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Q&A.8 チューニングが狂って直らない。どこが悪い?

エレキギターを何度も何度もチューニングしているのですが、1弦と2弦の音が同じ音程になりません。これは、どこかギターの調子が悪いのでしょうか。教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。 – (2011/1/19)10~19歳 男性

チューナーを使用したチューニングで開放弦の音はバッチリ合っているのに、1弦開放のEと2弦5フレットのEが同じ高さに聞こえない、というようなことですね。これは「押さえた弦のピッチが悪い」ということだと考えられます。これにはいろいろな原因が考えられますから、一つずつ検証していきましょう。

※ふだん良く使われる「音程」という言葉は、音楽理論では「二つの音の高さの違い」をあらわします。この用語はチューニングをテーマとした解説にはフィットしにくいので、本記事ではシンプルに「音の高さ」を述べるための「ピッチ」という用語を使用します。

「押さえた弦のピッチが悪い問題」の原因追究

この問題の原因には、

  • 1) 弾く人
  • 2) 弦
  • 3) ギター本体

という3つが考えられます。それぞれについてチェックしていきましょう。

1) フレット内のどこを押さえるか

質問者さんは「1弦と2弦」のみだということですから、これが原因ではない可能性もあります。しかしここでは一般論として紹介しておきます。
ギターは「フレット内のどこを押さえてもいい」というわけではありません。「フレットのバーに目一杯接近した位置」を押さえるのが、ピッチ的にもサウンド的にもベストです。フレットのバーから離れた位置で押弦すると、強く押さえすぎてしまってピッチを上げてしまうことがあります。通常のギターは、フレットの近くで押弦したピッチに合わせています。
ピッチに限らず、チョーキングが上がらない、オープンコードの低音弦がビビる、ハンマリングがうまく鳴らないなどの困りごとは、フレットのすぐ近くを押さえるように心がけるだけで解決することが多いです。まずはフレットからはみ出ないよう、しかし目一杯近づいた位置で押さえて弾いてみましょう。それでもピッチが合わなかったら、原因は弦か楽器本体にあります。
弦がビビる、その原因を探ってみよう

2) 弦を新品のものに交換しよう

古い弦では、ピッチが狂いやすくなります。ギターに張ったままの弦は錆びたり汚れたり、また金属が疲労したりして、新品の時とは全く違ったコンディションになっているからです。古い弦は新品と比べると、音の張りだけでなく弾力も違ってきます。ギターの調整は通常「新品の弦」に合わせていますから、古い弦のさまざまな症状がピッチにも影響し、開放弦では正確なピッチが得られるのに押さえた時のピッチがずれる、ということが起こる可能性があるのです。
次項で紹介する「ギターのセッティング」をビシっとキめるためにも、弦を新品に交換しましょう。新品の弦にして、やはりピッチが狂っていたら、いよいよギター本体のコンディションをチェックする段階です。

3) フレットは?オクターブチューニングは?

人間がフレット付近でしっかり押さえており、弦も新品でありながらピッチが正確でないのなら、フレットのコンディションが悪いか、「オクターブ調整(オクターブチューニング)」が狂っています。

フレットのバーをじっくり眺めてみてください。弦高との摩擦でデコボコに削られてはいないでしょうか。「特定のフレットだけがすり減ってしまっている」など均一な状態でないときには、弦を押さえた時のピッチにばらつきが出てしまいます。これを改善するためには「フレットすり合わせ」もしくは「フレット交換」によって均一に揃ったフレットに復旧する必要があります。しかしこれはあまりにも専門的な施工となりますので、プロの診断を受けましょう。
フレットの種類と特徴

オクターブ調整については、プロのリペアマンに依頼してもいいですが、エレキギターはブリッジにさまざまな工夫がされていますから、自力でオクターブ調整することもできます。オクターブ調整がしっかりできれば、ある程度はピッチに悩まされることがなくなるはずです。
オクターブチューニングのあわせ方

弦高調節もしっかり行なっておく

ただし、オクターブ調整を施す前に、「弦高」をベストな状態にしておきましょう。弦を押さえるということは、指板の上空に張っている弦を指板まで下ろすという行為なので、そのぶん弦が伸ばされます。高くても低くてもポジションごとの弦高が揃っていれば、どこを押さえても弦の伸ばされ方が同じになり、それだけピッチが正確になるわけです。それに、オクターブ調整をしてから弦高を変えると、せっかく合わせたピッチが崩れてしまいます。

「弦高」は、

の3つで決まります。

1) のナットについてはあまりにも専門的な内容ですから、プロの診断を仰ぎましょう。現段階では、割れていたり接着が外れてしまっていたりしなければ問題ありません。
2) のネックコンディションは、「限りなくまっすぐに近い、ちょっとした順ぞり」がベストです。あまりに「順ぞり」がきついと弾きにくいだけではなく、ポジションごとの弦高に大きな違いができてしまいます。これでは押さえるポジションによってピッチの誤差がばらばらになってしまい、オクターブ調整の意味が薄れてしまいます。
3) のブリッジの高さも2)と同様ですが、ネックのコンディションとバランスの取れた高さにセッティングし、ポジションごとに弦高に大きな差ができてしまわないように気をつけましょう。FRT(フロイドローズ)などで「フローティング」に設定している場合には、トレモロスプリングの張力を調整する必要もあるかもしれません。


以上、「弾く人」、「弦」、「楽器本体」という3つの観点から「押さえた弦のピッチが悪い問題」を考えました。フレット付近を押さえ、弦は新品で、フレットが均一で、オクターブ調整がしっかり施されていれば、「そのギターで出せる最も正確なピッチ」が得られます。

楽器本体の加工精度によって、どこまで正確なピッチが出せるかは決まってきます。精度が高いギターはピッチも正確です。しかしこれは、ギター本体の価格が高いか安いかばかりが問題ではありません。ヴィンテージギターの中には、「もうこれ以上の調整ができなくなってしまっている」というものがあります。ピッチは悪くても、ヴィンテージですからサウンドは凄くいいので使わないのはもったいないです。「達人」と呼ばれるギタリストの中には、こういったコンディションのギターでも正確なピッチを出すテクニックを持っている人がいます。使うのはピッチを聞き分ける耳と、左手による微妙なチョーキングです。ギター本体でどうにもならない問題では、やはりプレイヤーの力量がものを言いますね。