが機械上がりの状態のボディです。見ての通りスタッド穴やポットの穴、ビス穴まで開いているので、この状態で90%出来上がっていると言っても良いでしょう。このNCであらゆる工程を賄えるので、ボディもネックも木地研磨以外の木工加工は全て機械が行っています。ビス穴を予め正確に開けておくことで、マーキングして人の手によって穴を開けるといった作業を省くことが出来るんです。セッティングも全部統一されるのでほぼ同じ手順で組み立てられますし、作業時のストレスも軽減されます。

──他社の工房さんだとテンプレートを使って手作業で製作されるケースもありますよね。

 そうだと思います。その作業全てを機械で賄っているのがうちの特徴ですね。人が刃物を使わないことでスタッフが怪我をするリスクも無くなります。ルーター加工は指だけでなく手まで無くなってしまうほどの危険が伴う作業なので、余計なストレスを感じずに製作が出来るんです。また、NCルーターを使うと綺麗に枠が残るものですから、それを記念にお持ち帰り頂くお客様もいらっしゃいますよ(笑)自分が愛用するギターの端材で何かを作ろうと思う方が結構いらっしゃるようで。

──ブリッジの位置も既に決まっているんですね。

齋藤 多くの工房さんが塗装後にブリッジの位置を決めて開けていくと思うんですけど、その際に失敗すると今までの作業が水の泡になってしまうんですよ。それを防ぐためにも最初から全てビス穴を開けて、ブリッジの位置まで決めてしまっています。圧倒的に作業スピードが速くなります。機械に掛けている時間は多いですけど、仕上がった物に関してはノーチェックで塗装に行きますからね。組み込んだ時に精度のバラつきが少ないので、ほぼ同じ形の物が出来るメリットもあります。

 逆を言うと「ここにワンボリュームを付けてくれ」とか「スイッチを付けてくれ」といったことは出来ないんですよ。そうなると新しいプログラムを組まなければならないので。基本的にこの仕様で決め打ちすることで、コストを抑えることに成功しています。色々な細かいオーダーを請け負ってしまうと最終的に価格に反映されてしまいますから。うちもオーダーメイドではありますが、選べるのはペグがロックかロックじゃないかとか、色やピックアップくらいです。どれを選んで頂いても最終的にはSAITO GUITARSの形になりますね。

齋藤 通常のオーダーだと、ブリッジの種類を選べるとか色々ありますよね。でもそうするとブリッジの穴の位置が変わってしまうのでお断りしています。「うちにはこれしか無いんです」というスタンスです。例えばパーツを選べるようにするとそれぞれ仕入れなければなりませんよね。うちはピンポイントに仕入れて無駄な在庫を持たないことでコストを下げています。

──随所にコストダウンを考慮した仕組みがあるんですね!

 お客様側も「これが欲しい」って言って買って下さる訳ですけど、個体差が少ないので思った通りの製品を提供出来るんですよね。逆に色々選べるようになると、最終的に出来上がった楽器が思っていた物と違う、なんてことになる可能性もありますから。

うちはこの規模の工房で考えるとかなり”異質”だと思うんですよ。ペグも変えられないですし、指板もボディもオーダーシートの範囲内でしか変えることが出来ません。先ほどお話させて頂いたような事情があるので。でも、出来上がる物は全部同じグレードですので安心して頂きたいですね。

saito-gutiars-neck

 フレット打ちは手作業です。全て接着しているので手間は掛かっていますね。弊社の考え方として、お客様が触って「いいな」と感じて頂ける部分は徹底して拘り、それ以外の箇所は機械に任せる、というのがあります。見た目はデザインが崩れない範囲で好みに合わせられるよう、カラーバリエーションに合わせてロゴも選べるようになっています。

saito-guitars-solid

 細かい話になるのですがボディトップのアーチに合わせて”コントロールザグリの内部に逆のアーチ”が付いているんです。通常のザグリだとポットがボディ面に対して垂直にセットされないんですが、内部の逆アーチによってナットをしっかりと締め込む事が出来るので、ポットが緩みにくいメリットがあります。

saito-guitars-kobo4

齋藤 これはアーチトップギターM-Seriesを製作する機械です。パンタグラフみたいになっていて、ここで荒削りをしていきます。非常に単純な機械で、手前の型を習って奥のルーターで切削していくのが主な使用方法です。これは国内にも殆ど出回っていない機械じゃないでしょうか。ちなみにこの機械は本来、ライフルのガンストック(柄の部分)を造る物なんですよ(笑)。目的は違いますが、アーチトップの製作に応用しているんです。

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saito-guitars-body1 塗装後のボディ

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 塗装した材を埃から守るためこの部屋に吊しています。大体サテンフィニッシュって30分くらいで触れるようになるんですよね。その後に研ぐ必要も無いので、トップのクリアコートは一日もあれば終わってしまいます。

──ここでも結果的にコストダウンに繋がっているんですね。ありがとうございました!


以上、工房見学でした。
新気鋭のブランドだけに、過去に例の無いユニークな発想を詰め込んだモデルがとても多いように感じました。特にプロモーションを強く打っている訳でもなく、実際に試したプレイヤーの方々が「これは良い!」と自ら動いて広めているというのも、SAITO GUITARSのギターの魅力を物語っています。SAITO GUITARSのモデルを試せる楽器店はまだ多くないものの、是非一度お試しになってその違いを確かめてみてください。