エレキギターの総合情報サイト

「LACCO TOWER」ギタリスト細川大介インタビュー

細川大介

Supernice!インタビュー企画「アーティスト・インタビュー」第五弾には、バンドLACCO TOWERのメンバーであるギタリスト細川大介さんにインタビューをさせていただきました。二回にわたっての今回の企画、第一回は細川さんがギターを始めたきっかけや、LACCO TOWERに加入された経緯、そして6月にリリースされる最新アルバム『心臓文庫』について語っていただきました。

「こういうバンドで最後を迎えたいなっていう思い」でLACCO TOWERに加入

──細川さんがギターを始めた、あるいは音楽を始めたきっかけは、どのような感じだったのでしょうか?

細川大介さん(以下、敬称略) ちょうど中学生のころが、第三次バンドブームという感じで、LUNA SEA、GLAY、L’Arc-en-Cielが盛り上がっていた時だったんですけど、そこで初めてロックンロールというものに触れて「バンドってカッコいいな!」って思ったんです。

──ありましたね!すごく盛り上がった時期でした。

細川 それから中学2年生の時に、高校の先輩がライブをやるから見に行くことになったんですけど。それは冠さん(冠徹弥)のSO WHAT?っていうハードコアバンドのコピバンだったんです。それがまたすごい、みんなモヒカンで逆巻いて、血が舞っているんですよ(笑)、中学生の僕にはすごく衝撃で。それを見て「ヤバい!バンドってチョーカッコイイ!」っていきなり気分がマックスになっちゃいました。だからその帰りにもう行った友達みんなでモヒカンにして(笑)

──モヒカンですか…想像できない状況ですね(笑)

細川 そしてすぐギターを買いに行って、みたいな感じでギターを始めたんです。でも最初はGLAY、LUNA SEA、THE YELLOW MONKEYさんのコピーから始めましたね。

──なるほど。それまでは楽器は何もやられていなかったのでしょうか?

細川 やらなかったですね。どちらかというと音楽が苦手な方でしたし(笑)。まあ一応家でも毎日音楽は流れていたけど、ほとんどはJ-POPでしたね。そのころ僕は結構スポーツは得意な方だったし、勉強もそこそこできる方だったんですが、ギターだけは全然うまく弾けなかったんです。

──弾けなかったからですか?

細川 そうなんです。初めから弾けたらすぐ飽きちゃったと思う。中学の友達10何人で始めたんですけど、僕が全然下手で。なかなか上手くならなくて「何でだろう?」と思いながら今もずっと続けている感じですね(笑)。

──面白いですね。できないと辞めちゃうという人の方が多い気もしますが…LACCO TOWERには2013年に正式加入されたとのことですが、その経緯を教えていただけますか?それまではどのような活動をされていたのでしょうか?

細川 25、6歳くらいの時だったかな、それまでやっていたバンドが解散して、どうしようかと悩んだ挙げ句に、ギターの講師業に進んだんです。ギターは続けたいと思っていたけど、またバンドをやるのは無理だなと思って。でもその後方々から”サポートをやらないか?”っていう話が来て、サポートとギターの講師をやりながら2~3年くらい過ごしていたんです。

──まさしく下積み時代ですね。

細川 それから29歳くらいの時に一つの仕事として、LACCO TOWERのサポートの話が来たんです。そこでメンバーから「もう一回バンドをやらないか?」という話になり、自分として改めてバンドを始めようということになったんです。

──なるほど。LACCO TOWER入りを決めた要因は、細川さんとしてはどのようなポイントだったのでしょうか?

細川 やっぱり曲が気に入りましたね。ただ、30歳を超えてロックバンドをやるのは、すごく勇気がいることでしたし不安もありました。それでもこの時は、こういうバンドで最後を迎えたいなっていう思いもあったし。

──30で!?まだ先は長いですよ!(笑)

細川 (笑)。それくらいこのバンドに命をかけてみたい、という気持ちがあるということで…でもその時は本当にそう思いましたね。

──決意のほどが感じられますね。次にLACCO TOWERのニューアルバム『心臓文庫』についておうかがいできればと思います。なかなかタイトルからして意味深な感じでもありますが…

細川 そこはボーカルの松川(ケイスケ)が出したアイデアですね。歌詞やタイトルはほぼ松川が出してくるもので、そこに他のメンバーが何か言うということはほとんどないんです。基本的に皆お互いを尊重しているので、例えばギターのことに対して言われることもほぼない。だから松川を尊重していますし、逆に歌詞のことに対して僕が何か言うということもないです。

──曲作りに関しては、普段は詞と曲、どちらが先にできてくるのでしょうか?

細川 基本的には曲の方が先ですね。真一ジェット(キーボード)が曲の原型を作ってきて、それをスタジオの中で、みんなで揉んで細かく合わせていくことで作っていきます。ドラムに関しては相当細かいところまで打ちこんできます。そういうのが相当好きみたいで。

──アルバムを聴かせていただいて、とても曲の振れ幅というものが大きい感じがあるなという印象を受けました。すごくポップなものから、一曲目の「罪之罰」みたいな展開の激しい曲まで、すごくバラエティに富んでいるというか。

細川 そうですね。彼は変拍子が好きなんですよ。僕と真一は特に好きで、こういう曲をやりたいねという話もよくしながらやっていったりしています。

「新しいチャレンジという意味で、必ず新しいことはアルバムごとに何か入れています」

──逆に、松川さんの歌のメロディーが入る際に意識する部分は、特にはないんでしょうか?

細川 デモの段階から歌詞のない状態でメロディは入っていますので、メロのラインは意識します。また、歌詞ができて来た時には、歌詞の内容を意識してフレーズを作るようにしています。イメージを頭に感じながら。それはやっぱり、自分のやりたいことだけを詰め込んでしまっても、あまりに曲に合わない格好になってしまうことにもなりますからね。

──そんな内容は、実際に松川さんとも話したりはするのでしょうか?

細川 いや、特にはしないですね。あとから「こういうところを意識したんだ」という話はすることはありますけど…例えば今回のアルバムについて「こういうテーマにしよう」という話は、あまりなかったです。ただ、昔のアルバムを聞き返した時に「もっとはっちゃけていた時代」というのがあって(笑)、最近はそのまとめに入ろうとしていた傾向が感じられていたので、それを一度取っ払おうということはちょっと意識していましたけどね。

──大事なことですね。アルバムの制作の際に、バンド、個人それぞれに今回「これはやってやろう!」と思われたことはありますか?

細川 バンド的な部分でいうと、例えば一曲目の「罪之罰」もそうですけど、「とんがっているところはもっととんがって」とか、思いっきり自分たちの世界を作っていくという一方で、逆に「珈琲」みたいにゆったりしたところでガッツリと音数を減らして、振り幅を広くしていこうとか、いろいろな考えはバンドとしてはあったと思います。ギターでいうと、これでも重ねを減らしたんですよ。

──そうなんですか?かなり分厚い感じもありますね…

細川 減らしましたね。これでも結構減らした方。「重ねたい病」なので(笑)、そこは減らしたいと思っていましたし。

──そうでしたか。もともと真一ジェットさんのキーボードがあるので、かなり分厚い感じもあるんですよね。一方でギターのフレーズなどではいかがでしょうか?

細川 そうですね、いつもアルバムに対しては「これにチャレンジしよう」という思いを、毎回自分の中に持っていて、例えば「このアルバムでは「ワイドペンタ」を多めに使ってみよう」とか。ペンタトニックをワイドに見るスケールなんですけど、その「ワイドペンタ」を使ってフレーズを作ろうとか、いろいろ考えるんです。

前回のアルバムではスキッピングフレーズを増やそうとか考えていたし、今回はタッピングを増やそうかなって思って、ちょいちょいと入れています。タッピングはそこまで昔はやっていなかったけど、自分たちの曲でやっちゃえば覚えられるんじゃないか?と思ったんです。そのために練習するし。アルバムごとに自分的にもレベルアップしていきたいという思いはいつもあって、そうやって新しいチャレンジという意味で、必ず新しいことはアルバムごとに何か入れています。無理やり入れるくらいのつもりで。

──そういう意味では、今回もやるだけのことはしっかりとやった、という思いですね?

細川 まさしく(笑)。これ以上はないっしょ!、というところまでは持ってきています。

──なるほど。全体的な印象として、バリバリのロックギター!という感じのカッコいいギターですが、細かく聴いてみると例えばギターのソロは、あまりペンタトニック一発というフレーズがなく、わりとコードを意識されたラインという印象を感じますね。

細川 確かにそれはありますね。ペンタトニック一発みたいなのはなかなかやらないです。
「THEペンタトニックのソロ」みたいなのは、正直あまり好きじゃないんですよ。ましてLACCO TOWERの曲は、結構コード進行が凝っているので、きれいなコード進行を壊したくない、という思いもあるし。大体はアドリブで弾くんですけど、その中でも常にコードは頭の中に描いていて、メロディーをどんな感じでそのコード進行に沿っていくか?というのはいつも考えています。

──曲によってソロを弾く、弾かないという選択はどのように決めていますか?

細川 う~ん、それは決めるというよりも、あらかじめ曲ができた段階で、ギターソロの場所はできているんです。

「別のアプローチでのソロも聴けると思うので、ぜひライブに来て聴いてみてもらいたい」

──では真一ジェットさんの一存で決まると(笑)。

細川 そうですね。真一ジェットが実はギターが大好き、ギターソロも大好きなんです。だから逆にギターソロがない曲もあって、その時はよくたずねられるんですよ、「ギターソロがないんだけど、今回どうする?」って(笑)。「じゃ、なくてもいいよ」と僕は言ったりしますけどね(笑)。

さらに曲を作ってくる時にはギターソロでコード進行を遊んでくることも多いんです。「こんなコード進行でソロをやれって!?」みたいなのも持ってくるから、ある意味戦いですね(笑)。ギターソロ内で転調、ノンダイアトニックのコード進行とかも普通に出てくるんで…

──「こんな面倒くさいもの、持ってくるんじゃねーよ!」みたいな感じですね(笑)

細川 そうそう(笑)。今回のアルバムでいえば「相思相逢」が顕著で、いっぱい転調するんだけど「転調を戻したい、KEYをEからDにしたいけど、戻す場所がないからギターソロの途中で戻す」とか言われて(笑)。だからギターソロは盛り上がっているんだけどキーは下がっていく、みたいな(笑)。そこは僕的にはかなり頑張ったところですね。

──そうでしたか。では「みんな、絶対に聴けよ!」って感じですね(笑)。

細川 まさしく。やっぱりみんな子供の頃に聞いていた音楽は一緒なところもあるので、バンドのメンバーもみんなギターソロは好きなんですよ。だからみんな僕のソロがどうくるのかを待っているし、僕も期待に応えて面白いことをしないと。それにできたものは、最初にメンバーに聴かせるので、メンバーから「カッコいいね!」って言ってもらいたいですしね。だからソロはアドリブで弾きながらも、相当詰めています。

──なるほど。この10曲の中で、「とっておきのやつ、絶対聴いてください!」という細川さんのアピールポイントが入った曲は、どれでしょう?

細川 とっておきですか?う~ん、2個ぐらい言ってもいいですか?(笑)。一曲目の「罪之罰」にあるAメロのギターフレーズは、僕の中で結構カッコいいと思っているんですよ。さらっと聴き流しちゃう可能性もあるけど、ここは指で弾いているフレーズで。今までだったら刻んでいるところを、あえてクランチの音色の指弾きを入れているんです。

──なるほど。私も聴いて思いましたが、確かに全体的にはがっちり弾かれているけど、ここだけ「あれっ?」という感じはありましたね。ユニークなアプローチだなという印象でした。

細川 ここはちょっとBOSSA NOVA的な弾き方なんですよ、ベースは親指で弾いてコードは残りの指で弾いて、という感じで。昔、20代中盤くらいにはカフェでBOSSA NOVAを弾いていたこともあったので、そのアプローチをうまくロックに持ってきた感じです。

──このフレーズをアピールというのは、結構シブいですね。

細川 そうですね(笑)。あとは「蛍」という曲の、アウトロのソロは90年代の雰囲気を出せたかなと思いますね。最初はメロディーを追っているけど、フェイドアウトしていくたびに速弾きになっていくみたいな。今は逆にこういうアプローチってあまり聴かないんじゃないかと思うんですが。でもこんな感じは僕ら世代にはたまらないというか(笑)。

──確かに頭はアコギでゆったりと入りながら、この部分はハードロック好きにはたまらん音だな、という感じではありますね。

細川 そう、だんだんと変わっていく感じもね。これはマスタリングの時にも、エンジニアの方とアウトロで大盛り上がりしました。「このソロいいね。古いなお前!」みたいに言われて(笑)

──でもこれで「自分的にはこれでステージは俺のものだ!」くらいの勢いが(笑)

細川 そうですね。このソロは全部アドリブで弾いているんで、多分ライブではこうは弾かないし、また別のアプローチでのソロも聴けると思うので、ぜひライブに来て聴いてみてもらいたいと思いますね。


次のページでは、細川大介さんの音楽遍歴や音作り、使用機材、フレーズの考え方などをお話しいただきます。