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ダイムバッグ・ダレル(Dimebag Darrell)

1966-2004
故ダイムバッグ・ダレルは、パンテラ及びダメージプランで名を馳せたギタリストです。ダメージプランのステージで凶弾に倒れ、伝説となりました。

1994年、メジャー移籍第三作となる「脳殺(FAR BEYOND DRIVEN)」をリリースするときに、それまで名乗っていた「ダイアモンド・ダレル」から「ダイムバッグ・ダレル」に改名します(”ダイムバッグ”は、”10ドル相当のマリ◯ァナ”の意)。

度の過ぎた悪ふざけが大好きで、自分の車を壊すのが趣味だったといいますが、ファンを大事にし、「あなたは私の神だ」と言ったファンに対して「違うだろ!?ブラザーだろw」と答えたエピソードが有名です。


Pantera – I’m Broken (Video)

Biography

少年時代

ダレル氏はテキサスにレコーディング・スタジオを所有する作曲家だった父親の影響で、12歳の時にギターを弾き始めます。このときディープ・パープルの「スモーク・オンザ・ウォーター」をマスターしたといい、以後ヴァン・ヘイレンやキッスに傾倒していきます。
15歳の時点で兄と「パンテラ」を組んでおり、16歳の時にはギターの「コンテスト荒らし」と言われるほどの腕前でした。

メジャー時代


Pantera – Revolution Is My Name (Video)

インディーズ時代からダレル氏の名声は業界に知られており、1990年にはメガデスからリードギターのオファーをされたことがあります。交渉が決裂したこの年にパンテラは念願のメジャーレーベルに所属、アルバム制作に入ります。
パンテラはメジャー入りしてから5枚のアルバムをリリースし、多くのフェスやツアーを成功させましたが、自身のプロジェクトに注力したいボーカリスト、フィル・アンセルモとの確執があり、2003年に解散します。


Damageplan – Save Me { Official Video }

翌2004年に新しいバンドダメージプランを立ち上げ、アルバムをリリースしますが、同年ライブ中にパンテラファンからの凶弾に倒れ、帰らぬ人となりました。事件のあった12月8日は、偶然にもジョン・レノン氏がファンの凶弾に倒れた日と同じでした。

使用機材

「マーシャルにレスポールを突っ込んだら良い音がするに決まっている。安易な逃げ道だ」とは生前のダレル氏のコメントです。粗暴なイメージとは裏腹に、ダレル氏はギターの練習とサウンドの追求に余念のない人物でした。

ギター

初期のトレードマーク「The Dean From Hell」

the-dean-from-hell

パンテラで永らくトレードマークにしていたディーン(DEAN)の「ML(The Dean From Hellと命名)」は、アマチュア時代に出場したギターコンテストの賞品でした。パンテラデビュー当時、ディーンは製造を中止していましたがダレル氏の人気によって復活、現代ではHM/HRに特化したギターブランドとして多くのギタリストに愛用されています。生前はこのギターのネックを27回(うち、ステージ上で24回)折ったそうで、以後のモデルでは折れやすい箇所が補強されるようになりました。

エクスプローラとフライングVを合体させたようなボディシェイプとV型のヘッドというインパクトある変形ギターで、ピックアップはフロントにディマジオの定番機Super Distortion、 リアにはビル・ローレンス の名機L-500XLを搭載しています。一時期ワッシュバーン(Washburn)のギターを使用していましたが、この時はフロントピックアップにセイモアダンカンの「59」、また「ダイムバッカー」を使用しています。
Dean Guitars

幻のトレードマーク「RAZORBACK(レイザーバック)」

razorback-guitar

「ML」のデザインを鋭角的にしたデザインの「レイザーバック」はダレル氏自身のデザインで、新たなトレードークになるはずでした。本人が完成品を手にすることはあったそうですが、本番で使用する機会は永遠に失われました。現在このレイザーバックはシリーズ化しており、親友だったザック・ワイルド氏を筆頭に多くのギタリストに愛用されています。

弦はDRの0.09-0.46を、ピックはジム・ダンロップのTORTEX(0.88mm)を使用しています。

アンプ

randall-warhead 時代によってランドールの異なるアンプを使い分けている(写真はWarhead):RG100ES (1983 – 1991, 1996 – 1999)、Century 200 (1992 – 1995, 2000)、Warhead (2000 – 2004)、X2 Warhead (2004)

「ダレルと言えばランドール、ランドールといえばダレル」と言われるほどにランドール(Randall)の使用が有名です。HM/HRでは真空管アンプが当たり前だという世の中で、ダレル氏がセレクトしたのはソリッドステート(トランジスタ)でした。「ビルから落としたってビクともしない(ダレル氏談)」くらい丈夫なところを評価していますが、ソリッドステートの方が真空管よりわずかに音の立ち上がりが早いといい、弾き心地も満足だったようです。
ステージでは同じランドールを何台も並べ、クリーン用、歪み用とアンプ自体を切り替えて使用していました。パンテラ時代では3段積みを6台並べています。

Randall のギターアンプ – Supernice!ギターアンプ

エフェクター

デジテックのワーミーを二つ使用して過激な表現を可能にしていました。足下には二つのワーミーとジム・ダンロップのクライベイビーで、ラックにはパラメトリックイコライザとチューナーその他を納めていました。各アンプの3バンドイコライザ、ランドール特有のグラフィックイコライザ、そしてラックのパラメトリックイコライザを駆使して自分自身のトーンを得ようとしていたようです。

現在ではジム・ダンロップよりダイム氏のサウンドに迫る 「DD-11 DIME DISTORTION(ディストーション)」、MXRより「DB-01 DIMEBAG WAH(ワウペダル)」がリリースされています。

ダイムバッグ・ダレル エフェクター – Supernice!エフェクター

演奏スタイル

フィンガリングは親指を出さない「クラシカルスタイル」を基調とし、チョーキングの時には親指を出します。クラシカルスタイルのままチョーキングに及ぶこともあるようです。

「ハーモニクス・スクウィール」という技を得意とし、自身のトレードマークとしています。
ダレル氏自らハーモニクス・スクイールを解説! – Youtube

3弦のハーモニクスとアーミングの複合技は故ジミ・ヘンドリックス氏、エドワード・ヴァン・ヘイレン氏、ジョー・サトリアーニ氏など多くの達人ギタリストが得意としていますが、「ハーモニクス・スクウィール」という技名を付けたこと、及びアームをボディエンド側に向けることがダレル氏の独特なところです。

シグネチャーモデル

1) トレードマーク「ML」

生前のダレル氏が愛用していたギターとして最も名高いのがこのMLで、その人気ゆえボディ形状に変化を持たせた派生モデルがいくつも生まれています。現在ダレル氏シグネイチャーモデルとしてリリースされているMLは、大きく3つのグレードに分かれています。

  • USAカスタムショップ:最高グレードにして最高の再限度
  • アジア工場製セットネックモデル:低価格だが再限度は高い
  • アジア工場製ボルトオンモデル:もっとも低価格

1-1) USAカスタムショップ

USA Dime ML
■USA Dime ML Dime Slime
■USA Dime ML Far Beyond Driven LTD Run 100PC

USAカスタムショップで作られるMLはダレル氏ご本人が使用したギターを再現しており、マホガニーボディ&ネック、セットネック仕様、エボニー指板というマテリアルに、625mmというやや特殊な弦長を採用、Vシェイプネック、ご本人仕様のピックアップ、そしてドイツ製フロイドローズ・オリジナルが備えられます。現行品では、リアピックアップにビルローレンス製XL500を採用しているのがこの「USA Dime Slime」のみとなっています。
限定生産された「Far Beyond Driven LTD」は、若かりしダレル氏が愛用したMLを再現したもので、ブリッジのそばに十字のシールを貼るとルックスが完成します。リアピックアップにフロント用のものが搭載されているのもご本人仕様で、生前のダレル氏は求めるサウンドのために様々な試行錯誤を続けていました。

1-2) アジア工場製セットネックモデル

アジア工場製のセットネックモデルは多くの仕様をUSAモデルと合わせており、かなり高い再限度を誇っています。フロントピックアップのみ白黒の「ゼブラ」仕様になっているのもニクい演出です。フレイムメイプルトップやさまざまなグラフィックなどルックスにバリエーションがありますが、それぞれのモデルで各仕様をどこまで再現するかに違いが見られ、本体価格の違いとして表れています。
こちらの基本仕様はマホガニーボディ&ネック、ローズ指板、Cシェイプネックグリップ、弦長629mm、シグネイチャーピックアップとフロイドローズ・スペシャル搭載、といったところですが、それぞれのモデルで細かな仕様変更が行われています。

モデル名 特徴的な仕様
Dimebag Dime Slime ML フレイムメイプルトップ、Vシェイプグリップ
Dimebag Wanted ML 基本仕様
Dimebag Showdown ML 基本仕様
Dimebag Dimebonics ML フロイドローズ・オリジナル装備、ケース付属
Dimebag Dime O Flame ML Vシェイプグリップ

表:アジア工場製セットネックMLの仕様比較

REBEL、STEALTH
■Dimebag Rebel Flame Top Floyd-Trance Red
■Stealth Floyd FM-Dime Slime W/CASE

こちらはモデル名こそ変わっていますが、MLからさほど遠ざかっていないという解釈でこちらにて紹介します。MLをカクカクさせた「REBEL」、MLを尖らせた「STEALTH」ともに、ボディ&ネックにマホガニーを使用しているセットネックモデルで、両機ともフレイムメイプルでボディを彩り、ネックはVシェイプグリップとなっています。

1-3) アジア工場製ボルトオンモデル

ぶっ飛んだルックスのギターとしてはかなり手に入れやすい価格を実現しているボルトオンモデルは、バスウッドボディ、メイプルネック、ボルトオンジョイント、Cシェイプグリップ、ボディ/ネック共にバインディングなし、DMTオリジナルピックアップという仕様です。変形ギターではありますが、立っても座っても演奏できる形状のため、これからギターを始めようという人でも手にすることができます。「DIMEBAG」を名乗るだけあってダレル氏にゆかりのあるグラフィックで彩られていますが、本来の姿からかなり仕様が変更されている、ということから再現に深くこだわらないモデルが目立ちます。

Dime Camo ML
■Dimebag Dime Camo Floyd ML/Dimebag Dime Camo ML
■Dimebag Black Bolt Floyd ML/Dimebag Black Bolt ML

こちらは同じグラフィック同士ですが、ブリッジがフロイドローズとTOMブリッジで選択できます。

Pantera ML
■Dimebag Pantera VULGAR DISPLAY OF POWER ML
■Dimebag Pantera FAR BEYOND DRIVEN ML
■Dimebag Pantera SOUTHERN TRENDKILL ML

こちらはパンテラのアルバムジャケットをボディトップにあしらったMLで、アルバムのタイトルがモデル名になっています。リアピックアップとボリュームポットのみというシンプルな電機系により、グラフィックがばっちり映えます。

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2) ダレルの忘れ形見「RAZORBACK」

ダレル氏のアイディアをもとに開発された「RAZORBACK(レーザーバック)」は、MLに次いでダレル氏のトレードマークとなるはずでした。このギターでステージに立つ前にダレル氏が他界してしまったのはまことに悔やまれますが、現在ではそんなダレル氏を偲ぶギタリストらをはじめ、鋼鉄の魂を持った多くのギタリストがRAZORBACKを愛用しています。

日本国内のRAZORBACKはアジアの工場で生産される、セットネックモデルとボルトオンモデルの二つのグレードで展開しています。とはいえ近いグレードのものであっても、採用されるグラフィックごとにネックグリップや細かな違いが現われています。新しいグラフィックのモデルをリリースするごとに仕様や価格を再検討して開発しているようで、DEANの企業努力を垣間見ることができます。ボディのエッジは斜めに整えられて複雑な作りになっていますが、そこにもしっかりグラフィックが施されるものは大変な迫力があります。全機種で、ヘッドの意匠もボディのグラフィックにマッチングさせているのも注目すべくポイントです。

2-1) アジア工場製セットネックモデル

RAZORBACK:アジア工場製セットネック
■RAZORBACK EXPLOSION W/CASE
■RAZORBACK EXPLOSION W/CASE LEFTY
■RAZORBACK CEMETRRY GATES W/CASE
■RAZORBACK SKULLZ W/USA CASE LEFTY

セットネックモデルは、

  • マホガニーボディ&ネック、ローズウッド指板、バインディングなし
  • 弦長24.75インチ、14インチ(356mm)指板R、Vシェイプグリップ
  • ダレル氏シグネイチャーピックアップ、フロイドローズ・スペシャル装備

といった仕様が共通となっています。ベースとなっている「ML」の仕様を多く踏襲していますが、指板にローズウッドを使用しているところ、また指板Rが大きくなっているところに楽器的な変更点があります。

2-2) アジア工場製ボルトオンモデル

ボルトオンモデルについては、マホガニーボディ、Vシェイプメイプルネック、DMTピックアップを基本仕様としています。指板Rがオーソドックスな12インチ(305mm)となっているのがセットネックモデルと違っているところです。より多くのギタリストに訴求するため、フロイドローズ搭載機と非搭載機の両面でラインナップを展開しています。

RAZORBACK:アジア工場製ボルトオン
■RAZORBACK DIMEBAG FLOYD DNA SPATTER W/CASE
■RAZORBACK DIMEBAG FLOYD BUMBLEBEE FIREFLY W/CASE
■RAZORBACK DIMEBAG FLOYD LONE STAR W/CASE
■RAZORBACK DIMEBAG FLOYD CLASSIC BLACK W/CASE
■RAZORBACK DIMEBAG FLOYD BLACK WHITE
■RAZORBACK DIMEBAG FLOYD BIO MECH W/CASE
■RAZORBACK DIMEBAG GUN METAL GLAY
■RAZORBACK DIMEBAG CLASSIC BLACK

各種リリースされていますが、細部で使用に違いが見られます。絵を塗り替えるだけではない、価格にしろ仕様にしろ、モデルごとに検討を重ねて開発していく企業努力が感じられますね。今後もさまざまなグラフィックのモデルがマイナーチェンジしながらリリースされていくことが予想されますが、価格が抑え目なので、頑張ればコレクションしていくのも不可能ではありません。

モデル名(略称) ネックグリップ ネックバインディング ブリッジ 特記事項
DNA SPATTER V あり FRT
BUMBLEBEE V あり FRT ダレル氏直筆デザインを具現化
LONE STAR C あり FRT
CLASSIC BLACK (FLOYD) C なし FRT
BLACK WHITE V あり FRT ゼブラピックアップ
BIO MECH C なし FRT バスウッドボディ
GUN METAL V あり TOM
CLASSIC BLACK V あり TOM

表:RAZORBACKボルトオンモデルの仕様比較

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3)ダレル氏の原案「RAZORBOLT」

RAZORBACKを設計するヒントとなったダレル氏の原画は、稲妻をモチーフとしてもっとトゲトゲしていました。この原画に対してなるべく忠実に設計したのが、「RAZORBOLT(レーザーボルト)」です。RAZORBOLTはUSAカスタムショップから限定生産されているほか、アジア工場生産モデルがリリースされています。

DIME RAZORBOLT LIMITED TRANS RED
DIME RAZORBOLT LIMITED TRANS BLACK

CUSTOM SHOP RAZORBOLT

カスタムショップのRAZORBOLTはボディのエッジ処理も立体的で、かつ稲妻をデザインしたフレイムメイプルが埋め込まれるという味な意匠が目を引く、暴力的でありながらエレガンスを帯びたギターに仕上がっています。楽器本体は、

  • マホガニーボディ&ネック、Vシェイプセットネック、エボニー指板
  • 弦長625mm、12インチ指板R
  • ダレル氏シグネイチャーピックアップ

という仕様で、ダレル氏の愛用した「ML」をしっかり受け継いでいます。

RAZORBOLT BLACK RED W/CASE
RAZORBOLT BLACK SILVER W/CASE

RAZORBOLT ASIA

アジアの工場で生産される価格を抑えたRAZORBOLTは、ボディ&ネックにマホガニー、セットネック仕様、指板にエボニー、ダイム氏シグネイチャーピックアップ採用、というところはUSAモデルと同じですが、弦長がオーソドックスな24.75インチ、Cシェイプグリップを採用しており、攻撃的な外観ながらより幅広いギタリストに薦められるギターとなっています。

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お勧めアルバム

VULGAR DISPLAY OF POWER (俗悪/PANTERA/1992)

俗悪

パンテラのアルバムは2枚目以降、漢字2文字の邦題が付けられます。この「俗悪」は低迷気味だったメタルのシーンを一変させた名盤と言われ、後のモダン・へヴィネス、ラウド系だけでなく、ハードコア系にも多大な影響を与えたマストな1枚です。ヤワなバラードなど無い、全曲ザクザクのサウンドです。

「俗悪」から、静と動、重たさとキレの共存するナンバーです。
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New Found Power(Damageplan/2004)

New Found Power

ダメージプランはパンテラ解散後、パンテラのドラマーだった実の兄ヴィニー・ポール氏と組んだバンド。パンテラのサウンドを継承する作品で、以後の躍進が期待されていました。
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Rebel Meets Rebel(Rebel Meets Rebel/2006)

Rebel Meets Rebel

生前レコーディングしていたカントリーミュージシャンとのコラボレーション。音楽はカントリー調、サウンドはダレル節の、イカしたカントリーメタルです。
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11 Unforgettable Dimebag Darrell Moments