好きな長さのケーブルを作れる「ソルダーレスケーブル」とは?

[記事公開日]2013/9/2 [最終更新日]2018/1/5
[編集者]神崎聡

ソルダーレスケーブルキット Free the tone solderless cable kit「SLK-L-10」

ソルダーレスケーブルはその名の通り、ソルダーレス(はんだ無し)で接続出来るシールドケーブルを指します。このタイプのケーブルは、プラグ部とケーブルの接続にハンダ付けが不要なので、ほとんど手間を掛けず好きな長さのケーブルを製作できます。ケーブル自体は細身であることが多く、取り回しが良いのも特徴。その特徴ゆえに、長短ばらばらで複雑になりがちなエフェクター間の接続に特に多用されています。

ソルダーレスケーブルの特徴

音質はどうか?

ソルダーレスケーブルはエフェクターボード内に使われることが多いので、過度な味付けが好まれず、音質変化の少ないナチュラルなものが多い傾向にあります。プラグとケーブルを別で用意できる場合もあるので、自分の味付けが欲しければ、あえてプラグとケーブルを他社製で揃えても面白いでしょう。

どんな時に使うと良い?

各社様々な手法を使いハンダ無しを実現しており、いずれも強度について十分なものを持っていますが、やはり引っ張りや折れに対する強度は通常のハンダ付けシールドに及びません。踏みつけたり引っぱったりするリスクが高い部分に使用するのは控えた方が良いでしょう。ギターからの最初の一本とするにはおすすめできません。

ソルダーレスケーブルのメリットは?

複雑になりがちなエフェクターの配列の中、限られたスペースでケーブルを配さなければならないとき、好きな長さに随時コントロールできるケーブルは強い味方となります。加えて、ケーブルが細身であることが多いため、通常のケーブルでは難しい配列でも可能になったりします。その取り回しの良さと細身のケーブルによる省スペースの部分は、通常ケーブルでは得られないメリットです。

ソルダーレスケーブルの構造・作り方

いずれも任意の長さに切ったケーブルをプラグに差し込んで、ネジやキャップで固定するという流れになります。構造的にケーブルはしっかり垂直に切断することが望ましいです。

各社、様々な作り方のものを開発していますが、基本的にはほぼ似たような構造になっています。キャップやネジを使いケーブルを固定する際、ネジやキャップがケーブルの皮膜を突き破り、網線に触れることでコールドが成立。芯線は中心部に突き出た針に触れてホットが成立します。

ソルダーレスケーブルの構造図ソルダーレスケーブルの構造図

ギター博士がソルダーレスケーブルを作ってみた

パッチケーブルを自作してみるゾ!〜Free The Tone SOLDERLESS CABLE〜【ギター博士】

ギター博士は Free the tone solderless cable kit の通常版、L型プラグ10本の「SLK-L-10」で自作してみました。

作業に必要なもの

作成手順はとてもシンプル。作業に必要なものは【プラスドライバー】と【ニッパー】だけです。

作業手順

① プラグをドライバーでバラした後、プラグにケーブルを挿し、再びドライバーでネジを締める(片側完成)
② 必要な長さに切る
③ ①と同様の手順でもう片側のプラグを繋ぐ
④ 完成!

ニッケルプラグのSL-8シリーズ(通常版)と、金メッキプラグのSL-8Pro(Pro版)シリーズでは作り方が異なります。

自作パッチケーブル

好きな長さに、プラグの向きを逆にすればL/L(クランク)・タイプのケーブルだって作れます。

自作パッチケーブル2

縦にエフェクターを並べるような場合でも、自分の思うようにカットして最適な長さのケーブルを作ることができます。

clear

ギター博士「自分の好きな長さで作れるから、エフェクトボードの見た目もとてもすっきりするゾ。余ったケーブルも使えるので、『パッチケーブルから音が出ない!』など急なトラブルの時でも、すぐに作りなおすことができるんぢゃ!!とても便利ぢゃのぅ♪」

Pro版の場合は、皮膜を「8mm」カットします。皮膜をカットしたら、中からシールド線が出てきます。シールドをほぐし、芯線とは「逆方向」に倒してまとめます。後はプラグに差し込み、「溝に沿って」ケーブル本体を倒し、フタをしてネジ留めをします。以上で完成となります。
上記の行程を見るとわかるように、Pro版には皮膜を剥くという作業が加わっています。これによりシールド効果が高まり、ノイズレスなサウンドになります。プラグの構造上、耐久性も高いため、機材トラブルのリスクを限りなく抑えているのも魅力です。

ソルダーレスケーブルのラインナップ

Free the tone

2000年代以降、プロフェッショナル向け機材を中心に優れた製品をリリースし続けるフリーザトーン。ブランド発足初期にソルダーレスケーブルをラインナップしました。ライブの現場などでの急な断線などに対応するために、修理の容易なケーブルを提案したというのがその理由。ケーブル/プラグいずれも自社製で、独自の構造によるケーブルは強度も十分であり、幅広く支持されています。

CU-416 / SL-8
直径4mmの専用ケーブル。音質と取り回し、耐久性に優れ、楽器用からオーディオ用まで幅広い用途での使用を想定して作られています。ギター用としては主にペダルボード、ラックシステム内の使用が想定されるでしょう。

CU-416の専用ニッケルプラグ「SL-8L」「SL-8S」、音質面で改良を図った金メッキプラグの「SL-8LPro」「SL-8SPro」。プラグのチップ部とケーブルの芯線が短い距離で接続され、高音質を保ちます。Sがストレート、LがL字型となっており、いずれもネジを締め込んでコールド部と接続します。Proシリーズは若干コストが高いですが、音質面と耐久性、共に高いクオリティを誇ります。

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BOSS Pedalboard cable kit

BOSS Pedalboard cable kit

エフェクターブランド「BOSS」から2017年11月にリリースされたソルダーレス・ケーブル「Pedalboard cable kit」。他のソルダーレス・ケーブルと同様にはんだ付けは不要、必要な長さにケーブルを切ってプラグに挿してネジを締めるだけの簡単作業で済みます。

  • BCK-2:ケーブル1本分(プラグ 2本、ケーブル 50cm)
  • BCK-6:ケーブル3本分(プラグ 6本、ケーブル 1.8m)
  • BCK-12:ケーブル6本分(プラグ 12本、ケーブル 3.6m)
  • BCK-24:ケーブル12本分(プラグ 24本、ケーブル 7.3m)

の4タイプがラインナップ。24K金メッキ仕様のプラグはストレート/L字に対応、ケーブルは音質変化を抑えるため低容量タイプを採用、「BCK-2」以外のラインナップでは専用マイナスドライバーが付属します。

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Providence Platinum Link V206 model “Vital Link”

Providence V206

日本発の楽器用ケーブルブランドとして、現在では確固たる地位を築いているProvidence。高音質と使いやすさで数多くのギタリストから支持を得るこのブランドからもソルダーレスがラインナップされています。

専用ケーブルとそれに合うように開発されたNP-20プラグのセット。通常モデルよりも柔軟性があるケーブルを採用、プラグは通常のネジに加えてプラグキャップ部もネジ状になっており、二箇所で締め付けを行うことで、演奏中や移動中に抜けたりするトラブルを回避しています。

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One Control CrocTeeth Solder Free Patch Cable

CrocTeeth Solder Free Patch Cable

昨今エフェクターのブランドとして勢いを増してきた同ブランド。エフェクターやパワーサプライなどのイメージが強いブランドですが、同社が唯一ラインナップするシールドケーブルがソルダーレス。エフェクターブランドならではの目の付け所とも言えます。

ケーブル、プラグ共に自社製であり、最大のポイントはストレートとL字を兼用できること。システムに応じてストレートとL字を別々に導入する必要がなくなります。専用のMSL Cableは音質変化を最小限にとどめたナチュラルさが魅力ですが、プラグは径が合えば他社のケーブルでも使えます。フレキシブルな運用が可能な分、製作がやや煩雑なのが玉に瑕。

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Montreux Premium Cable ”Arena Ace”

Arena Ace

ギターパーツを手がけるブランドとして有名なMontreux。ベルデン・ブランドを含む多種多様なケーブルをラインナップしていますが、オリジナルプラグを使ったソルダーレスケーブルも展開されています。

この”Arena Ace”は外径約3.8mmと取り回しの良さを備えたケーブルにオリジナルのプラグをセットにしたモデルです。線材にはベルデン社の#8218を使用。プラグ形状はストレートとL字があり、ともにネジで締め付ける構造です。ナチュラルな音質と、洗練されたデザインが魅力。

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diago Patchfactory

diago Patchfactory

イギリスのメーカー、「diago」によるパッチケーブル自作キットが「Patchfactory」です。L型プラグが「10個」と、「3.05m」のケーブルが1本、それに小型のケーブルカッターが付いてきます。作り方は至ってシンプル、作りたい長さにケーブルをカットし、プラグに差し込み、コインで締めるだけです。最大5本のパッチケーブルを作ることができる上、比較的リーズナブルなので、手に取りやすいのも嬉しいところです。
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サウンドハウス Classic Pro SLC010 / SOL12

通販楽器店の大手、サウンドハウスも自社ブランドでソルダーレスケーブルを展開。値段が非常に安いのが魅力です。ケーブルとプラグの別販売、ケーブルがSLC010、プラグがSOL12となります。構造はGeorge L’sのものと同じながら、値段は3分の1以下。音質についての担保がされているかは疑問ではありますが、安く仕上げたいという方にはこれ以上ない選択です。

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