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ネックの材質・形状について

ネックについて

弦の振動を受け止め、それをボディまで伝達させるのがネックの機能です。それゆえ「ネックで7割決まる!」と豪語する人もいるくらい、エレキギターのネックは重視されるギター本体のパーツです。このページでは「ネックの材質の種類と特徴」「ネックの形状」「ジョイント方法」について解説していきます。

ネックの材質の種類と特徴

エレキギターに使われるネック材として使われるのは主にメイプルとマホガニーで、ほとんどのギターがこのどちらかを採用しています。

メイプル

メイプル・ネック

メイプル材は強度に優れ、ちょっとやそっとでは折れません。「エレキギターのネック材に必要な条件を全て満たしている」とまで言われ、アタックとサスティーンに優れています。フェンダーが採用している材であり、デタッチャブル(ネジ止め)ネックはほぼ全てメイプル製です。

マホガニー

マホガニー・ネック

マホガニー材はギブソンが伝統的に採用しており、セットネックモデルのギターで使用される事の多い木材です。アタック感が丸いのでシングルコイルよりもハムバッカー向けで、中域が豊かで愛好者の多い材ですが、強度はメイプルに劣り、倒せばほぼ確実に折れます。

ネックの形状

ネックの形状

Cシェイプ

カマボコ状の最もスタンダードな万能グリップですが、ブランド、モデルや年式ごとに細かな違いがあります。デューセンバーグではブランドの頭文字から「Dシェイプ」と呼ばれます。また厚みのあるグリップには「Uシェイプ」と名付けられる事もあります。

Vシェイプ

「三角ネック」とも呼ばれる、ネック裏の両サイドの肉を削り落として三角系に近い断面に仕上げたグリップ。親指が出しやすく握り込みやすい事からコード弾きに特に有利と言われますが、エリック・クラプトン氏が愛用している事でも知られています。

特殊なグリップ

VUシェイプ:キラープライムに採用されている、ローポジションのVシェイプからハイポジションのUシェイプに滑らかに変化していくグリップ。
非対称グリップ:ミュージックマンのAXISなどに採用されている、低音弦側はCシェイプ、高音弦側はVシェイプのグリップ。
ウィザード・ネック:Ibanezのギター特有の、極めて薄く仕上げたCシェイプのグリップで、テクニカルな演奏をサポートします。

ジョイント方法

デタッチャブル

デタッチャブル・ジョイント

フェンダーの発明で楽器製造に革命を起こした「ネジ止め」ジョイント。着脱が可能なので、ネックごと交換も可能。アタックに特に優れると言われます。

セットネック

セットネック・ジョイント

ボディとネックをニカワなどで接着する伝統的なジョイント法で、ギブソンのほとんどのモデルで採用されています。程よいアタックとサスティンが得られます。

スルーネック

スルーネックFirebird V 2015

ネックがボディを貫通している設計で、ジョイント部分がスッキリしておりハイポジションでの演奏性に優れるほか、サスティンが豊かに響きます。この構造ではB.C.リッチとジャクソンが特に有名です。

1ピースボディ&ネック

木製の楽器ではなかなか困難な設計ですが、スタインバーガーのように特殊素材でネックとボディを一体成形しています。

どんなネックがいい?逆にどんなネックが悪い?

色々なネック

楽器において、パーツの良さ/悪さは

  • 1)物体としての品質(剛性、安定性)
  • 2)音響特性
  • 3)扱いやすさ、弾きやすさ

の3点で評価されます。このうち2)と3)が持ち主の主観に左右されるので、「コレこそが究極の良ネック!」と断定することはできません。買う時に迷う場合は好きなアーティストのギターに近いものを検討し、また自分のギターのネックがどうなのか判断がつかない場合はギターの先生や専門のリペアマンに訊くといいでしょう。ここでは、ネックを評価するポイントを、上記3点を軸に考えていきます。

1)物体としての品質(剛性、安定性)

「弦の張力に負けない剛性を持つこと」はギターのネックに求められる最低限の品質で、ごく稀にある不運な「ハズレ」ネックを除き、全てのネックがこれを満たしています。とはいえ木材の宿命として、環境の変化を受けてもシビアな調整を維持できるほどの強度は期待できません。季節の変化や長年の使用により、ネックのコンディションは変化します。調整が崩れた時にきちんと直すことができるのが、良いネックです。

板目と柾目

itame-masame メイプルの板目(左)と柾目(右)

「ちょっとやそっとでは折れない剛性」まで考えると、フェンダーに代表されるメイプルネックがいいでしょう。フェンダーの標準は板目(いため)材ですが、ジェームス・タイラーサドウスキーなどのハイエンドギターで採用される柾目(まさめ)材(クォーターソーン)ならばさらに頑強です。アイバニーズなどで見られる3プライ/5プライなどの多層ネック、及びESPなどに見られるネック内に補強を仕込む設計も、剛性と安定性を向上させる設計です。

では、転んだり倒したりで容易く折れてしまうマホガニーネックは、悪いネックなのでしょうか。決してそんなことはないどころか、ギブソンのギターはほとんどがマホガニーネックです。決め手は「音」です。マホネック特有の温かみのあるトーンは、メイプルの硬質なトーンとはまた違う、深い良さがあるのです。

一方、スタインバーガーのグラファイトネックは、折れないばかりか温度/湿度の変化で調整が変わることすらない頑強さです(その代わり高価)。

2)音響特性

ネック材を何にするかで、楽器のトーンに違いができます。極めて簡潔な言い方ですが、ネックの硬度とトーンの硬さは比例します。硬いネックからは硬い音、柔らかいネックからは柔らかい音がします。目がぎっしり詰まった頑丈な木材であればあるほど、トーンは硬く鋭く、またくっきりとした印象になっていきます。

タイトな鳴りのギターを作ろうと思ったら、ネックもカチンカチンに詰まったメイプルを選んで、ボディもそれに合わせて詰まったもの、トップもメイプルにして、パーツも選定すれば必ずそうなります。
逆にふっくらした音のギターを作ろうと思ったら、ネックはマホガニーにして、指板もそんなに詰まっていないローズウッドにして、ボディにアルダーやバスウッドを使って、ゆるめで考えると必ずおおらかな音色を持った楽器になります。 – T’s Guitars 社長:高橋謙次氏
《一人ひとりに届けたい》T’s Guitars訪問インタビュー

3)扱いやすさ、弾きやすさ

ネックの「扱いやすさ、弾きやすさ」は、ネックシェイプ(ネックグリップ)とヒール(ジョイント部分)の形状で評価されます。リード/サイドなどプレイスタイル、またロックやポップスなどジャンルを問わず、幅の広いネックが弾きやすいという人もいれば、幅の狭いネックが弾きやすいという人もいて、厚みが充分にあると握りやすいという人もいれば、薄いネックを好む人もいます。かつては古いレスポールの太いネックを細くする(ネックリシェイプ)という改造が流行しましたが、あまり細くしてしまうと今度はネックの強度が足りなくなってしまいます。

リードギターを担当するなら、弾きやすいヒールの形状は重要な問題です。そのため斜めにカットしたり角を落としたりして、多くのブランドが出っ張りを押さえた弾きやすいヒールを工夫しています。このような加工がされていると「弾きやすい」と感じますが、ヒールは邪魔者ではないんです。

ネックを受け止めるのがヒールの役目ですが、ネックから伝わる振動をボディで受け止める役割も担っています。ストラトやレスポールのようなしっかりしたヒールだと、ボディは弦振動をしっかり受け止めます。ヒールの体積が不足するとボディへの振動伝達が不足しますから、張りのないサウンドになってしまいます。ヒールの形状は「弾きやすさ」と「音の良さ」とのバランスを考慮して設計されているのです。