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「PERSONZ」「fringe tritone」ギタリスト本田毅インタビュー

本田毅インタビュー PHOTO:ヨコマ キミヨ

バンドPERSONZや、氷室京介のサポートなどでプレーされ、今年2年ぶりに自身のバンドfringe tritoneの活動を再開されたギタリスト本田毅さんにインタビュー、第2弾では普段の音作りや、プレイ・テクニックの秘訣などをうかがいました。


刺激や破壊音の積み重ねみたいなのがカッコイイ。

──パンク/ニューウェーブに影響を受けられたとのことですが…ギターが上達するにつれて、趣向がパンクからハードロックに移るという話はよく聞きますが、逆の方向ですね(笑)。それはやっぱり、ギターの音というよりは、ビジュアル的な部分というか…それはもうギターを始められたときから?

本田 もちろん!それは一番デカイですね。ビジュアルがカッコイイバンドが好きだったし。KISSとかQueen、Aerosmith、The Rolling Stonesとかね。

──なるほど。本田さんはギターサウンドに対して、個性的なアプローチをされている印象が強いですが、そのころ聴かれていた音楽ではどのようなものから影響を受けられたのでしょうか?

本田 たとえばThe Stranglersみたいにオルガンが入っているサウンドとか、Devoみたいにチープなシンセ音が共存しているものとか、そういうのはYMOなんかにもつながって来ると思うんだけど、すごく新しく聴こえたんです。「あっ、電子音とギターが共存している!」って。ギターにもすごくエコーやリバーブを掛けて、聴いたことのない広がりというか、1音しか弾いていないのに、ボワーンって広がる感じというかね。これはすごいと思って、そこからエフェクターなんかを手に入れて、いろんな試行錯誤をやるようになったんです。

──なるほど。その中でも最も印象に残った音は、どんなものだったのでしょうか?

本田 Gang of Fourですね。まあとにかくギターの音がカッコよかった!あとはArto Lindsay。もうギターをぶち壊すみたいな感じで弾くんですけど、ほぼ全部がノイズ(笑)。でも聴いたことない音で、超カッコイイと思ったんです。だから曲というよりは、刺激や破壊音の積み重ねみたいなのがカッコイイ。綺麗な和音感のフュージョンにはない、不協和音みたいなものがグッと入ってくる感じっていうか。

──すごく意外な感じがしますね。たとえばPERSONZの活動の中で聴かれる本田さんのプレーは、もちろん時々トリッキーなものもありますが、どちらかというとシンプルなコードバッキングが多いように見受けましたが。

本田 そうですね。でも実は僕はどちらかというとそっちのほうが好きなんですよ。たとえばPERSONZを始めたころから、今でも基本的には変わっていないんですけど、楽曲自体はすごく分かりやすくてポップ、でもバッキングは3ピースでやっていて、ギターとベース、ドラムスだけで構築するんです。その中で、それぞれのメンバーがそれぞれでひねりを入れる、というのをテーマにしていたんです。

──確かに「あれ!?」といい意味で裏切られるようなプレーがよく聴かれますね。

本田 わりとシンプルなバッキングだけど、ちょっとクセがある、みたいなことをやっていたんです。必ずそういったフックとか、ちょっと変な飛び道具みたいなものをしのばせるというか(笑)。まあライブだと、それを全部再現するのは難しいんですけどね。「分かる人にだけ分かればいいや」くらいの気持ちでね。

──なるほど。たとえば本田さんのギターサウンドの土台とする音のイメージって、あるのでしょうか?

本田 まあ、ありますね。自分の好きな音は、やっぱりどうしても決まってきちゃいますし。バッキングに関しては、あまり歪んでいない、必ずコード感が分かるくらいのクランチくらいの感じの音かな。ソロはできるだけ歌に近いトーンというか、わりととんがってなくて、中域を上げているようなセッティングをしています。ギター自体がシングルコイルで、わりとトレブリーなので。だからバッキングはどちらかというとジャリッ!とかザクッ!とかしていたいんですけど、ソロのほうは逆に人間の声に近い感じというか。人が歌っているような形に近づけたいなと思っているんです。まあ、そのクセは変わっていなくて、今でも大体そんな音になっちゃっていますね。

── 一度ライブを拝見させていただいた際に感じとしては、確かにどちらかというと本当に歪ませないほうが好きなのかな?という感じでしたね。あまり意識しなくてもそんな感じの音になってしまうのでしょうか?

本田 そうですね。もう好きな音が決まっているので、人のギターを借りても、アンプを借りたとしても、大体そんな音にしてしまいますし、手がそんな風に弾いちゃうんですよね。弾き方とかでも、そういうところは変わると思いますし。

好きな音っていうのを、とことん聴いてみてほしい

──なるほど。何かそういった音作りをするコツみたいなものってあるのでしょうか?アドバイス的なものでもいただければと思うのですが。

本田 う〜ん、どうでしょうかね?やっぱりみなさん、それぞれ好きなものが違うと思いますし。でも好きなアーティストの音を真似ていくというのは、悪いことではないと思いますし、たとえばどんな機材を使っているか?何てこともそれほど難しいことではないでしょう。だからまずは、興味のあるものから手に入れるとか、あるいは自分の機材でできるだけ目指す音に近いものになるようセッティングを試してみるとか。

僕もそうしましたからね、僕はQueenのBrian Mayが好きだったんですけど。Brianってめちゃくちゃ変わっているでしょ?本当に独特の音なんですよ。ギターも同じものを売っているわけでもないし、再現のしようがないんですけど「ピックの代わりにコインで弾いているらしいぞ」とかいう話を聞いて、じゃあと1円玉でやってみるけど、「ぜんぜんこんなのじゃ弾けない」って(笑)。でも「言われてみれば、あの擦れた感じはこれの音なのかな?」とか思うところも感じたりしてね。だから好きな音っていうのを、とことん聴いてみるとか、あるいはそれで音作りが難しければ、たとえば調べることだってできるわけですしね。

──見逃しがちなところですね。エフェクターはどのようなものを使用されているのでしょうか?

本田 PERSONZや別の現場ではFractal Audio SystemsのAxe-Fx2、マルチエフェクターですね。ラックタイプのもので、たくさんあったラックタイプのエフェクターを、2Uの1台に集約してくれた、本当に素晴らしいものです。fringe tritoneでは、フロアマルチでBOSSのGT-10を使っていたんだけど、最近GT-100を手に入れたので、次からはそれを使用する予定です。実はマルチマニアでして(笑)、大体新しいのが出たら買っちゃうんですよね。

──単体のコンパクトエフェクターは使用されないのでしょうか?

本田 それも好きなんだけど、ディレイなんかの設定は、僕はわりと設定を細かく行いたいタイプでして、コンパクトだと、やれることにある程度限界があるし。もちろんコンパクトでもできるかもしれないし、楽しいんですけどね。マルチで設定していくのが好きです。

──今日用意していただいた、このギター(P-PROJECT NA-TH-4 TAKESHI HONDA MODEL)はだいぶ古くから使われているものでしょうか?

本田 そうですね。fringe tritoneのほうでメインで使用しているもので、もう10〜12年くらい使っているかな?PERSONZはまた違うものになるんですが。

P-PROJECT NA-TH-4 TAKESHI HONDA MODEL PHOTO:ヨコマ キミヨ

──普通のストラトキャスターと同じようなピックアップに見えますが、フロントだけちょっと変わった感じのものですが…

本田 これは、サスティナーなんですよ。これはスイッチを入れると、この部分から磁力が発生して、ずっと弦を振動し続けられるんです。出た当初はサスティニアックといって、PERSONZのレコーディングで行ってたNYで見つけて、それが搭載されたギター買って日本帰って「これをギターに付けてくれ」って、ビルダーに頼んだんですよ。今は製品化されていますけど、最初に付けたのは僕だといってもいい(笑)。大きな音で、アンプでギターを鳴らしていれば、フィードバック奏法ってできるんですけど、小さなアンプで、音を小さくしていても、これを使えば電気的に音が伸びるので、ちょっとバイオリンみたいなプレーができるんです。まあ飛び道具ですけどね(笑)

──押しボタンが二つありますが、これも飛び道具ですかね?(笑)

本田 そうですね。これは音が逆に全体の音がバスッと切れるんです。ボタンが二つあるんですけど、これを二つ交互にピックで擦って叩くと、トレモロの速いやつみたいな感じになる。ちょうど昔流行った、ファミコンの「ハイパーオリンピック」みたいな(笑)。まあ、やりすぎるとすぐ壊れてしまうので、あまりやりませんが(笑)。この二つは、僕のギターには大体付いていますね。

P-PROJECT NA-TH-4 TAKESHI HONDA MODEL2 PHOTO:ヨコマ キミヨ

──なるほど、飛んでますね(笑)。ボディの木は何を使われているのでしょうか?

本田 メイプルトップの、マホガニーバックですね。普通のモデルの仕様のようです。わりと硬めで重いもののほうが気に入っているのかもしれませんね。

好きなことをやっていたからこそ、個性というものができたと思っています。

──なるほど。話は変わりますが、テクニック的なところとしてはいかがでしょう?今はあまり練習といった練習などはされていないのでしょうか?

本田 まあ今は課題があるときだけ、それに向けてという感じではあります。ただ曲を作ったりするときはずっとギターを持っているし、パソコンに向かったりテレビを見たりするときも、大体はギターを持っているんです。その時間って、練習っていうわけじゃないけど、気がつくと何かいいソロができたり、いいリフができたりすることが多いですね。

──なるほど。普段の生活の一部が、そのまま練習になっている感じですね?

本田 確かに。昔はよくテレビを見ながらというのはやっていたんですが、CMに移ったところでそのCMの音楽を、メロディを追ってみたり、その曲のキーをサッと捜してアドリブをしてみたりとか、よくやっていましたね。ああいうのも面白いトレーニングだったと思いますが(笑)

──バッキングのほうはいかがでしょう?先ほども少しお話ししましたが、わりとシンプルなコードバッキングが特徴的に感じられましたが、特にその中で留意されている点などはありますか?

本田 そうですね…僕は手が小さいんですよ。たぶん、普通に弾かれているギタリストさんよりずっと小さい。だから最初にフォークギターをやりだしたときに、バレーコードとか、ストレッチをして押さえるコードとか、すごく苦手で。そこで「クソッ!ダメだ俺、やっぱり向いてねえや」とか思っていたんです(笑)

でも、確かギタリストのCharさんが、Fのコードを一番下の弦を親指側で握って弾いているのを見たんですよ、テレビで。そのとき「あっ、それでいいんだ!」って思ってからは、「じゃあ、こうでもいいのかな?」って、たとえば押さえるコードの一部を抜いて、音の開放弦を弾いてみるとか、押さえ方を工夫してみました。そうするとすごく楽なんです、指3つくらいで押さえられるし、また響きなんかも変わってきて面白いし。手が小さいからこそ逆に個性になっているというか、そういう個性を自分のバンドでやり始めて、すごくサウンドの響きも広がりました。

──目からウロコなアイデアですね。シンプルなコードを弾きながら、途中でフッとフックのように印象的なフレーズを入れるようなところもありますよね。あれも面白いですよね。ああいったものは、普通にギターを弾きながらフッと思いつくようなものなのでしょうか?

本田 そうですね、まあ合いの手というか、習慣みたいなものというか。だけどまあ、やれることは限られていると思うんです。バッキングをしながら「1音だけ動くと面白いのにな」と考えることを実際にやってみたりしているだけ。

──ソロのほうではどうでしょうか?やはりシンプルなペンタトニックスケールを使用することが多いですかね?

本田 僕はそれほどすごいスケールを知らなかったし、途中で挫折したということもあったので(笑)、基本的にはシンプルなペンタトニックから入っています、今でも。また、何をやるにしても歌メロを追うという手法をよく使っていますね。歌ありきのバンドをずっとやっていたので、最初からいきなり速弾きをしないで(笑)、歌のメロディをうまく絡めるようなことを考えて、そこから最後にちょっとだけ面白いことをして終わる、みたいな。

──かなり好きだとか、好みの部分を深く追求されているようにも感じました。たとえば今ちまたには、練習の教則情報や資料、練習方法なんかも大量にありますが、本田さんの練習はそういうやり方とは違うようにも見えます。今振り返ってみると、そんな情報ありきの練習というものを、やっていればよかったと感じますか?それとも、自分で選択したやり方というものが正しいと思いますか?

本田 そうですね、まあ好きなことをやっていたからこそそこに集中していたし、自分の個性というものができたと思っています。でも一方、正直「ちゃんとやっとけばよかった」と思うときもあります。たとえばある程度ものづくりに煮詰まったときに、「もうちょっと他の切り口はないのかな」とか考えるときには、ちょっとかじったことのある別のスケールから展開するようなことを調べてみたりとか、必要に駆られてそういうことを考えることはあります。でも普段はあまりそれほど意識はしていないですけどね。

──なるほど。それでは、最後に楽器を楽しんでいるプレーヤーの方たちにアドバイス的なメッセージをいただければと思います。

本田 そうですね、せっかく楽器を手にしたのであれば、できるだけ触っていたほうがいいですよ。スマホをいじるような感じで、ずっと触っていると、いろんな発見があったりするし。「なんでこんなところに穴が開いているんだろう?」「なんでここは、こんな感じになっているんだろう?」ってね。

ギターって、ちょっとした芸術品だと思って見たら、すごく素敵なものに見えてくる。キズにも愛着を感じちゃったりするし、常に持って眺めているのもよし、せっかく手にしたのであれば、触ってあげましょう。放っておくと音も悪くなるし、マメに電気は通しましょう!(笑)。僕自身に関しては、今年はいろいろ仕掛けたいなと思っていますので、頑張ります!

取材協力

Studio BIRTH http://st-birth.com

使用機材

エレキギター:P-PROJECT NA-TH-4 TAKESHI HONDA MODEL エフェクター:Fractal Audio Systems Axe-Fx2(PERSONZ、その他サポートで使用)        BOSS GT-10,BOSS GT-100(fringe tritoneで使用)