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《現代スライド・ギターの最先端》デレク・トラックス

the DEREK TRUCKS band the DEREK TRUCKS band

デレク・トラックス(Derek Trucks)氏は26歳の若さでエリック・クラプトン氏にその腕前を買われ、またウィリー・ネルソンをして「最高のギタリストの一人」と言わしめ、メディアからはジョン・メイヤー氏、ジョン・フルシアンテ氏と並び「現代の3大ギタリスト」と賞賛される、天才的なギタープレイヤーです。涼しい顔つきと対を成すアツいスライド・ギターを持ち味としますが、確かな技術で築き上げた驚異的に正確な音程とリズムも相まって、いつも私たちを熱狂させてくれます。

これまでに自身がリーダーを務める「デレク・トラックス・バンド」で3枚のライブ盤を含む9枚のアルバムを制作、また叔父の所属する「オールマン・ブラザーズ・バンド」に加入し4枚のアルバム制作に加わりました。現在では、妻でありボーカリスト/ギタリストのスーザン・テデスキ氏と組んだ「テデスキ・トラックス・バンド」にて活動を続けています。スーザン・テデスキ氏もギターの達人であることから、二人は「世界で最もギターの巧い夫婦」と呼ばれることもあります。


Backstage at the White House: Tedeschi & Trucks
オバマ大統領に招かれ、ホワイトハウスでアコースティックライブを行ったテデスキ&トラックス夫妻。動画は出演待ちの間にブルースの名曲「Rollin’ and Tumblin’」をリハーサルしているところです。

Biography

デレク・トラックス氏は1979年6月8日、アメリカ合衆国フロリダ州ジャクソンヴィルにて、オールマン・ブラザーズ・バンドに所属するドラマー、ブッチ・トラックス氏の甥として生まれます。叔父の影響もあり幼少のころから音楽に親しんだ彼は9歳でギターを手にし、16歳でデレク・トラックス・バンドを結成、2年後には最初のアルバムをリリースしています。氏が名乗る「デレク」は、氏が尊敬しているデュアン・オールマンが所属した「デレク・アンド・ザ・ドミノス」に由来しています。

自信のバンドで活動を展開する一方で、オールマン・ブラザーズ・バンドにも参加していました。10代後半からすでにゲストとして加わっていましたが、1999年にメンバーとして正式に加入、2006年にはエリック・クラプトン氏のワールドツアーにも同行します。その後2010年にデレク・トラックス・バンドは奥さんのバンド「スーザン・テデスキ・バンド」と合流/再編成し、「テデスキ・トラックス・バンド」として新しいスタートを切りますが、この合流は、奥さんと一緒にいる時間を増やすためだったと伝えられています。このバンドに専念するため、2014年にオールマン・ブラザーズ・バンドを脱退し、現在に至ります。

ギタープレイの特徴

デレク・トラックス氏のスライド奏法は、オルガンと一緒にロングトーンを気持ちよく演奏できるほど音程が正確であり、またブルースの持つエネルギーを存分に解き放つほどに熱く、またフレーズのバリエーションが豊かなことから、名手デュアン・オールマンの再来とも、超えたとも評されることがあります。またサウンドの熱さとは真逆にステージ上ではほぼ直立で、涼しい顔でじっとネックを見つめながら演奏します。

どんなキーの曲も、またどんなジャンルの曲も「オープンEチューニング」で弾きこなすのも、氏の大きな特徴です。ブルースはもちろんのこと、ジャズやファンク/ソウル、果てはワールドミュージックにまで演奏の手を広げる多彩さを持ちながら、チューニングは常にオープンEです。

オープンチューニングスライド奏法との相性が良いことがメリットですが、違うキーではチューニングを変更したり、カポタストを使用したり、またはギター自体を交換したりするのが普通です。全てを同じチューニングで演奏するのにはこうしたわずらわしさから解放されるというメリットがありますが、その代わり極めて高い演奏技術を必要とします。「オープンEの可能性に挑戦している」と評されることもありますが、ノーマルチューニングのギターで普通にいろんなキーやジャンルの曲を演奏するのと同じ感覚なのかもしれませんね。

敬愛するデュアン・オールマン氏同様に、コリシディン(風邪薬)のビンをスライドバーとして使用します。スライドバーは「薬指にはめる派」ですが、薬のビンだから薬指というわけではなさそうです。スライド奏法中に通常の押弦を使用することもあり、フレージングは極めて多彩です。時に小指で弦を押さえることもあります。ピックは使用せず、常にフィンガーピッキングです。


Tedeschi Trucks Band: Tiny Desk Concert
デレク・トラックス氏のスライド奏法は、時にそれとは聞こえない、スライドバーを使っているとはとても思えないフレーズを演奏することもあります。スライドバーを装着していながら普通のフレーズも弾けると言うことは、すなわち全てを手にしていると言っても過言ではありません。スライド奏法がピックアップされることが非常に多いデレク・トラックス氏ですが、曲によってはスライドバーを使用しないこともあります。

使用機材

2000年製GIBSON USA SG 61リイシューをメインに使用しています。ピックガードを外し、またトレモロユニットのアーム部を外して普通のテールピースを載せていますが、プレート部は残しています。これについて「重さを稼いでサスティンを増やすためだ」とか「ボディエンド部の重量を増やしてバランスを良くするためだ」など諸説言われましたが、本人は「ステージでライトを反射してかっこいいからだ」と述べているようです。共演したミュージシャンのサインがボディのそこかしこに記されており、氏の輝かしいキャリアを雄弁に物語っています。

アンプにはFENDER 1965 Super Reverb、最近ではPRS(ポール・リード・スミス)のギターアンプを使用していますが、エフェクターは一切使用していません。アンプではローを絞り気味、トレブルを上げ気味にしており、ギター側のトーンでバランスをとっています。
ギブソンSGスタンダード

シグネイチャーモデル:Derek Trucks Signature SG

Derek Trucks Signature SG

2014年にはデレク・トラックスのシグネイチャーモデル「Derek Trucks Signature SG」がリリースされています。SGの人気モデル「SG-61リイシュー」をベースに、ピックガードは無くトレモロユニットのプレートのみ搭載する、という本人愛機と同様の外観になっています。

導管が見えるヴィンテージレッドのマホガニーボディにローズウッド指板、Dシェイプの薄いネック・グリップという本体に、Gibson 57Classicピックアップが2基搭載されています。

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Derek Trucks Performing “Soul Serenade” at Guitar Center’s King of the Blues 2010
ギターセンター主催「King of the Blues 2010」コンペティションでの 演奏。氏のトレードマークであり、またシグネイチャーモデルのベースとなったSG(改)ですが、ベースに興味がある人はベーシストの抱えるフォデラの6弦が気になるかもしれませんね。

Discography

これまでに数多くの作品をリリースしていますが、そのなかからいくつかをピックアップしてみましょう。

The Derek Trucks Band/デレク・トラックス・バンド

the DEREK TRUCKS band

1997年作品で、この時デレク・トラックス氏はまだ未成年。「若き天才」の名をほしいままにしたデビューアルバムです。デュアン・オールマンばりのサザン・ロックなイメージの強いトラックス氏ですが、本作ではジョン・コルトレーン氏やマイルス・デイビス氏のカバーを織り交ぜるなど、ジャジーなアプローチもふんだんに織り込まれています。

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Hittin’ the Note/オールマン・ブラザーズ・バンド

Hittin' the Note

2003年作品。オリジナルメンバーだったディッキー・ベッツ氏(ギター)が脱退して初めての作品でしたが、アメリカのBillboard 200では37位に達し、1980年以来23年ぶりとなる全米トップ40入りを果たしたヒットとなりました。このバンドの持ち味であるサザンロックのサウンドは健在で、ウォーレン・ヘインズ氏とデレク・トラックス氏のツインギターはエリック・クラプトンとデュアン・オールマンのギターバトルを彷彿させるとまで評されています。

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Songlines/デレク・トラックス・バンド

Songlines

2006年リリース、ドブロギターを抱えたトラックス・バンド6枚目の作品。ブルース、ロック、レゲエ、エスニックミュージックを高い次元でミックスしたボーカル・アルバムに仕上がっています。


レゲエのエッセンスが散りばめられた楽曲:I’d Rather Be Blind (Live)

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Revelator/テデスキ・トラックス・バンド

Revelator

2011年。スーザン女史のボーカル・ギターのテクニックも旦那に引けをとらず、「世界一ギターが上手い夫婦」の名は伊達ではないことが分かります。本作はデルタブルースとメンフィスソウル、60年代ロック、70年代のエコーファンクなどが有機的に混ざり合って、その結果完全なオリジナルにまで昇華された作品となっています。

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