ジミー・ペイジ(Jimmy Page)

[記事公開日]2013/8/27 [最終更新日]2023/8/25
[編集者]神崎聡

ジミー・ペイジ(Jimmy Page)

ジミー・ペイジはエリック・クラプトンジェフ・ベックとともに3大ギタリストと呼ばれ、「1970年代のパガニーニ」と形容され、世界で最も成功したロックバンドの一つであるレッド・ツェッペリンのギタリスト兼リーダーです。

初期レッド・ツェッペリンの作品(「胸いっぱいの愛を」「コミュニケイション・ブレイクダウン」など)は、現代のメタル・ギターの元祖と評価されていますが、彼はラウドに弾きまくるだけでなく、叙情的なプレイでも言いようのない深遠なムードを醸し出す稀有なギタリストなのです。

またペイジは、66年のミケランジェロ・アントニオーニ監督作品『欲望』にカメオ出演し、クールですらりとした姿で「Stroll On」の激しいリフを弾き、ヘヴィな音に衝撃を受けたモッズの間に暴動を引き起こしています。

またジミー・ペイジは、現代の魔術師と呼ばれた謎の男、アレイスター・クロウリーがかつて住んでいたネス湖のほとりの土地を購入し、そこに住んでいたことがあります。髪も白くなり、最近は考古学者のような風貌です。

Biography


Led Zeppelin – Immigrant Song (Live Video)

1944年1月9日 生 英ミドルセックス州ヘストン

彼がギターを始めたのは13歳の頃。きっかけはスコッティ・ムーアやジェームズ・バートンに憧れたことでした。瞬く間にギターの腕が上達したペイジは16歳でニール・クリスチャン&ザ・クルセイダーズに加入、早くもプロとしての活動を行っていました。また同時期にはスタジオ・ミュージシャンとしての活動も始めています。この頃に彼がセッションしたミュージシャンの数は数え切れないほどでした。

ヤードバーズ時代

’66年にヤードバーズに加入したペイジ。元々、以前から誘いはあったのですが、売れっ子スタジオ・ミュージシャンだったために、この誘い話を親友のジェフ・ベックに譲ったのでした。その後スタジオ・ミュージシャンに一区切りをつけた彼は遂にヤードバーズに加入。僅かな期間ながらもジェフ・ベックとのツイン・ギター編成も実現しています。程なくしてベックは脱退。これによりペイジの曲作りが本格的にスタートするのである。しかしペイジの理想はヤードバーズとは程遠い物だったためバンドを解散後、新バンドを結成する事を決意します。 新バンド結成を目標としたペイジの下に集まったミュージシャンは、既にスタジオ・ミュージシャン時代に知り合っていたジョン・ポール・ジョーンズ(b)、ロバート・プラント(Vo)、そしてプラントの元バンド仲間だったジョン・ボーナム(dr)の3人。彼らはまず“ニュー・ヤードバーズ ”と名乗り、スカンジナビア・ツアーを決行、ツアー中にレッド・ツェッペリンと改名。遂に歴史に残るロック・バンド、レッド・ツェッペリンが誕生したのでした。

レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)


Led Zeppelin – “Rock And Roll (Alternate Mix)

レッド・ツェッペリンと改名し、世に出された1stアルバム『LED ZEPPELIN』はペイジの理想どおりのサウンドとなり、今までに無い大音量のロックとなり、多くの批評家から賛否両論となりました。その後も “ハード・ロック”の教科書とも言うべき『LED ZEPPELIN Ⅱ』、アルバムの中でもアコースティック・ナンバーを取り入れるなど大胆な実験作となった『LED ZEPPELIN Ⅲ』など名アルバムを輩出してきましたが、71年、『LED ZEPPELIN Ⅳ』を発表。代表曲「Rock And Roll」や「Stairway To Heaven」などを収録した、まぎれもなくロック史に残る名盤を完成させてしまいました。
その後、『Houses Of The Holy』や『Physical Graffiti』といった名作ではロックのみならず様々なジャンルを吸収し、斬新なアイデアを盛り込んだ独自のサウンドを展開。ファンからの絶大な支持を受け、ロック界での位置を不動のものとしました。しかし’80年にジョン・ボーナムが急死したことで、ツェッペリンは活動停止を余儀なくされてしまいます。

レッド・ツェッペリン解散後

解散後のペイジは’82年に『ロサンゼルス』のサウンドトラックをリリース。’83年にはエリック・クラプトン、ジェフ・ベックと共に「アームズ・コンサート」に出演。その後はポール・ロジャース(Vo)とザ・ファームを結成したり、ソロ・アルバムなどを発表したりなどしていたが、これといって目立った活動ではありませんでした。しかし’93年に元ディープ・パープルのデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)とカヴァーデイル・ペイジを結成、ロバート・プラントと再合体したペイジ&プラントなど様々な活動を行いました。’99年にはツェッペリンを敬愛するブラック・クロウズと共演ライヴを行ったりなど、現在もロック・シーンを沸かせています。

ギタープレイの特徴

ジミー・ペイジはリフやバッキングのアレンジ能力、間の使い方、リズム、曲の構成力やハーモニーなど、バロック建築のように綿密に構成された楽曲を作成する一方、ロックのダイナミズムも表現できるというバランス感覚のすぐれたギタリストです。ギタリストとしてだけでなく作曲家/プロデュース的な視点で楽曲をコントロールしており、ギターソロにしてもきっちりと曲の中で収束しています。弾けていない/荒削りなフレーズも多々ありますが、逆にそれがジミーペイジの個性になっています。

ペイジのギタープレイはブリティッシュ・フォークやカントリーに影響を受けつつも基本的にはブルースを基本としたものです(繰り返し爪弾かれる短いフレーズは、1920年代に活躍したブルースマン、トミー・ジョンソンのフレーズを参考としているようです)。アコースティックギターの技術の高さ、セッションマン時代を通して培われたギタープレイの幅の広さには定評があります 。

EDS-1275 DOUBLENECKEDS-1275 DOUBLENECK

ペイジのサウンド追求に対する情熱は素晴らしく、使用楽器・特殊奏法の多さで知られています。代表的なものとしては、間奏中のテルミンを使ったパフォーマンス、ギターをヴァイオリンの弓で弾くボウイング奏法、ボトルネックを使用したスライド・ギター、ペダル・スティール・ギター、またペイジの弓弾きをヒントに開発された補助楽器ギズモ・トロン(弦をモーターにより回転する6つのプラスチックの円盤でこする構造になっている)の使用などです。
また、アイリッシュ・トラッドのギタリストが好んで使うオープン・チューニングの愛用者としても知られており、オープンD、オープンG、オープンC6、そして最も有名なものに「カシミール」などで使用されたDADGADチューニングを採用するなどしています。

使用機材

使用エレキギター

ジミー・ペイジは数多くの種類のギターをスタジオでもライブでも使用していますが、最も使用していたのがギブソン・レスポールです。現在のレスポール人気のルーツは、レッド・ツェッペリン時代のジミー・ペイジが使用していたことが後続のギタリストに影響を与えました。

1958年製ギブソン・レスポール・スタンダード:チェリー・サンバースト、通称No.1はペイジのトレードマークと知られ、最も有名な使用ギターです。レモンドロップといわれる色に褪色しており、表面に左右非対称に貼り合わされたメイプル材の木目がはっ きりと確認出来ます。

もう一本非常に有名なのが、ギブソン EDS-1275、:「天国への階段」での使用で有名な、ギブソン SGの6弦 &12弦ダブルネック・ギターです。このギターは発売当初、注文を受けてから作られるカスタムメイドギターであり、配線や外観等の詳細は発注したギタリストの要望を汲み、製作されるごとに細かく異なっていました。

シグネチャーモデル「Fender Jimmy Page Telecaster」

Fender Jimmy Page Telecaster

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  • Fender Jimmy Page Telecaster
  • Fender Jimmy Page Telecaster:ボディ
  • Fender Jimmy Page Telecaster:ペグ

アルバム「LED ZEPPELIN I」から50周年となる2019年に登場したシグネチャーモデル「Fender Jimmy Page Telecaster」。同アルバムの中で使用していたドラゴンペイント入りテレキャスター(通称ドラゴンテレキャスター)のリイシューモデルで、2ピースアッシュボディ/Custom Oval Cシェイプ・メイプルネック/7.25Rスラブローズウッド/Jimmy Page Custom Teleシングルコイルピックアップ2基という仕様となっています。ボディ材、ボディのペイント、ピックアップなどオリジナルに近いスペックとなり当時のジミー・ペイジ氏が奏でたサウンドを再現することができます。

Jimmy Page Telecasterを…
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使用エフェクター

ジミー・ペイジは様々な革新的なエフェクターを柔軟に取り入れることもしました。以下の表は彼がしようしたエフェクターの一覧です(ほかにもあるかもしれません。)

使用機材 メーカー名 型番
エレキギター ギブソン レスポール 1958サンバースト
ギブソン レスポール 1959サンバースト
ギブソン レスポール WINE RED #891539
DANELECTRO 3021
ギブソン EDS-1275 DOUBLENECK #91117
AMP/アンプヘッド フェンダー Tone Master
レッド トーレックス Tone Master
シンセ THEREMIN ECHOPLEX
エコー式テープディレイ ECHOPLEX
フットボード/足下
歪み ロジャーメイヤー Voodoo Fuzz
フェイザー MXR PHASE 90
コーラス YAMAHA CH-10
コーラス BOSS CE-2
パワーブースター ピートコーニッシュ
ワウ JEN クライベイビー
ワーミー DIGITECH WH-1

Discography

Led Zeppelin Ⅰ名盤

Led Zeppelin Ⅰ

レッド・ツェッペリンの1stアルバム。ハードロック時代の本格的な幕開けを知らしめた傑作だ。ブルース色の強い本作。だが、それだけでなくトラッド・フォーク、ソウル、など多彩なルーツをもつ彼ららしさが早くも発揮されている。

1969年リリース作品

Led Zeppelin Ⅱ名盤

Led Zeppelin Ⅱ

トップバンドにのし上げた2NDアルバムです。このアルバムと次のアルバムを最高傑作と呼ぶ人も多いようです。

"Whole lotta love"でのヘヴィなリフ、メタリックなロバート・プラントのヴォーカル、エフェクトを駆使したノイジーな音の洪水、パワフルなジョン・ボーナムのドラミング、どれをとっても完璧な一曲。その他"Heartbreaker""Bring it on home "ほか収録。

1969年リリース作品

Led Zeppelin Ⅲ名盤

Led Zeppelin Ⅲ

怒涛のツアーの疲れから、メンバーはイギリスのウェールズ地方の片田舎、ブロン・イ・アーという場所に数ヶ月間滞在することになります。その長閑な自然溢れる環境が音楽に影響した3枚目のアルバム

ハードな楽曲もさることながら、爽やかなアコースティック・サウンドの中にもブリティッシュ・ロックらしい風格とダイナミズムが同居している味わい深い作品。

1970年リリース作品

Led Zeppelin Ⅳ名盤

Led Zeppelin Ⅳ

ロック史に残る歴史的名盤としてその名を知られている・ハードな側面と美麗な側面が絶妙なバランスを見せた4枚目のアルバム。

ロック史に輝く不朽の名作「天国への階段」、そのほかハード・ロック・ナンバー"ブラック・ドッグ"、ジョン・ボーナムの賑やかなドラム・ワークが炸裂する"ロックン・ロール"収録。

1971年リリース作品


Led Zeppelin – Going To California (Live Earls Court 1975)

Houses of the Holy名盤

Houses of the Holy

シンセサイザー、メロトロン、ダブルネックの12弦ギター等々を駆使し、レゲエやファンク・ナンバーにも挑戦するなど冒険色が濃く出た第5作目。

録音は72年の夏にミック・ジャガーの所有する別荘、スターグローヴスを借り切って行われました。

1973年リリース作品

Physical Graffiti名盤

Physical Graffiti

レッド・ツェッペリン最初で最後の2枚組アルバム。ハードに迫る「Custard Pie」「The Rover」「In My Time Of Dying」、幻想的な名曲「Kashmir」、ポップで繊細な印象を与える「Bron-Yr-Aur」など収録。

1975年リリース作品

Presence名盤

Presence

後期ツェッぺリンの最高傑作といわれる通算7作目のアルバム。「アキレス最後の戦い」に象徴されるヘヴィ・サウンドが全編で展開。

それまでの数年で見せていた多彩なアレンジが施された楽曲は影を潜め、初心に立ち返ったようなシンプルなサウンドをとなりました。

1976年リリース作品

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